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ひょうきん族D、ライバル・志村けんに言われて嬉しかった言葉

伝説のお笑い番組はなぜ人気を獲得できたのか

 1980年頃の土曜8時といえば、最高視聴率50.5%を記録した『8時だョ!全員集合』(1969~1985年、TBS系)が圧倒的人気を誇っていた。その時間帯に、空前の漫才ブームの勢いを借りてツービートや紳助・竜介を起用して『オレたちひょうきん族』(1981~1989年、フジテレビ系)が始まった。

『全員集合』がターゲットにしていた視聴者は、小学校低学年や中年男性で、深く考えずに笑えるネタが多かった。そこで『ひょうきん』は、小学校高学年以上と若い女性をターゲットに設定。ネタの内容にも工夫をこらした。

 当時チーフディレクターだった、千代田企画社長の三宅恵介氏が言う。

「とはいえ、土曜8時の放送なので、万人受けする内容にしなければいけません。そこで、誰でも笑えるネタを6割、マニアックな笑いを4割に設定しました。パロディのネタもよくやりましたが、たとえばある映画をテーマにするなら、『映画を見たことがない人でも笑えるネタ』と『見たことがある人はもっと笑えるネタ』を、6対4に設定していました」

 三宅氏や同じくディレクターだった荻野繁氏を含めて、番組のディレクターは5人。それぞれが担当コーナーを持っていた。チーフディレクターの三宅氏は「タケちゃんマン」コーナーを担当し、それぞれのディレクターが収録したテープの編集作業も行なっていた。

「どのコーナーも面白くて、編集作業は本当に難しかったです。まるまる放送されないコーナーもあったりして、荻野から『なんであそこをカットしたんだ』と言われたり。よく言い争いしましたよ(笑い)。今思えば、仕事でケンカするなんて本当にいい仲間でした」(三宅氏)

「ひょうきん懺悔室」や「ひょうきんベストテン」を担当した荻野氏も言う。

「私のコーナーはたくさんカットされているのに、三宅担当のタケちゃんマンが長いから、こちらの面白さを伝えろよって言ったりしました。お互いに切磋琢磨して、競っていたんですね。だからこそ、中身が濃い番組ができたのだと思います」

◆50%がお笑いを見ていた

 番組開始の翌年、1982年には視聴率が20%を超え、ついに初めて『全員集合』を破る。その頃、巨人戦のナイター中継(日テレ系)は30%ほどの視聴率で、2大バラエティが50%の視聴率を奪い合うという状況だった。荻野氏は、忘れられないエピソードがあるという。

「世間では『全員集合』とライバル関係にあると思われていたけれど、志村けんさんに偶然お会いしたことがあって。『ジャイアンツには勝てないけど、2つの番組を足すと、視聴率では笑いが野球より勝っている。いいね』と言ってくれて、うれしかったのを覚えています。野球中継の裏で、笑いと笑いがぶつかっていた。バラエティを求めていた人が、視聴者の半分もいたのは、すごい現象です」

●取材・文/戸田梨恵、小野雅彦

※週刊ポスト2019年8月16・23日号

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