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“少女像”の公的展示に元駐韓大使「日本国民を冒涜」、騒動の根本に“主張に歴史を合わせる”韓国のスタンス?


 わずか3日で中止に追い込まれた、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」。6日、出展アーティスト72名が抗議声明を発表した。

 声明文には「閉鎖へと追い込んでいくような脅迫と恫喝に、私たちは強く反対し抗議します」「展示は継続されるべきであったと考えます」「人びとに開かれた、公共の場であるはずの展覧会の展示が閉鎖されてしまうことは、それらの作品を見る機会を人びとから奪い、活発な議論を閉ざすことであり、作品を前に抱く怒りや悲しみの感情を含めて多様な受け取られ方が失われてしまうことです」といった内容が綴られている。その最後は「新たな答えを導き出すことを諦めません」と締めくくられていた。

 “表現の自由”を巡る対立。芸術監督の津田大介氏は3日、「悪しき事例を僕はひとつ、今回この企画を中止したことで作ってしまった。表現の自由が後退する悪しき事例を作ってしまったことに対しての責任は、非常に重く受け止めている」と会見で語った。

 企画展では、過去に撤去や展示を拒否された作品が集められ、従軍慰安婦を想起させる「少女像」なども展示されていた。しかし、主催者側の代表である愛知県への抗議は電話やメールなど2800件に上り、来場者らの安全が確保できないという理由から中止を余儀なくされた。


 展示された少女像はミニチュアと原型の2種類。ミニチュアは2015年に東京都美術館で展示されたが、来場者から「相応しくない」と指摘を受けて撤去。原型は2011年に駐韓日本大使館前に設置された像の実物大で、公的な美術展では今回が初の展示となった。日本政府としては2012年、ウィーン条約違反などで駐韓日本大使館前からの撤去・移転を求めている。少女像は韓国国内で100体以上、その他アメリカやカナダ、ドイツ、中国、オーストラリアなどにも設置されている。

 今回の騒動について、元駐韓大使で外交評論家の武藤正敏氏は「文化に政治を持ち出すということはそもそも問題があると思っている。特にこの慰安婦像というのは、慰安婦の団体が自分たちの思うようにいかないために日本に圧力をかける、日本に嫌がらせをするために作ったもの。それを展示することは、こういう結果になるだろうと想定せざるを得ない」と指摘。

 また、慰安婦問題の経緯について「韓国の学者が色々とヒアリングをして『帝国の慰安婦』という本を書いた。この本は非常に客観的に書かれていると思うが、慰安婦団体によって発売禁止になってしまった。なぜかというと、自分たちが主張する慰安婦の歴史的事実と異なるから。この歴史的事実というのは、団体に所属する元慰安婦だった人たちからヒアリングをした寄せ集めで、検証を経ていないもの。それ自体をけしからんとは言わないが、客観的に調べたものを発売禁止にするというのは、まさに表現の自由を奪うものだ。そういう団体が表現の自由としてこれを出すというのはちょっとおかしい」と、事例をあげ疑問を呈した。

 そうした背景もあり、慰安婦問題をめぐる日韓の主張は食い違いが起きている。武藤氏は「こういう言い方をすると一方的だと批判されるかもしれないが、私が携わってきた共同研究でのやりとりを見たりすると、韓国の歴史的研究というのは、事実を突き詰めることよりも自分たちの主張に合った事実をどうやって当てはめていくかというもの。慰安婦の方々に強制性があったかなかったかというところが議論になっていて、これには色々な意見があると思う。そういう資料はなかったが、ただ証言はあり、どちらが事実かというのは色々なケースがあると思う。そういったことをきちんと検証しないといけないが、今の韓国との関係ではそれがなかなかできないというのは非常に残念だ。ドイツやポーランド、あるいはフランスとの間で歴史的研究が進んだことの一番大きな前提は、“国民感情は横に置いて、歴史的事実だけを突き止めましょう”という合意があったから。やはり、韓国との間では歴史もそうだが、それ以外のことについても事実は何なのか、何が正しいファクトかをきちんと突き詰めていけば、日韓関係は随分よくなるだろうと思う」との見解を示した。

 では、日本政府が撤去を求めているものが国内に、しかも公的なお金も入っている中で展示されたことはどう捉えればいいのだろうか。


 「日本政府が(慰安婦像に)なぜ反対しているかということをよく理解してもらわなければいけないと思う。国交正常化の過程で慰安婦だった人たちは議論に上らず、虐げられて苦しい生活をしてきた。我々としては慰安婦の方々に同情はあり、一生懸命にやってきたが、それに反してああいった少女像を作った。それを日本政府のお金の入ったところに展示するというのは、いくらなんでも日本国民を冒涜しているとしか私には思えない」と武藤氏。

 一方で、アーティストに対しては「非常に気の毒だと思う。コンセプトとしては決しておかしくはないと思うが、日本人が腹が立つもの、受け入れられないものを無理に押し込めてしまった。やはり芸術監督も日本国民が受け入れられるものを作らないといけない。タイミングも悪い」との考えを示した。
(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

【映像】“表現の不自由展“中止に作品出展の作家が反論

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