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北のミサイルを「飛翔体」と呼ぶ安倍政権の弱腰

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■北朝鮮を「国際社会の枠組み」に取り込むべきだ

問題は安倍晋三首相が北朝鮮の金正恩氏に相手にもされていないところにある。安倍首相はトランプ氏にすり寄るのを止め、アメリカに毅然とした態度で臨むべきである。そうすれば金正恩氏も安倍首相の存在を認め、日朝首脳会談の実現にこぎ着けるだろう。

最近、安倍政権が使っている「飛翔体」という言葉自体、おかしいと思う。飛翔体とは飛行物体を指し、旅客機からミサイルまで空中を飛ぶすべてが当てはまる。北朝鮮が発射したのは兵器だ。北朝鮮も軍用と明らかにしている。安倍政権は「ミサイル」と呼ぶべきなのである。

アメリカも韓国も日本も、毅然とした態度を取るべきだ。腫れもの扱いすればするほど、金正恩氏に足もとを覗かれ、北朝鮮はますますエスカレートする。

腫れもの扱いするのではなく、金正恩政権を切開してとことん膿を出し、安保理決議という抗生剤を投与して細菌感染した政権内部を消毒する根治治療が求められる。とにかく北朝鮮を国際社会の枠組みに取り込んでいくことが必要なのである。

■国際社会の合意に違反し、緊張を高める北朝鮮

毎日新聞が8月4日付の社説で「静観続ける日米の異様さ」(見出し)と、ストレートに安倍政権とトランプ氏を批判している。その毎日社説を読んでみよう。

「最長飛行距離は約600キロで、日本本土が射程に入る。危険な挑発行為であり、看過できない」

「国連安全保障理事会の決議は北朝鮮に弾道ミサイル技術を使ったいかなる発射も禁止している」

「発射を受けた国連安保理会合で英仏独など多くの国が『安保理決議違反だ』と非難したのは当然だろう」

毎日社説はこうした指摘の後に主張する。

「驚くのは、トランプ米大統領の平然とした対応だ。『短距離で、多くの国が保有している』と容認しただけでなく、北朝鮮と『短距離に関する合意は一度も交わしていない。問題ない』とまで言い切った」

「だが、短距離かどうかが問題の本質ではない。北朝鮮が国際社会の合意に公然と違反し、緊張を高めていることだ。だからこそ、米国も『あらゆる射程の弾道ミサイルの廃棄』を北朝鮮に迫ってきたのだろう」

トランプ氏の平然とした対応にはこの沙鴎一歩も、驚かされる。「多くの国が保有している」などという発言は、認めることはできない。アメリカのリーダー失格である。

毎日社説が訴えるように北朝鮮が「国際社会の合意に違反」し、「緊張を高める」ところにこそ、大きな問題なのである。

■安倍首相は金正恩氏に足元を見られている

次に毎日社説は批判の矛先を安倍政権に向ける。

「その米国をたしなめていいはずの日本に動きがないのも不可解だ。安倍晋三首相は『日本の安全保障に影響を与える事態ではない』と平静を装っているようにみえる」

「北朝鮮がミサイルを立て続けに発射し、『国難』と呼んで厳戒態勢を敷いた2~3年前に比べると、その落差は異様ですらある」

「首相が呼び掛ける前提条件なしの日朝首脳会談の実現に障害になるのを避けたいのだろうか。そうであっても短距離ミサイルが日本への大きな脅威である現実は変わらない」

こうした毎日社説の指摘や主張も、賛成できる。日朝首脳会談の障害になるのを避けるために、安倍首相が非難を控えているとすれば、それこそ愚の骨頂であり、北朝鮮の金正恩氏に足元を見られるだけだ。ますます相手にされなくなる。安倍首相には毅然とした態度をとってもらいたい。

■「北朝鮮が図に乗る」と批判する産経新聞

8月1日付の産経新聞の社説(主張)もトランプ氏を批判し、安倍首相にも注文を付けている。

産経社説は冒頭部分で「危険な軍事的挑発を繰り返すことは到底認められない」と指摘したうえで、「国連安保理決議違反であり、国際社会は対北制裁をより強固にしていくべきである」と主張する。さらに産経社説は書く。

「極めて残念なのは、トランプ米大統領が、軍事挑発の責任者である金正恩朝鮮労働党委員長に甘い顔をしていることだ。おかげで北朝鮮が図に乗っている面が否めない」

「極めて残念」「甘い顔」「北朝鮮が図に乗る」など手厳しい言葉を並べて訴えるところが産経社説らしい。少々皮肉を言えば、トランプ氏の「アメリカ第一主義」を真似て「日本第一主義」を強調してきたところのある産経社説が、正面からトランプ氏を批判するからおもしろい。

産経社説は最後にこう書いている。

「安倍晋三首相は7月31日、『わが国の安全保障に影響を与えるような事態ではないと確認している』と語ったが、緊張感に著しく欠ける。新型ミサイルの脅威を国民に伝える必要がある」

「日米両政府は北朝鮮の新たな脅威を直視し、挑発を許さない姿勢で臨まなければならない」

沙鴎一歩も、緊張感を欠く安倍首相の発言は問題だと思う。日本の安全を守るのが首相の一番の務めである。それを怠っているようでは首相失格だ。産経社説にいわれるまでもなく、挑発を許さないことが重要だ。

(ジャーナリスト 沙鴎 一歩)

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