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「フラットな組織」は目指してなるのではなく、結果──部下と1on1をしたら、組織全体が見えてきた。ヤフー伊藤羊一×サイボウズ山田理

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無理やり心を開かせなくてもいい。まずはコミュニケーションのルートを開通させよう


伊藤さんの『1分で話せ 世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術』を読んで思いましたが、伊藤さんは人を惹きつけるのが上手ですよね。

僕はなかなかそういうことができなくて、最終的に人との距離の取り方を改めるようになりました。気が合う人とは、盛り上がって話せばいい。

一方、僕に対して心を開かない人に対しては、無理やり心を開かせようとせず、そのままの距離感で付き合えばいいのかなと思っているんです。


今、山田さんの話を聞いていて、それぞれの人との距離感は大切にした上で、コミュニケーションを取れるルートだけはつくっておくことが大事なんだなと思いました。


まさにそうですね、僕はザツダンした後に、個別のメッセージでメモを全員に送るようにしていました。次のザツダンでそのメモを見ながら、相手と話すことができるので。

それを繰り返していくと、個別のメッセージが相談しやすいルートにもなる。

話が盛り上がらない、距離が縮まらない人もいるけど、全員とルートは開通していることが大事で。ルートを使うか使わないかは本人の自由ですしね。

人って思った以上にコミュニケーションが取れていない


距離がある人とは下手したら同じ部署でも、1週間も2週間も何も話さないことがある。そばにいても、人って思った以上にコミュニケーションが取れていないですよね。

それをそのまま放置せずに、ポジティブなことでもネガティブなことでも、伝えることで相手を認める。承認するだけでも、距離って縮まってくるのかなって思うんですよね。


うん、うん。


僕がよくやっているのが「MBWA」。いわゆるManagement By Walking Around。

社内をプラプラ歩きながら話すんです。フロアを歩きながら「いいペン買ったね」「そのお菓子おいしそうだねー。いいなー」とか。


ははは。


そうしていると、おやつの時間になると「はい、伊藤さんお菓子どうぞ」って渡してくれて、段々と「ちょっと聞いてくださいよ」「なになに?」みたいなコミュニケーションが生まれたりする。

1on1はオフィシャルな仕組み。一方、MBWAはアンオフィシャルなことが聞けるんです。


なるほど。伊藤さんは1on1で全員の顔が見えるようになったことで、何か変わったことはありましたか?


「この人が働きやすいために、こういう制度をつくろう」と、特定の誰かを考えて行動をするようになりましたね。

顔が見えていないと、頭でっかちな施策しか考えられないじゃないですか。


そうなんですよね。ザツダンをすることで、無意識のうちに意思決定の質も上がっているように思います。




マネジャーやリーダーって、最後に意思決定しなきゃいけない。僕のマネジャーとしての強みは、社内の誰が何をできるか知っていることくらい。でもそのお陰で意思決定の精度も上がった。

「50人と雑談する時間なんてないでしょ」ってよく言われますが、生産性がないミーティングをやるくらいならザツダンをしたほうがいいですよ。


そうそう。メンバーと関係性をつくることこそ、マネジャーとして、優先順位が高い仕事なんじゃないかな。


ザツダンをしていたら、ミーティングを短くできるし、下手したらなくせますからね。

マネジャーはオーガナイザー。一人ひとりリスペクトして対応すること


前編で伊藤さんは、マネジャーは自分を導きながら、自信を持ってチームをリードしていく必要があるとお話しされていましたが、僕は「想いを熱く語る」ということがリードということかなと思っていて。

「このチームでこのゴールを目指すために、どんな方法があると思う?」と聞きつつ、「その代わり意思決定は僕がさせてもらうからね」と伝えて。

マネジャーも今までの上から下への命令型のようなマネジメントから、組織を編成して盛り上げる、オーガナイザーのようなあり方に変わっていくのではないかと思うんですよね。


オーガナイザーっていうのは、確かにおっしゃる通りですよね。

結局チームのゴールは1つだけど、その役割をどう果たすかは、コンディションやモチベーションによって変わるので、人それぞれ。

大事なのは一人ひとりの状況を認識しておくこと。それでアサインも違ってきますよね。


うんうん。


世の中のマネジャーに圧倒的に欠けているのは、チームの力を最大化すること。チームの力を最大化する方法は2つあると思っていて。

ひとつは、安心安全で行きたくなるような職場環境にすること。もうひとつは、個人のパフォーマンスを最大化すること。


人それぞれに合わせて最大化するイメージですね。マネジャーの仕事は、一人ひとりをリスペクトしながら対応することが肝だと思います。



そうですね。

1on1をすることで、その人のことが理解できて適材適所な配属ができるかもしれないし、できることを増やせるかもしれない。


マズローの段階欲求でいうと、まず生存欲求があって、安全欲求、所属欲求、承認欲求と続き、最後に自己実現がある。

でも所属や承認の欲求をすっ飛ばして、自己実現、成長、目標を考えている職場やマネジメントが多い気がするんです。

「所属している」という欲求でさえ十分満たされていない人は、意外と今の世の中で多いのではないかと思っていて。


うん、そうですね。


だから「君はここにいていいんだ。やってほしい役割があるよ」「やってくれてありがとう。君がいてくれて本当によかったよ」って所属意識と承認欲求を満たすことも大切ですよね。

それがその人の自信になり、自己実現に向かってくと思うんです。


自己実現の前に、居場所と役割をしっかり与えて、進捗を認めてあげる、と。


そういうことをザツダンとか1on1とかで、伝えていく。

リアルに感じてもらうためにはリアルで話したほうがいいから。


文:中森りほ/編集:松尾奈々絵(ノオト)/撮影:栃久保誠/企画:小原弓佳

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