- 2019年07月30日 12:17
CSRにおけるトップメッセージが超重要な理由とは
2/2コミットメントの難易度
そもそも、なぜCSRにおける中長期のコミットメントが難しいかというと、トップは組織の中でも最も短期利益を求められる職位でもあるからです。10〜30年先を見据えて経営するといって、毎年赤字ではしょうがないですよね。
だからこそ、短期・中期・長期のすべてのスパンにおいて共通するCSR目標を見つけることができれば、長期的な組織運営ができる可能性が高まります。それを見つけて、その道を進むと決断するのはトップです。ビジネスなんて、結果論でしかなくて、やると決めたらまずはやって、あとで微調整していくしかありません。ですので、まずは決断。そして実行する、と。
本来的な意味でいうと、未来に進むための意思決定とは「何かすることを決める」のではなく、「前に進む道を作ることを決める」です。決断そのもので未来が変わることはありません。決断するだけではなく、決断したことを実行することだけが、自身のすべてと社会を変える根源的な力を持っていると思っています。この差を理解しなければ、未来は作れません。
非難に耐える
もう1つの難しい点としては、短期的にCSR対応のコスト上昇が懸念される点があります。CSRも事業活動である以上、従業員の誰かが動きますしゼロコストはありえません。そんなコストが増えることが容易に想像できるアクションに、社内外のステークホルダーの多くが納得してくれるでしょうか。そんなわけないですよね。だからこそCSRが経営課題であるならば、トップがその必要性を本気でコミットメントする必要があるのです。
CSRと言えど、経営資源(人、物、金、情報、時間)をかけなければ成果は生まれません。社会やステークホルダーのニーズを汲み取り、大きな投資だとしても、それ以上の経済的価値・社会的価値で返ってくるという信念のもとで、大胆に勝負する経営者の姿勢や目的達成へのコミットメント、そして大局観が求められます。それがコミットメントに反映されて始めて意義のあるメッセージとなります。
でも目先ですぐに成果出なさそうな投資は、やはりトップが本気でないと推進は難しいです。たとえば、すぐ成果が生まれない環境活動などは、当面は赤字プロジェクトとして活動を継続するわけですから、株主にも説明しにくいでしょう。といいますか、万年赤字プロジェクトは廃止されるのはセオリーなくらいです。環境活動なんて、数年どころか数十年〜数百年単位でインパクトが最大化される話ですので、取り組みのストーリーが見えないと、従業員でさえ納得しにくいですから。
コミットメントの質
長期コミットメントは重要だとしても、企業はそうはいっても短期的な成果が求められます。2050年の希望的な目標を今立てるよりも、2020年のより明確で現実的な成果創出を目指すべきなのではないか。などなど、コミットメントの時間軸はいつの時代でも問題になります。
そんなコミットメントですが、日本ではCSR活動の「手段」にコミットメントすることが多く、「結果」にコミットメントすことはあまりないように見受けられます。トップメッセージでよく見る「女性活躍推進を行います」「環境活動を積極的に行います」というような宣言です。(言及はすべきだがよりマクロな視点が必要という話)
これは私の持論ですが、トップはあくまでもマクロな視点でコミットメントすること、が重要かと。トップがミクロ環境に口出ししだしたらきりがなくなるのと、CSR報告は、特に上場企業は株主に対するメッセージにもなるので、組織として最終的に何を目指し、我々はそこにどんな価値提供をできるのか、という総合的なメッセージのほうがよいのです。
コミットメントの質でいえば、企業の姿勢として「宣言したことを実行している」ことも重要ですね。「有言実行」「言行一致」ともいいます。つまり「我々はコンプラアンス実施を推進します」と言っているのに、内部通報したら潰され通報者が特定されたとか、不適切会計や品質偽装を10年以上続けるとか、そんなことが現実によくある話なので、「本当に宣言したとおりできるのか」とステークホルダーはただでさえ疑心暗鬼になっているのです。
勘違いをしている方も多いですけど、コミットメントは「情報発信すること」だけではなく「宣言し実行すること」まで入ります。最近の実行しない超長期のコミットメントは、責任の当事者がいない絵空事であり、無責任なことだと私は考えています。CSR活動もなんとなくではなく、エビデンスやデータをきちんと取り入れて、具体的にやっていきましょう。
まとめ
色んな視点をまとめましたが、言いたいことは「コミットメントは重要だよ」ということだけです。それだけまずはご理解いただければよいかと。
会社はトップの器を超えないし、トップが賛成できないものは継続実施できないし、と誰もが理解していると思うのですが、大企業では1年間で1回も経営層と話をしないという従業員の方がほとんどだろうし、現実にはトップをどうにかしようというのは、良くも悪くも大変なことです。ここ数年は、年数件ていどですが、上場企業の役員会(会長・社長含む経営層の集まり)で、CSR戦略の講義をさせていただいていますが、だからこそ、会長・社長にCSR研修をできている会社自体強いのかもしれません。そういう会社は、社長が真っ先に質問をしてくれたりします。
企業は社会やステークホルダーに賛同・理解されるメッセージを示す必要があります。で、誰がそのメッセージを発信するかといったら、広報が書いたプレスリリースではなく、やはりトップ自身からのメッセージなのです。
まぁ、「社会が良くなること」にコミットメントできない企業・ブランドって、そもそも社会に必要でしょうか?社会に必要とされるでしょうか?という話かと。コミットメントは、常に社会・ステークホルダーからの評価にさらされる現代社会において、とても重要なものです。
※Yahoo!ニュースからの転載


