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教員の評価を公表する愚~mimosaさんのコメントより

更に酷くなった教育基本条例は大阪の学校教育を破壊しつくす。」で、「小中学校の教員の勤務評価分布を学校ごとに公表して学校を選択するときの材料にしてもらう」という更に改悪方向になされた修正をご紹介しました。

先生の勤務評価と言っても学校によって評価を下す校長はそれぞれ異なりますから、異なる学校間の先生同士では比較の対象になりっこありません。相変わらずよく考えもしない思いつきばかりポンポンだしてくるなあ、と思います。
橋下氏は「決められる政治」がウリみたいですが、これって単に「オレ様の思いつきだけでどんどん勝手に決められる政治」のことじゃないかしら?

この「先生の勤務評価を公表する」ことがいかにばかげているか、元教員でいらっしゃったmimosaさんがコメントで詳しく解説してくださったので、是非皆さんにも読んでいただけるよう、エントリーにアップしておきます。(なお、若干改行させていただきました。)
mimosaさんありがとうございました。

http://akiharahaduki.blog31.fc2.com/blog-entry-944.html#comment7882

教員の評価について (元おちぶれ教員さん,読んでおられたらフォローお願いします)

 教員の評価のについて書くために,まず教員の仕事(評価される内訳)についてみなさまに知っていただきたく,長文になりますが,お許しください。

 教員には,全員に大きな柱となる仕事が3つあり,どの教員もその3つをこなしています→公立(高)校。
これは私立高も同じで,恐らく中学も同じだと思います。
決して,教えたりクラス運営をしたりするだけが教師の仕事ではありません。
これは全国の都道府県が持つ公立高校でずっと前から同じですが,橋下さんはその3つを全部言うことさえできないと思います。

 答は,まず皆さんがご存知の『教科指導』。
これも細分すると,授業準備(プリント作成,印刷),授業,放課後の補習,課題回収とチェックと返却,
定期試験作成と採点,模範解答や講評等の配布資料作り,成績処理,HR準備くらいは少なくともあります。
そして,その他にも『クラブ指導』と『分掌』が,教員全員の仕事です(3つの柱)。

 クラブ指導は体育科や音楽科の教師だけの仕事,『分掌』は担任のない一部の教師だけの仕事,と思う一般の方
は多いと思いますが(私も昔そうでした),違うのです。全員がいずれかのクラブの顧問で,いずれかの分掌の担当します。
自分が(実技が)できない球技等のクラブ顧問になることもあり,その場合,実技指導ができなくても,部費管理と 会計,生徒の相談相手の他,練習試合(週末)や合宿の引率に行き,試合で審判ができるようになるための講習会等の研修にも行く必要がある(=出張)ので,決して実技指導ができる先生だけがクラブ指導で大変なわけではありません。

 ちなみに,分掌には『教務』『総務』『生徒指導』『進路指導』『図書』『保健・教育相談』などがあり,
担任を含む全教員がどれかを担当します(担任でない教師は,担任よりは分掌の仕事量が多いという違いはある
=分掌専任)。

 『広報』の仕事=学校の宣伝(→近隣の中学校周り,学校説明会や体験授業,学校見学等のプラン作成やスケジュ
ールの拡散,学校案内冊子作りなど)が総務部に含まれていたり,総務部が教務部に内包される場合もあるので,
上の分掌(=『 』)の全てが『○○部』として独立しているかどうかは学校に依りますが,3本柱はどこの学校でも変わりません(支援学校を除く)。

 そして,3本柱の各々について会議があり(教科会,分掌会,クラブ顧問会議),さらに学年会,職員会,担任会などの会議に出席する職務もあります。
また,例えば自分の分掌が『進路』であっても,業間指導や登下校指導(などの『生徒指導』)は,分担して全教員で行うことが多いため,自分の担当以外の分掌に関わることが必要な場合もあります。
 正直言って,大学では『分掌』の各々だけに勤しむ専門の事務職員が雇われており,例えば就職指導課の職員は教科やクラブの指導はしません。
分掌だけでも,とても重い仕事なのです。

 橋下さんは教員の評価に関して,現場の最高責任者の校長方の上に立って,あれこれ大きく変えようとしています。
しかもこの記事のように「教員の評価の公表」を考えているなら,公表する評価が3本柱の全てに置いて適正な評価であるためには,評価基準が次の点をカバーできていることが必要です。
…*校長は3つの仕事をどんな比重でどう採点したら,適正な評価ができるか。
そのためには,
*どんな職場にとっても共通な基礎部分の,適正な評価基準の例,
*職場のタイプ別の評価方法の幾とおりかの例(評価に柔軟性を持たせる場合の実例),

これらのたたき台くらいは用意できていないと,公表される評価の信頼性,妥当性は疑わしいと思われます。
指揮官にはそこまでできないと言われるなら,せめてそのレベルのものがこの先現場で準備できる見込みがあるか
どうか,を探るべく,教員の評価についての多くの校長の意見を聞く機会を持つことくらいは,当然するべきなのでは?

