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ホルムズ海峡 自国の船は自国で守れ - 屋山太郎

 目下、ポンペイオ米国務長官はホルムズ海峡でのタンカー護衛に向けた有志連合を結成したいと、各国に呼び掛けている。ここで日本が貫くべき原則は、自国のタンカーは自国で守る意志を示し、行動することに尽きる。

 イランと国交を持つ日本の外交を懸念する向きもあるが、日本が守ろうとしているのは「ホルムズ海峡」という国際海峡であって、イランの管轄下の海ではない。米国が意図している有志連合構想も、海上交通の安全確保と秩序維持が目的である。この地域ではイラン革命防衛隊が米無人機を撃墜、また英タンカーを拿捕した。これについてイランのロウハニ大統領は「国際規則や革命防衛隊の警告を無視する各国の行為は冗談では済まされない」とタンカを切っている。イラン革命防衛隊の海軍基地に向かい合って米軍基地や海軍第5艦隊司令部などがあり、一触即発の海域である。これまでの日本なら、こういう危ない地域には近づくな、の一点張りだった。

 その根拠とされたのが憲法だった。「集団的自衛権を結ぶ権利はあるが、行使はできない」という法匪のような解釈でこれまで逃げ回ってきた。戦いにかかわらないことが平和のもとだと説いて、あたかも自衛権さえないような法解釈に固執してきた。

 日本の輸入原油の80%以上がホルムズ海峡を通過するとされる。原油が止まれば日本は死ぬ。その現実を前にして、手をこまねいて、海峡の安全を他国に任せるわけにはいかない。日本人は他国にものを乞うて生き続けてきた民族ではない。自らの血を流して自国を守る精神を貫いてきたはずだ。

 まして今、決断しようとしていることは他国を侵略しようということではない。衝突の危険が極めて高い海域だが、海賊やテロ襲撃艇の思うようにはさせないということだ。これを許せば世界中のタガが緩んでくる。

 日本の努力が世界平和への一助になる。野党は自衛隊を動かすことが戦争の引き金になるとの一点張りの論理だ。しかし自衛隊が動くことによって平和をもたらすこともできる。PKOを含めて、戦後の日本は平和に貢献し、途上国を助けることで評価されてきた。

 直面している現実は、自国で必須のタンカーをだれが守ってくれるのかである。日米安保条約は日本の施政権下では有効だろうが、国際海峡までは米軍は責任がない。端的に言えば、日本のタンカーは日本で守るほかないのである。

 守り方については、日本一国では守り切れないから、各国が分担して安全を担当することになるだろう。日本は米国と常時、軍事合同演習をしているから、米軍と組むのが最善だろう。EUは目下、トランプ氏と関係が悪いから、米と一線を画して、海峡での役割分担をする選択をするのではないか。戦争を期待している訳ではない。自分を安全の地に置いて、他人に助けてもらうという根性だけはこの辺で決別しようではないか。

(令和元年7月31日付静岡新聞『論壇』より転載)

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屋山 太郎(ややま たろう)
1932(昭和7)年、福岡県生れ。東北大学文学部仏文科卒業。時事通信社に入社後、政治部記者、ローマ特派員、官邸クラブキャップ、ジュネーブ特派員、解説委員兼編集委員を歴任。1981年より第二次臨時行政調査会(土光臨調)に参画し、国鉄の分割・民営化を推進した。1987年に退社し、現在政治評論家。「教科書改善の会」(改正教育基本法に基づく教科書改善を進める有識者の会)代表世話人。 著書に『安倍外交で日本は強くなる』『安倍晋三興国論』(海竜社)、『私の喧嘩作法』(新潮社)、『官僚亡国論』(新潮社)、『なぜ中韓になめられるのか』(扶桑社)、『立ち直れるか日本の政治』(海竜社)、『JAL再生の嘘』・『日本人としてこれだけは学んでおきたい政治の授業』(PHP研究所)など多数。

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