記事

"自由を愛する韓国人"が失望する文在寅のウソ

1/2

あたかも韓国全体が「反日」かのような誇張

結論から言うと、ソウルは平穏で日本料理店には韓国人客があふれ、ビアホールではアサヒビールが飲まれていた。ただ、反日はテレビと新聞の中、国会の中、日本大使館前だけで激しく展開されていた。これは私がソウルの日本大使館に調査員として勤務していた1982年の第一次教科書問題以来、ずっと同じで、日本のマスコミが韓国の政治家の発言とマスコミ論調を紹介し、大使館面の反日パフォーマンスを報じるので、あたかも韓国全体が反日で燃え上がっているかのような誇張が日本に伝わる。

2019年7月25日、雇用創出のための投資協定の調印式でスピーチする文在寅大統領。 写真=EPA/時事通信フォト

ただし、今回の反日がこれまでと異なるのは、青瓦台(せいがだい、大統領官邸)が先頭に立っておあっていることだ。青瓦台の実力秘書官がSNSなどで連日、反日扇動を行っていることが特異な現象だ。

曹国(チョ・グク)大統領民情首席秘書官(7月26日に交代。法務長官起用説がある)が今回の反日の中心人物だ。彼はSNSで、「親日は利敵で、反日は愛国だ」という過激なメッセージを発信した。民情首席秘書官とは検察、警察、司法など法執行機関を担当する次官級の役職だ。その人物が親日は「利敵」だと明言したことの意味は重い。

韓国は違った国になろうとしている

青瓦台の反日扇動に合わせて、反日パフォーマンスやデモを主導しているのは、やはり親北左派活動家らだ。日本商品のラベルを踏みつけるパフォーマンスを主導したのは、北朝鮮主導の暴力革命を目指しているという理由で朴槿恵(パク・クネ)政権によって解散させられた極左政党・統合進歩党関係者だった。「NO安倍」プラカードをかかげる反日ろうそくデモも、朴槿恵弾劾デモを主導した極左労組などが主導している。

私は、文在寅(ムン・ジェイン)政権になって日韓関係だけが悪くなったとは思っていない。韓国がこれまでの日米韓3カ国同盟、自由民主、市場経済、反共という路線から外れようとしており、それが日韓関係にも反映していると見る。われわれと付き合ってきた韓国とは違う国になろうとしている。

北朝鮮の政権が半島の中で正統性があると考える「主体思想派」(主思派)が南で権力を掌握した。その結果、今までの路線から抜け出ようとしているのだ。

大統領府秘書官の半分を占める主体思想派

80年代に地区の革命運動に広がり90年代には学界、言論界、教育界、芸能界、労組、市民運動などに急速に拡大していった主思派がいまでは大統領府秘書官の半分を占めるようになった。本来は冷戦が終わり、社会主義勢力は衰退していくはずだが、民族主義が媒介になったため、そうはならなかった。

70年代は朴正煕(パク・チョンヒ)大統領の独裁的なやり方に反対し、韓国は経済も豊かになったのだから、独裁を緩めて、民主化した方が北朝鮮の共産主義勢力との戦いで有利になるのではないかという民主化要求が起こった。

ところが80年代になると「正統性」の議論になった。韓国よりも北朝鮮の方に正統性があるという見方が急速に広がったのだ。その媒介になったのが『解放前後史の認識』という本だ。80年代の学生で読んでない者がいないくらいのベストセラーになった。

同書は解放の45年から大韓民国建国の48年までを扱っている。李承晩(イ・スンマン)政権は親日派を清算せず、日本時代の官僚や軍人、警察官をそのまま使ってスタートした親日派政権だ。彼自身は外国で活動していて、実際は銃一発も撃ってない。一方、同書には明記されていないが、その主張の延長線上で、金日成(キム・イルソン)は銃をとって戦い、親日派も清算している。民族主義の観点から南北どちらに正統性があるかという指摘にまで到達する。

