- 2019年08月05日 15:02
親子上場問題-親会社が「悪者」にならないために果たすべき説明責任
2/2ただ、ここからは私の個人的見解ですが、親子上場には構造的な利益相反関係を排除する要請があり、逆に親会社における子会社株式という財産の管理(ポートフォリオ管理)の要請もあるので、これらはトレードオフの関係にあります。そしてそのトレードオフを(円満なうちに)解消する道は、上場子会社の完全子会社化に踏み切るか、上場子会社の独立性は尊重したままで、独立社外取締役の活用を図るか、のふたつしかないと考えます。
また、親会社には(会社法上)企業集団内部統制の整備・運用の責任があります(ちなみにヤフーはアスクルとの関係で、会社法上の親子関係にはないと思われます)。子会社が上場している場合には子会社の少数株主の利益を保護することも子会社取締役の適正な職務執行のひとつです。「子会社取締役の職務執行の適正を確保する体制」を支援しなければならないので、少数株主保護を職務とする子会社の社外取締役の選解任には、親会社の取締役会での格段の配慮(十分な審議)が必要となります。上記経産省のグループガバナンス実務指針では、
親会社は、グループ全体としての企業価値向上や資本効率性の観点から、上場子会社として維持することが最適なものであるか、定期的に点検するとともに、その合理的理由(グループの事業ポートフォリオ戦略と整合的であり、利益がコストを上回っていること)や上場子会社のガバナンス体制の実効性確保(そのための取締役の選解任権限の適切な行使)について、取締役会で審議し、投資家に対して情報開示を通じて説明責任を果たすべきである(6.2.1「グループの事業ポートフォリオ戦略の視点」参照)
とされています。まさに、今回のヤフーの議決権行使の問題で考えるなれば、独立社外取締役のパフォーマンスについてはヤフーの取締役会で(従前から)議論されていたのか、独立社外取締役の各人と面談等によって上場子会社の取締役たる適正に関する審査を行ったのか、ヤフーの取締役会では(3名の方々が)子会社の独立社外取締役として、どのような理由で「ふさわしくない」との判断に至ったのか、といったところをヤフーの投資家、株主向けに説明する必要があるのではないでしょうか。



