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「被災地に”関われる形”を増やしていきたい」―ボランティアから見た”今後求められる被災地支援”

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ピースボート災害ボランティアセンターのプログラムオフィサーを務める小林深吾氏(撮影:野原誠治)
ピースボート災害ボランティアセンターのプログラムオフィサーを務める小林深吾氏(撮影:野原誠治) 写真一覧
震災直後は多くの人々がボランティアとして、被災地支援の活動を行いました。震災から一年が経過し、これから我々はどのような形で支援に関わっていくことができるのか。石巻でボランティア活動を行う一般社団法人ピースボート災害ボランティアセンターの小林深吾氏に話を聞きました。【取材:BLOGOS編集部 田野幸伸・永田正行 取材協力:福田記子】

震災で改めて表面化した日本の地方都市の問題


――ピースボートは震災発生直後から、石巻でボランティア活動を行っていますが、活動の内容は、現在と震災発生当初とは違うと思います。まず活動内容を時系列に沿ってお話しいただけますか

小林深吾氏(以下、小林氏):ピースボートが石巻に来たのは3月17日です。自衛隊や警察消防の方が動き出していましたが、その時には、ほとんど何もありませんでした。ですので、まず物資を配るということから始めました。自分たちで持ってきた物資はトラック2台分くらいだったので、すぐになくなります。その他に、市役所の倉庫に貯蔵されていた支援物資をどんどん住民の方たちに配っていました。どこに何人くらい避難しているのかが、誰にも把握出来ていなかったので、積んだ物資を出会った方からどんどん配っていくということをしていました。

3月末からは、ボランティアを募集して炊き出しや避難所の手伝いなどの活動も始めました。また、津波で町中に泥とか瓦礫がたくさんあったので、瓦礫の撤去や泥出しの作業をかなり大勢の人数をかけてやりました。この作業はかなり長期間に渡りました。炊き出しについては、ただ食事を配るということから、自分たちで一緒に食事を作るという活動にシフトしていきました。炊き出しをする場所がコミュニティとして人の集まる場所になっていくからです。無料の食事を配るというよりも、そこで一緒にコミュニケーションを取りながら、食事を作っていくという方向に徐々に変更していったのです。

避難所は、去年10月11日に閉鎖されましたが、閉鎖されるまでは避難所の手伝いを継続的に行いました。浜の方の瓦礫の撤去が終わってからは、養殖のお手伝いも始めています。当然、避難所で長期的に生活されることになった人もいます。布団をずっと敷きっぱなしにするので、ダニやカビが発生したりします。日本赤十字さんから衛生環境の悪化の指摘があったので各団体の混成で、避難所清掃のチームを組んで全部の避難所を清掃していくという活動も行いました。

その他には、地元の人たちが元々やっていたお祭りが、マンパワーがなくてなかなか出来ないという状況でしたので、ボランティアでお祭りの準備だとかお手伝いもやっています。

――1年経って今見た感じですと街中の泥や瓦礫は除去されて、綺麗にはなっています。現在はどちらかと言うと、生活環境などのフォローに活動がシフトしているのでしょうか?

小林氏:被災者の皆さんは避難所が解散して、仮設住宅に移っていきます。石巻の場合は、平成の大合併によって、そもそもあった地区と半島の部分が”大きな石巻市”になっています。

旧石巻市本庁内の仮設住宅の一番戸数が多く、4000戸以上あります。そこの地区に関しては抽選で決まっていきます。自分がこの地区に行きたいという希望があっても抽選に漏れたら別の地区になる。これが何を意味するのかというと、元々あったコミュニティが壊れてしまうということです。仮設住宅に入った時には、ご近所さんが全然わからないという状態から始まります。仮設住宅に入ったはいいけれど、お店などどこに何があるのかわからない。全然情報が届かないという問題があります。ですので、最初は情報紙を週に一度作って、4000戸に一枚ずつ手渡しで配布していました。それを今年の3月まで続けて、それによって出来た関係を生かして、集会所でお茶会やったりですとかコミュニティ作りといった活動を現在は行っています。

一方半島部の方では、漁師さんたちは漁業、お母さんたちは家庭菜園などをやっています。お父さんたちは漁の準備などで動き出したのですが、お母さんたちは仮設で何も出来ない、暇でやることがないという状況が続いていました。ですので、半島部では一緒に畑を作るという活動を始めました。半島部では集落毎に仮設住宅に移っているのでコミュニティがまだ生きています。畑を作りたい人は希望を募って一緒に土地をならして、土入れて堆肥を入れて耕してという活動をしていました。

現在は、この中心市街地ではどうやって街づくりをやっていくのか、ということを考え始めるフェーズに入っています。

写真提供:一般社団法人ピースボート災害ボランティアセンター
――震災直後は多くの若者がボランティアに参加していたが、GW以降は減ってきていると報道されていました。この1年でボランティアへ参加する方の人数的な変化というのはあったのでしょうか?

