「海外発の下方リスクによるわが国経済への影響が一層懸念されている。リスクが顕在化する場合には、機動的なマクロ経済政策をちゅうちょなく実行していく」(5日NHK NEWS WEB ”安倍首相 「経済リスクには機動的に対策を講じる」”)
政府と日銀は「躊躇なく」という言葉がお好きなようだ。しかし、政府、日銀がお好きなこの表現は「実際にやれることはない」時に使う常套文句。
今の政府が躊躇なく実行できる機動的なマクロ経済政策は、2か月後に迫った消費増税の中止くらいしかない。
「リスクが顕在化する場合には、機動的なマクロ経済政策をちゅうちょなく実行していく」と豪語する総理だが、2016年5月に開催された伊勢志摩サミットで「世界経済はリーマン・ショック前に似ている」という珍景気認識を示して世界中から失笑をかった苦い経験を持っている。その総理が、果たして「リスクが顕在化した」という景気判断に基づいて「躊躇なくマクロ経済政策を実行していく」ことが出来るのだろうか。
実際にリーマン・ショック級の事態が起きるまで何もせずにリーマン・ショック級の事態を招くことになったら、再び世界の笑いものになる。
さて、こうしたジレンマを抱える総理は「躊躇なく」正しい選択をできるだろうか。