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「富裕層の観光客をどう増やすか」―いろはにほんプロジェクト 有識者会議立ち上げ―

日本を訪れる外国人旅行者数が2018年、初めて3000万人を超えた。国や年齢、収入も違い、当然、旅行で求める日本の「価値」も様々である。そんな中で富裕層の外国人観光客の開拓に向け日本財団が2016年に立ち上げた「いろはにほんプロジェクト」の今後について、観光庁、文化庁、民間事業者にも参加してもらい有識者会議を立ち上げ、さらなる可能性を探ることになった。

日本財団ビルで開催された有識者会議の初会合で挨拶

プロジェクトでは原則非公開となっている塔頭寺院などを宿泊・滞在可能な施設に改修する費用を日本財団が助成、宿泊費など利用料の10~20%を「いろはにほん基金」に寄付してもらい、自然災害などで被災した文化財などの支援に活用する。日本文化の素晴らしさを再認識してもらい、観光立国の推進に役立てる狙いも込められ、現在、臨済宗大本山南禅寺塔頭・光雲寺など5山5寺のほか、真言宗総本山・仁和寺で観光客を受け入れている。

掛け軸が架けられた仁和寺の宿泊施設・松林庵内部

観光庁によると、日本を訪れる外国人観光客、いわゆるインバウンドのうち約1%、340万人が100万円以上を消費し、消費額は全体の13.5%を占めている。多くの国がこうした“富裕層”の拡大を観光政策の柱に据え、例えばスペインでは国内94ヵ所の宮殿など文化財をホテルに改修、利用者の約80%を外国人観光客が占めているほか、インドでも王侯(マハラジャ)の邸宅を宮殿ホテルに改修し観光客に提供している。

日本でも姫路城や高野山など城や寺院に対するインバウンドの人気は高く、長崎県の平戸城や島原城、愛媛県の大洲城などで天守閣や櫓、さらには城下の古民家を使った「城泊」が検討・準備されているほか、全国で300カ所近くの寺院の宿坊が宿泊施設として使われている。

現在、プロジェクトの利用料は禅寺が1泊10万円、仁和寺が100万円程度で、これまでの利用者は前者が148組476人、後者は9組48人。6月14日に開催された有識者の初会合では、「欧米の富裕層が関心を持つ旅行先として近年、日本が最も注目されている」、「5つ星のホテルが少ない」といった指摘の一方で、一泊150万円を超す一流ホテルのスイートルームなどが増加する中、「設備の豪華さよりも人の対応など質の高さが求められている」といった意見も出た。

また仁和寺からは「所属寺院からの寄付には限界があり、150もの建物や膨大な文化財を維持していくのは難しい」といった課題も指摘され、観光庁からは訪日外国人による旅行消費額を2020年には8兆円、2030年には15兆円とする将来ビジョン、文化庁からは文化資産を活用して観光インバウンドの受け入れを強化する方針が示された。「富裕層に照準を当てたわが国の観光政策は多言語対応などようやく基礎が固まった段階」との指摘もあった。

全国には資金的手当て目途がないまま劣化が進む文化財が多数ある。こうした課題に対し「いろはにほんプロジェクト」がどこまで有効なモデルを提供できるかー。拝観料を増やすには、富裕層に限らず幅広い観光客を視野に置いた対策も必要であろう。可能なら全国100カ所程度に多様なモデル施設を整備したいと考えている。

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