小林氏:人数的には去年のGWが一番のピークでした。ピースボートだけでも一日600~660人くらい参加していました。それからは、徐々に少なくなってきてはいます。現在だと週に40名、週末で60~70名ぐらいですかね。

――どういう方が多いですか?やはり学生さんですか?

小林氏:夏休みや春休みといった休みの期間は学生が非常に多いです。それ以外の時期は社会人の方も結構いて、週末に休みを使って来ている人が多いです。感触としては、学生、フリーター、社会人が3分の1ずつぐらいいるという感じです。

――先ほど混成のチームを組んだとおっしゃっていましたが、石巻では日本赤十字さんや、日本財団さんなど様々なボランティア団体が活動しています。どのように連携を取られたのでしょうか?

小林氏:最初は3月15~17日ぐらいの間で、石巻の社会福祉協議会に10程の主要な団体が集まって、お互い何をしているのかを把握するための連絡会を作ろうというところから始まりました。そこに地元の青年会議所の方も入ってきて、そこからは連絡会というよりもお互い連携しながらやっていこう、ということで「石巻災害復興支援協議会」というのが出来ました。各団体で様々なことをやるので、テーマ毎に連携を図っていくのがいいんじゃないかと。

たとえば炊き出しをするグループであれば、最初にどこに何食くらい必要なのかを一度全部集約して、割り振りを夜にみんなでやるというのをやっていたり。泥かきもバッティングするともったいないので、このエリアはこの団体、このエリアは別の団体と分担したりですとか、人数足りない場合や、重機が必要な場合は提供して、といった割り振りをして連携を深めていきました。

――今までもボランティア団体同士で連携することはあったのでしょうか?

小林氏:そうですね。これだけ深く連携するのは結構珍しいと思います。NGOはクセが強いので、ぶつかることがたくさんありますよ。しかし、その時はどこか一つの団体で片付くような問題ではないので、今目の前にあるものをどうにかしないといけない。お互い協力しないとどうにもこうにもならない。それが現状だったからでしょうね。

当たり前ですが、協力すると効率が全然違います。無駄な労力を使わなくて済みますし。あとは自分たちが出来る範囲以上のことをお互いフォローしてやりあっていくので、それも大きいと思います。

――あれだけの災害だったので、「1年で元通り」とはいかないと思います。今後の課題や力を入れていきたいと思っている部分はありますか?

小林氏:当然1年間ですべて解決するわけではありません。1年の間すごい頑張ってきた地元の方もいます。ずっと気も張ってテンションを高めて頑張ってきた方がいる。そうした頑張ってきたリーダー格の人たちがちょっと疲れてきているなと感覚があります。みんなのために、自分のコミュニティのために、非常に頑張ってきた人たちに、1年間の重み、疲れが出てきてしまっている気がします。そうした人たちに負担が掛からないように、「休める時は休んでいい」と伝えてあげないといけない。

もう一方で、僕の中では2つの課題があります。一つ目は生活者の方たちと、どうやってこれから一緒に支援し、歩んでいけるのか。それは仮設に住んでいる方たちが、これから復興住宅に移った時に、またコミュニティが壊れた状態で移っていくことになる。今、仮設にいる人は体力のある方から抜けていくので、そこに残っていく方たちがそもそも厳しい問題を抱えている人たちではないかと思います。そういう方々を、どのようにフォローしていくのかというのが課題です。

もう一つは、日本の地方都市の石巻という場所を、「どうやって街づくりをしていくのか」という課題です。現在、そもそも日本の地方都市が抱えている問題が先鋭化された状態で、顕著に表れています。具体的には、少子高齢化、中心市街地の空洞化、人口流出などです。これらが津波という災害によって改めて表面化している。そう考えた時に、津波のリカバリーも必要なのですが、一方で、すべて日本の地方都市が抱えている問題に向かい合わないといけない。

どうやったら石巻に人が集まるのか?。しばらくの間は「被災地だから」「可哀想だから」「支援しなきゃ」とかで来る人はいると思います。でもそれはずっとは続かない。その後をどうしていくのか?。防災に関して力を入れるのか。もうちょっと違うライフスタイルを、都会の人が発見出来るような場所にするか。いろいろ知恵を絞らないといけない時期なんだと思います。これは結構深刻だと思いますね。

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