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「なんで生きているんだろう」と手首を切った 面前DV、暴力、性的虐待。一時保護所も「職員は威圧的」。施設は虐待なく、勉強もできた〜生きづらさを感じる人々28 奈々美の場合

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●母親が養育できず、抜毛症になった奈々美も施設へ

兄が児童養護施設に入った頃から。母親の恋人がよく家に遊びにくるようになった。のちにその恋人と再婚することになる。

「その人が来るときは、豪華なご飯が出たんです。母親としても、『いい母』『いい女性』として振舞っていたんでしょう。その恋人は、母親の暴力的な面を知らない。険悪な雰囲気があっても、”反抗期の娘”に見えたことでしょう。その人が帰ると、いつもの暴力的な母に戻りました」

奈々美は徐々に家に帰りたくなくなっていく。

「近所の野良猫の溜まり場があるんですが、そこで友達と話したりしていました。母に反抗的に見えたんでしょう。ご飯をもらえないこともありました。そんなときは、冷凍庫や冷蔵庫にあるものを探して、自分で食べていました」。お小遣いはお年玉だけでした。そのため、お金がなくなると、母の貯金箱から、五百円ほどをとっていました。見つかって怒られたこともあります」

中2のとき、母親は育児放棄をする。このとき、一時保護所に入ることになる。その後、奈々美は児童擁護施設に入所することになった。この頃、抜毛症が激しかった。それだけストレスを抱えていたということだろう。

「抜くことでストレスが解消するんです。無心でやってしまいます。なかなかやめられませんでした。今ではまつ毛を抜くのは克服しました。おしゃれは好きなので、治したいんですが、どうしても、衝動が抑えられない」

それから3年間、母親とは顔を合わせていない。ただ、恋人と結婚をして、生活が落ち着いたのか、面会に来た。そのとき、母親は「ごめん」とだけ言っていたという。

「施設に入ることについて、最初は嫌だったんです。転校をしないと言えないし、中学生は携帯電話も使えなかったからです。でも、今はよかったと思います。だって、家では勉強ができる環境じゃなかったですから。施設では、勉強も教わることもできたし、高校にも行けました。虐待もありませんでしたし」

●施設を出たあと

施設を出ることには不安があった。大学に進学することになるが、必要な費用の一部は奨学金でまかなった。不足した生活費などはアルバイトで稼いだ。

「施設を出るとアフターフォローをしてくるところは少ないですが、私がいた施設は奨学金の管理をしてくれましたし、個人的にかもしれませんが、職員の人が、定期的に面会もありました」

親からは手紙がたびたび届いた。歳をとって暴力的でなくなった一方で、過干渉になった。直接連絡を取れるようになって、そんな面がエスカレートした。しかし、アルバイトで忙しかったためもあり、一年生の終わりごろには鬱になった。

「それまでは、鬱とかって大げさじゃないか?と思っていたんですが、本当に起きれなくなりました。移設の人が様子を見に来てくれましたし、病院にも付き添ってくれました。『死にたい』というよりは、『消えたい』という思いでした」
相次ぐ虐待事件をニュースで知り、自身の体験を振り返るようになった奈々美

東京都目黒区、千葉県野田市、北海道札幌市で、虐待死事件が相次いだ。一方、子どもを保護する「一時保護所」が、子どもを管理するルールが「過剰な規制で人権侵害にあたる」として、都の第三者委員に指摘された。そのことを朝日新聞(7月17日付)が独自に伝えた。

「虐待関連のニュースは、注目しています。私は運が良く、セーフティーネットにひっかかっただけ。でも、私が入った一時保護所は大変な場所でした。半分、少年院のような感じでした。ベランダにも有刺鉄線が張られていました。職員も威圧的で、規則を守らないと、個室に入れさせられます。そこで、1日中、小学生で習う漢字を書かされました」
「新卒で入った会社が家族経営で、いじめられました。理不尽なことで怒られた。ブラック企業だったんです」

そのため、会社を半年で辞めた。現在は、母親と2人で暮らしている。徐々に、関係は改善しているが、時々、干渉されることがある。

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