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パラリンピック 中国のメダル何故多い!

厳しい競争「メダル獲得こそ生きる道」
日本でも高まる競技性 東京の結果は?

2020年の東京・パラリンピックまで残すところ1年余、テレビCMに毎日のように登場するパラアスリートを見ながら、前回リオ・パラリンピックで中国と日本のメダル獲得数のあまりの違いに驚いたことを思い出した。金メダルで見ると中国は107個、22競技528種目のうち5分の1を占めたのに対し日本はゼロ。ことさらメダル数にこだわるつもりはないが、両国の取り組みのどこに、これだけの差が生まれる原因があるのか、にわかに信じ難い思いもあった。

参考までに、前回2016年のリオ五輪での中国のメダル数は金26、銀18、銅26(計70)。米、英両国に次いで全体の3位。日本は金12、銀8、銅21(計41)で6位だった。ところがパラリンピックの結果となると、中国は金107、銀81、銅51(計239)と金メダル数、全体数とも圧倒的なトップ。対する日本は銀10、銅14、金メダル数を優先したランキングでは全体の64位。2004年のアテネ大会の金17、銀16、銅20(計53)をピークに減少傾向にある。

中国の強さについて思いつくまま何人かに聞くと、人口13億人のこの国の障害者スポーツ人口の多さ、国が選手を選抜して育成するステート・アマの伝統、障害者用大型トレーニングセンターの整備など様々な要因とともに、メダリストに対する報奨金の多さを指摘する声も多かった。

報奨金は多くの国が導入しており、前回リオ・パラリンピックで日本は金メダル150万円、銀100万円、銅70万円を「日本障がい者スポーツ協会」(JPSA)が支給、自国開催の2020年は金300万円、銀200万円、銅100万円に増額する予定という。ちなみにリオ五輪のメダリストに日本オリンピック委員会(JOC)が支給した報奨金は、金が200万円アップの500万円、銀200万円、銅100万円。2020年には、さらに上乗せも検討されているという。

各種資料によると、リオ五輪の報奨金はシンガポールの金メダル7530万円を筆頭に、台湾6400万円、マレーシア6000万円などが上位に並ぶ。パラリンピックに関し中国の報奨金を関係者に調べてもらうと、リオ大会では金メダルが20万元(約301万円)。2000年のシドニー大会の15万元から毎回増額され、2012年のロンドン大会では50万元になったが、リオ大会で半分以下に減額されたという。中国は報奨金額などを公表しておらず、額、理由とも今一つはっきりしないが、数字を見る限り、中国の強さを支える要因はむしろ報奨金以外にありそうだ。

中国の障害者アスリートは訓練中に負傷した元軍人らも含め200万人を超すともいわれる。国として障害者支援を内外にアピールする狙いもあり、日本に比べ訓練施設も整っている。メダリストになれば報奨金だけでなく、日本と同様、競技団体などからの賞金、報奨金が上乗せされるケースも多い。コーチ就任やコマーシャル出演の機会も増え、勤務先の給与が上がれば最終的に年金にも跳ね返る。すそ野が広い分、生き残り競争は激しく、「メダル獲得こそ生きる道」といった厳しい競争原理が、多分に強い選手が育つ環境を作り出している気がする。

中国の人口は約13億人。都市戸籍を持つ4億人と農民戸籍の9億人に分かれる。急速な経済成長で発展した沿岸部の大都市と内陸部の農村都市では所得、教育、医療福祉に大きな差がある。裕福な上位10%が全国の総資産の60・9%を保有する、といったデータがあるように、格差は一層拡大しており、日本と同様、急速な高齢化で現役世代の保険料負担だけで年金支給額を賄えない時代を迎えつつある。

それだけ障害のある人たちの生き残りは厳しい。関係者の一人は「中国ではパラリンピックのメダル獲得が多い分、日本のようにメダリストが新聞やテレビで取り上げられる機会は少ないが、日本より厳しい環境の中で勝ち残り競争を戦っている。2020年の東京でもいい成績を上げるのではないか」と語る。

当の日本ではインクルーシブな社会の建設に向け道路のバリアフリーや駅のエレベーター設置など障害者や高齢者に配慮したハード面の整備が進んでいるが、障害者スポーツへの対応は遅れ気味。昨年6月、東京都品川区東八潮に日本在財団パラアリーナが完成しているが練習施設も限られている。

しかし、パラスポーツの競技性の高まりを受け2014年以降、障害者スポーツ事業の所管が厚生労働省から文部科学省に移管し、国の補助金も増えつつある。関係者からは「東京・パラリンピックはかなりのメダル獲得が期待できるのでは・・」といった声も聞かれる。果たして各国、とりわけ中国、日本のメダル数がどうなるか、注目したい。

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