記事

パチンコ業界への規制緩和、その正当性は?

さて、本エントリはシリーズ投稿の続きです。まだ前回エントリをご覧にって居ない方は以下からどうぞ。

その1:パチンコ規制強化はカジノのスケープゴート?
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/10084361.html
その2:族議員の国政送致に失敗したパチンコ業界の今後
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/10087386.html

という事で現在、国政において水面下で風営法の改正論議が進み始めているワケですが、今回の論議は前回2015年に行われた風営法改正時と大きな違いがあります。それが、風営4号業種が規制緩和の対象として検討されているという点であります。

風営4号業種とは、風俗営業法第二条第一項第四号において「設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業」と規定されている業種であり、その代表格がパチンコ業および麻雀業となります。今回の改正論議は、この両業種も規制緩和の対象として含んでいる、というよりは寧ろこの両業種への規制緩和が中心的に語られているというのが実態なワケですが、果たしてそう簡単に行くでしょうか。

風営法において規制されている業種は、それらが適正に運営が行われる限りにおいては「庶民に対する文化的交遊機能を提供するサービス業種」として機能するものの、適正に運営が行われない場合においては善良の風俗と清浄な風俗環境を害し、少年の健全な育成に障害を及ぼす行為となる可能性があることから、その健全化を図る目的で規制の対象とされていると法律上で解されている産業であります。

この様な産業に規制の緩和が行われる場合には、その産業が既に十分に健全化が保持されている事の論証が必要であり、同時にその産業に対する規制緩和と振興が広く一般社会から支持されていることが必要となります。この点において、例えば2015年の風営法改正の中核的対象となったダンスクラブ業は、2012年から中学校の保健体育の授業において武道・ダンスが必修化されたことを論拠に我が国においてダンスが既に健全な青少年を育成する文化として受け入れられている事を論証し、またダンスクラブを拠点として活動を行う芸能人などが中心となって社会運動を起こすことで、広く市民からの支援を獲得することに成功しました。このことが一種の「正当性」となり、ダンスクラブの深夜営業を解禁すること等を柱とした2015年の風営法の改正が実現したわけであります。

この点に関して、今回の風営法改正論議において規制緩和を求める側に居る麻雀業は一定の「正当性」を積み上げてきています。麻雀業界では「賭けない、飲まない、吸わない」を標語とした健康マージャンと呼ばれる麻雀文化が広がりを見せており、認知症予防などを目的としてシニア層への普及などが積極的に行われ始めています。また、2018年には「脱ギャンブル宣言」を掲げる麻雀プロリーグ「Mリーグ」が発足。コナミ、サイバーエージェント、セガサミー、テレビ朝日、電通、博報堂、U-Next、KADOKAWAと各業界を代表する企業全8社がリーグに参画し、それぞれの企業の看板を背負った選手がシーズンを通して激闘を繰り広げる、いわゆる「競技マージャン」と呼ばれる新しいムーブメントが起こっています。

今回、麻雀業界が求めている風営法の改正は、その様な時代の変化と業界の潮流に合わせた形で風営法の規制緩和を求めるものであり、それが今後、広く市民からの理解を得られるかどうかは別として、そこに一定の「正当性」が示されているのは間違いないでしょう。

一方、同様に今回、規制緩和を求めているパチンコ業界は前途多難です。パチンコ業界において近年記憶に新しいニュースと言えば、2015年に発覚した遊技機の「不正改造」問題。検定時と異なる性能へと不正に改造された遊技機が市場に大量に出回っている可能性があるとして、市中に存在する遊技機のうちおよそ25%にあたる72万台の遊技機が全国のパチンコ店から撤去されることとなりました。

また、近年認知が広がったのがギャンブル等依存に関する社会問題です。2017年に行われた調査に基づくと、国内には生涯のうち一度でもギャンブル等依存に陥った疑いのある人が320万人存在し、間近一年で同様の疑いがある人が約70万人存在することが判っており、また臨床の現場からはこれらの疑いがある人のおおよそ8割から9割がパチンコに対する依存であると報告されています。

上記の様な理由をもって、ここ数年、パチンコ業界は規制の緩和の対象となるどころか、むしろ規制強化の対象となってきたのが実態。パチンコ業界の方々は、これらを「ただただ日本にカジノを入れたいために、遊技業界がスケープゴートされている」などと主張をしている様でありますが、全くもってナンセンスであるとしか言いようがない。ここ数年行われている規制強化は、間違いなく業界の「身から出た錆」以上でもなければ、以下でもないというのは先のエントリでも述べた通りであります。

この様なパチンコ産業が、これから巻き起こる風営法改正論議において如何にしてパチンコ業界に対する規制緩和の正当性を主張し、広く市民の支持を得て行くのか。度重なる規制強化によって業界の方々がパチンコ業界の未来に対し危機感を持っていることは理解するものの、個人的にはなかなか難儀な話だなあとしか申し上げようがないのが実態です。

(本エントリはまだまだ続きます)

あわせて読みたい

「パチンコ」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    日本へ謝罪求め続ける韓国に疑問

    諌山裕

  2. 2

    日韓対立 両国は主張の棚上げを

    舛添要一

  3. 3

    222万部減 新聞はもう要らないか

    PRESIDENT Online

  4. 4

    森ゆうこ氏の「圧力」に応じない

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

  5. 5

    首相「夕食会費はホテルが設定」

    ロイター

  6. 6

    佐野史郎 病室では寝たきり状態

    女性自身

  7. 7

    JESSE被告「コカインなめた」

    阿曽山大噴火

  8. 8

    米国が繰り返し韓国のウソを指摘

    高英起

  9. 9

    中国が圧力? 英大学で高まる警戒

    木村正人

  10. 10

    桜見る会の前夜祭費 菅長官が嘘?

    中谷 一馬(Kazuma Nakatani)

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。