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結局はこうなってしまうのか、という・・・

今年の春以降、断続的に取り上げてきた「オプジーボ」特許の対価をめぐる問題。

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その後も、なかなか歩み寄りにつながりそうな気配もなくて、どうなるのかな、と気を揉んでいたら、遂に以下のような記事が出てしまった。

「がん免疫薬「オプジーボ」の特許料などを巡り、小野薬品工業と対立する京都大学の本庶佑特別教授は、対価を巡る分配金150億円の支払いを求める民事訴訟を大阪地裁に起こす意向を固めた。本庶氏の代理人弁護士は27日、取材に対し「小野薬品の対応次第だが、9月初旬にも訴訟を提起することになるだろう」と述べた。特許料を巡る両者の対立は法廷闘争に発展することになる。」(日本経済新聞2019年7月27日付夕刊・第1面)

どちらにも譲れない何か、があったのだろうし、それを外野からとやかく言うのは僭越だとは思うのだけど、少なくとも今の時点では「成功」している産学連携のプロジェクトなのだから、もう少しソフトランディング方向で何とかできないものなのか・・・というのがやはり率直な思いとしてはある。

特に、本件では、利益配分ルールが契約書に明確に書かれてしまっている以上*1、訴訟をしても「言った、言わない」の応酬となり*2、最後は双方罵り合いになって、訴えを起こす前よりさらに感情対立が激化した、なんてことになる可能性も十分あるわけで、対面の交渉ではギリギリと詰めつつも、最後はうまく手を打った方が賢かったのではないか、と思わずにはいられない。

日頃表に出てくることが少ない、この手の契約における利益分配規定の解釈等が判決で示されるようなことになれば、傍で喜ぶ人はそれなりにいると思うのだけれど、自分は「訴訟に持ち込まずに交渉を有利に収めるのが法務の仕事であり、代理人たる弁護士の仕事でもある」と思っている人間なので、このまま漫然と「9月初旬」を迎えることになってしまうのであれば、ちょっと残念かな、と。

まだまだ将来的な発展も期待できる研究領域ではあるだけに、できることなら訴訟は回避、万が一もつれこんでも早期に決着、というのが望ましい姿だと思うところである。

<追記>(2019年7月28日)
28日の朝刊では、前日夕刊と同じような内容が掲載された上で、本庶佑特別教授のコメントとして、以下のようなフレーズが掲載されていた。

「一日も早く良好な産学連携関係を取り戻したい」(日本経済新聞2019年7月28日付朝刊・第31面)

あえてコメントは差し控えるが、いろいろと考えさせられるところが多い事件だな、と改めて思った次第である。

*1:最近の吉本興業絡みの話から抱く違和感とも共通するのだが、「契約書」に書いてしまえばそれが契約解釈の出発点になる、というのが大原則なわけで、いくら「常識に反している」とか「口頭での約束とは違う」といったところで、どうにもならないことの方がはるかに多い、という点には留意しておく必要があるだろう。吉本とは異なり、製薬会社と一流大学の研究者の間で優越的地位の濫用、といった論点を持ち出すのも少々無理があるように思う(それこそ「『優越的地位の濫用』の濫用」になってしまう)。

*2:もしかしたら、交渉経過におけるメールのやり取りや提案書等がきちんと残っているのかもしれないが、それでも仮にそれが明文の契約書の内容と矛盾する場合に、裁判所がどこまで採用するか、は疑問が残るところである。

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