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安倍政権という「ビジネスモデル」 ~サブスクリプションとベンチャー投資~

終わってから実はまだ一週間しか経っていないが、遠い過去の様に感じる。

7月24日(日)に投開票があった参議院議員選挙のことだ。

史上2番目の低さという低投票率と予定調和的結果もあって、「既に終わったこと」感が強いのかとも思う。それくらい、「何もなかった」感が強い。

この事象を政権側から見れば、まあ、万々歳と言って良いと思う。もちろん、若年層ほど自民党支持率が高いことに鑑みれば、若年層の記録的な低投票率は政権にとって残念な現象であったろうし、結果として、いわゆる改憲勢力の議席が参院全体の2/3を切って憲法改正が遠のいたこともいただけないであろう。

ただ、政権の安定という意味では、政権側は、「何もなかった」的に、圧勝したと思っているのは間違いないであろう。比例区では与党獲得議席は50議席中26議席(約半分)、2人区以上は42議席中23議席(約半分)であるのに対し、与野党が直接に激突し、政権の安定にとって最も決定的となる1人区で32議席中22議席(2/3超)を勝ち取った事実は大きい。

特に今年は、統一地方選と参院選が重なる12年に一度の大変な年で(与党が苦戦することが多い)、まさに12年前の2007年の参院選で苦杯をなめ、退陣へと追い込まれた経験を持つ安倍総理にとっては鬼門の年であったが、これで無事に乗り切ったと感じているのではないか。その間、新旧の天皇陛下のご即位とご退位、改元があり、G20で各国をホストして議長を務める等の外交日程も目白押しであった。政権側から見ればよくやったと見るのも無理はない。

こうした結果・評価をもってか、自民党は今回の参院選で議席を減らしたものの、党内でいわゆる「安倍降ろし」の声は全く出ていない。むしろ「党則を再度変えて安倍総裁の任期延長を」という声すら出ている状況だ。

先般、伊藤博文を抜いて歴代3位の総理在任期間を達成した安倍総理だが、間もなく歴代2位の佐藤栄作を抜き、11月には歴代1位の桂太郎を抜くことがほぼ確実になってきている。仮にこのまま安定政権が続けば、来年夏には、連続在任期間の長さでも佐藤栄作を抜いて1位になる。

結果として安倍政権が極めて安定的に長く続いているのは確かだが、正直、後世に残る歴史的な成果を収めているかと言われると、物足りないと思うのは私だけではないであろう。沖縄返還を果たした佐藤政権や日露戦争を勝利と言う形で乗り切った桂政権などと比べて、安倍政権にはどのような修飾語が付くであろうか。

分かりやすい大々的成果があるわけでもない中での安倍政権は、なぜ長期安定化しているのか。見方によっては、二つの流行のビジネスモデルをうまく活用しているようにも見える。

一つは、いわゆる「リカーリング」「サブスクリプション」モデルだ。これは、商品をその都度その都度購入するのではなく、定額で(或いは従量に応じて)継続的に月払いのような形で対価を支払い続けるモデルのことで、古くは新聞、最近だとNetflixのような定額での動画見放題サービスが典型だ。

個人的には、画期的な商品を出すというよりは、一度捕まえた顧客を飽きさせないように定期的に新しい商品・サービスを届けるところにこのビジネスモデルの本質があると見ているが、アベノミクス、地方創生、新三本の矢、一億総活躍、働き方改革、全世代型社会保障のように、毎年のように新しい標語を国民に届けている安倍政権はこれを体現しているように見える。

私見では、一定期間購入して一度「絆」が出来ると、サービス更新がイマイチでも、惰性で購入が継続していくのもこのモデルの特色だと思っているが、その点でも、安倍政権はこの「リカーリング」「サブスクリプション」的手法をうまく実現しているように思える。

もう一つは、「ベンチャー投資」モデルだ。製薬会社などに典型的にみられるが、いわゆる大企業病などの現象を受けて、有力な製品・サービスを自社で開発しづらい環境が生じてしまっているため、そうした製品や開発機能を有するベンチャー企業を買収したり、将来的な買収も見据えて予め投資をしたりしておく行為だ。

旧民主党からこぼれて来ている選挙に強い有力な保守系議員、かつての松本剛明氏や山口壮氏、最近だと細野豪志氏、長島昭久氏、鷲尾英一郎氏といった面々をどんどん取り込んでいく様子や、政権の友党とも言える維新への鈴木宗男氏の入党促進などは、まさに「ベンチャー投資」に思われる。うがった見方をすれば、大きくなりすぎた自社(自民党)ではなかなか動きだせない改革を、投資先(維新)などに既に言わせたり、言わせようとしたりしているようにも見える。

ビジネスモデル的には、長期安定という歴史的な大成功をおさめている安倍政権だが、是非、その政治的資産を活かし、残りの期間で、国民的な関心でもある社会保障分野などで、画期的な商品開発・実現をしてもらいたいと思う。

筆頭代表・CEO
朝比奈 一郎

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