 さて,現実には,学校により現場の事情や条件は様々に異なるので,そんな基準は作り得ないことは自明です。
わかりやすいように,例を挙げます。

例えば,「放課後どの会議にも一切出ず(同じ教科や学年の先生に任せて),『分掌』の仕事も『部指導』もしない。
でもその時間に毎日補習を設定し,継続してずっと『教科指導』に従事する先生」がいたとして,
その教師の評価はどうなるか?
 難題です。評価の仕方を是非聞いてみたいものです。教科や学年の先生方,そして生徒はとても助かる,
でも同じ部の顧問と,分掌,学年,教科の同僚(他の教師)のフォローがあってこそ,できることです。
補習をしている時間,彼(女)が分掌や部の仕事をしない分は,他の教師が補完しているのですから。

このように,教員の相互協力でなんとか学年全体,教科全体ひいては学校全体の仕事が補完されている事例は,
学校では多いので,その毎日補習をする教員が「(全教員出席が必須の)会議に出てない」,とか,
「部指導や分掌の仕事を補習中してない」からといって,即悪い勤務評定をつけることは難しいし,
また反対に,補習はしないものの,その分,分掌や部指導で彼(女)の分まで貢献している教師もいます。
 つまり「相対評価で最下層の評価の教師を必ず5%は作る」などというとんでもない制度を考えた橋下さんの前科を考慮すると,彼は,
*3本柱を考慮した評価基準は何1つ考えないまま。それどころか
*教師の仕事にどういうものがあるかすら,知ろうともしないまま。さらに
*「教員の相対評価は難しい」と言う校長の意見には耳も貸さずに,
教師を相対評価で順位付けし,さらにそれを公表する制度を導入しようとしているのだと確信します。

そして,上述のように,その評価は「教師の仕事の全体像(3本柱)」を鑑みれば公正なものとは思えず,
何を以て評価するのかさえよくわからず,全てが校長任せとなるように思えます。
 首長として教育に口出しするなら,教員の守備範囲として,教科の仕事以外にもこれくらいはあるということを知るところからしてもらいたい。

維新と公明党の議員さん達は,できたら1月でも教諭を体験してみてはどうでしょう?
→6畳の部屋で6人の乳幼児の面倒を,奥さんと2人で一回見てごらん,という保育所の基準緩和の話と同じ。

 生徒が教師の「授業評価」をすることは可能だし,教師にとってもその声をきくことはとても勉強になります
(それでも,例えば「ある教師の出す多い宿題」が,ある生徒には重荷でマイナス評価,ある生徒は歓迎してプラス評価をするといったような,正反対の評価になることもあるので,評価は本当に難しいですが)。

 でも保護者が教師を評価する場合は,ずいぶん偏った一部分しか評価ができなくても当然です。
ある先生が教科指導以外の仕事でどれくらい学校や(自分の子以外の)生徒に貢献しているか,は保護者にはあまりわからないからです
(特に分掌面は,ほとんどわからないのではないでしょうか)。

なのに,保護者に『不適格教員申し立て権』を認めるなどと,これ自体果たして適切だったと言えるでしょうか。
 これはまた,現場を知らないままトップに立つことになる民間人校長も同じです
(トップが教員の仕事内容を知らずして適正な評価ができるわけはないのに,とても大きな権限を持たせてしまっている)。
秋原さんが言われるように,民間校長が「起立斉唱をしている」など,教師の仕事のうちごく一部のある仕事について,自分(=校長)の主義に合った,気に入ることをする教師にだけよい評価をつける危険性が大きいと言えるでしょう。

この法案が通ったあと,大阪市立学校がどうなるかを考えると,先生方と生徒らが虐待を受けているようにすら思えます。




「教科や学年の先生方,そして生徒はとても助かる,
でも同じ部の顧問と,分掌,学年,教科の同僚(他の教師)のフォローがあってこそ,できることです。
補習をしている時間,彼(女)が分掌や部の仕事をしない分は,他の教師が補完しているのですから。」

学校の先生どうしがこうやってお互いに支え合うことが、子ども達のためになるわけですね。
でも、橋下氏は何にでも競争原理を持ち込みます。先生同士も競い合わせることによって良い結果がでるだろう、という単純思考のようですが、先生同士を互いに競い合うべき敵同士にさせてしまっては、子ども達をサポートすることができなくなってしまいます。とばっちりを食うのは子ども達です。
橋下氏はそう言うところもわかってないで、我が物顔で教育を引っかき回してるのでしょう。

なお、村野瀬玲奈さんもこの問題を取り上げてらっしゃるのでこちらも。全文はリンク先でお読みください。

◆村野瀬玲奈の秘書課広報室

@t_ishin エゴイズム促進にしかならない大阪市教育基本条例
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-3450.html
(引用開始)
まず、大きく言えば、この条例の関心の中心は、公教育に何よりも必要な、平等の精神や自由な精神の営みや学ぶことの楽しみ、発見の喜び、知的好奇心の感覚を応援することなどを可能にする教育環境の整備を目指すものでは全くないということです。

別の言葉で言えば、この条例の関心の中心は、教員が「サバイバルゲーム」にエネルギーを注がなければならないようにすることだけでしょう。「教員は普通に教えていれば悪い評価が付くはずはない」という反論が橋下信者から寄せられそうですが、何が評価の基準かなんて全くわからない以上、それは無意味な反論です。

仮に、この条例が自分の担当する生徒の成績をもとに教員を評価するようにする、としましょう。そうしたら、教員は、もともと成績が良くない生徒を担当したいとは思わなくなるでしょう。そういう状態では、もともと学業への興味の薄い生徒に根気よくはたらきかけてその成長を喜ぶ、などという、エネルギーのわりに自分自身のプラスポイントになりにくいことに教員が取り組む動機が薄れるからです。

簡単に言ってしまうと、教員は、成績のよい生徒だけを担当していれば自分の評価が上がる、という方向に誘導されてしまうことが容易に予想されてしまうのです。これは、教育環境としてはたいへんに不毛なものです。

これでは、子どもの面倒をみようとする良心的な教員であるほど、とても耐えられない勤務環境となることは容易に想像がつきます
(引用ここまで)

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