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師は詐欺師の師

ふむ。
学ぶ力 (内田樹の研究室)
第一に、「自分は学ばなければならない」という己の無知についての痛切な自覚があること。

ハァ?
第二に、「あ、この人が私の師だ」と直感できること。
第三に、その「師」を教える気にさせるひろびろとした開放性。
この三つの条件をひとことで言い表すと、「わたしは学びたいのです。先生、どうか教えてください」
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あきれた。師は師でも詐欺師というやつだろ、これは。
具体例を挙げて説明しよう。
あなたは、誰に教わって自転車に乗れるようになりましたか?
あなたは、誰かに自転車の乗り方を教えたことがありますか?
そうだとして、彼/女が自転車に乗れるようになったのはあなたのおかげですか?

私は年齢が一桁の頃の記憶はまるでなくて(いや、あるのかも知れないけど思い出し方を知らない。思い出し方を教えていただかなくても結構)、記憶にある自分はすでに自転車に乗れるようになっていたのだけど、私の娘達が誰に教わったかなら知っている。

誰にも、教わっていない。
私は人より少しばかり多く本を読むが、それを読了したら確実に自転車に乗れるようなるという本には出会ったことがないし、その人に教わったら確実に自転車に乗れるようになるという人もまた知らない。

私が知っている限り、我々は自転車の乗り方の教え方を知らない。いや、すでにムラタセイサク君がいるのだから、ロボットにどうやって自転車に乗ればいいかを教えることは出来ることは知っているけれども、我が娘達も私もそうやって自転車に乗れるようになったのではないのは確かだ。
自分で、自分を教えたのである。

学びの根本は、そこにある、過去も現在も未来も。
人から学べることは確かにある。自分だけで考えていては一生分からないことが、一言交わすだけでわかってしまうこともある。誰からも何も学ばなかった人などこの世に存在しないだろう。

しかし、人からしか学ばなかった人などいないというのも、また事実である。
それよりは、真っ白な状態がいい。まだ何も書いてないところに、白い紙に黒々と墨のあとを残すように、どんなこともどんどん吸収するような、学ぶ側の「無垢さ」、師の教えることはなんでも吸収しますという「開放性」、それが「師をその気にさせる」ための力であり、弟子の構えです。
無垢さというのは、ありていに言えば師の色に染まりやすいということではないのか?

開放性というのは、「師の教えることは」なんて条件抜きの「なんでも吸収します」なのではないか?

「師から学ぼう」というスローガンは、文明人の最悪の生活習慣病ではないのか?教師に囲まれて育てば、何かを学ぶというのは誰かを通してというのが不自然に感じなくなってしまう。だから、目の前にありのままの答えがあるのに、「答えはどこ?」と人に尋ねて回るような滑稽な光景が後をたたなくなる。そして本当の答えではなく、答えもどきを詐欺師から高額で購入する羽目になる。師が実は詐欺師であったことを学ぶのはまだいい方で、一生「師」からもらった答えもどきを開運の壷のように後生大事に抱える人々がこうも多いのを目にしては、馬鹿にはいくらでも冷酷になる私でさえ、(今となっては一円半にすぎない)"two cents"、つまり本entryを起こす程度の義憤は湧く。

本来あなたは、「誰からでも」どころか「何からでも」学ぶことが出来る力を持っているのである。

誰にも教わらなくとも、誰も教え方を知らなくても、自転車に乗れるようになるように。

というわけで最後に一言おせっかい。

「師」を見たら詐欺師と思え。

何かの間違いでこの私が「師」に見えてるあなた、もちろん私もその詐欺師候補だということをお忘れなく。

Dan the Self-Taught

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