韓国はさらにその後、親日派が親米派に化け、独裁政権となった。だから韓国の現代史は汚れた歴史だという捉え方だ。

「親日勢力の排除」こそ正しい歴史とする思想

文在寅が、大統領選挙の時に出した『大韓民国が尋ねる、文在寅が答える、完全に新しい国』という選挙公約を書いた書籍では「大韓民国の主流勢力を取り換える」と繰り返した。その主流勢力とは「親日勢力」のことだ。

同書にこう書いてある。「親日勢力が解放後にも依然として権力を握り、独裁勢力と安保を口実にしたニセ保守勢力は民主化以後も私たちの社会を支配し続け、そのときそのとき化粧だけを変えたのです。親日から反共にまたは産業化勢力に、地域主義を利用して保守という名に、これが本当に偽善的な虚偽勢力です」。

主流勢力とは彼らに言わせれば親日派であり、それが化けたという、反共派、親米派、開発勢力だ。これらが清算されていないのだと。だから全部を交代させてこそ、初めて歴史が正しく打ちたてられる、と主張している。同書の副題が「完全に新しい国」とされていることに、文在寅大統領の思想が表れている。

だから前任大統領を2人も刑務所に入れ、最高裁の前任長官も「徴用工判決を遅らせた」として逮捕した。彼らからすれば主流勢力を交代させる革命なわけだ。

保守派から反日批判の声が上がり始めた

保守派リーダーの趙甲済(チョ・ガプチェ)氏は「文在寅政権は現在、反日政策を使って、①自分たちの親北政策を隠す②韓米日三角同盟を弱体化する③韓国の主流勢力を親日派として攻撃する――という一石三鳥を狙っている。無条件の反日は反逆であり、是々非々の親日は愛国だ。今の機会に、韓国国民は、日本が韓国の敵なのか友人なのか、真実と国際法と国益の立場からきちんと概念整理をしなければならない」と先に紹介した曹国氏の親日利敵論に正面から反論した。

そして「自由韓国党の黃教安(ファン・ギョアン)代表が文大統領や与野党代表らと会談して、日本の措置を不当な経済報復だとして、政府与野党が協力して日本に対抗するとする文書に署名した。保守新聞の朝鮮日報も社説で反日には与野党の違いがないという趣旨を書いた。なぜ、文政権が65年の日韓請求権協定に違反していることが関係悪化の原因だと直言しないのか。日本や米国の自由を愛する友人らが失望しているはずだ」と強く警告した。

文在寅政権が約束違反をしていることが日韓関係悪化の原因だという趙甲済氏のような正論は、キリスト教系全国紙「国民日報」、自由韓国党の元議員ら、在野保守リーダーから発信されている。そして、戦時労働は奴隷ではなく、日本企業に賠償を求めた判決は歴史的事実を誤認しているうその判決だとする根源的反日批判の声も学者らから出てきた。

あわせて読みたい

「文在寅」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    毎晩の営み要求に外国人若妻嘆き

    幻冬舎plus

  2. 2

    バレてる? ポルノサイト閲覧記録

    島田範正

  3. 3

    香港デモの対応に困り果てる中国

    NEXT MEDIA "Japan In-depth"

  4. 4

    香港巡り日本が中国に絶妙な指摘

    やまもといちろう

  5. 5

    進次郎氏「デキ婚」に伯母が激怒

    SmartFLASH

  6. 6

    五輪招致で大見得を切ったツケ

    企業法務戦士(id:FJneo1994)

  7. 7

    反日精神を批判する韓国の講義

    一般社団法人日本戦略研究フォーラム

  8. 8

    日米軍事演習 韓国を脅威設定に

    文春オンライン

  9. 9

    韓国大使に一喝 河野外相を称賛

    一般社団法人日本戦略研究フォーラム

  10. 10

    水道民営化=値上げ?誤解誘う投稿

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。