- 2019年07月28日 16:52
北朝鮮「女性教師に性上納」強要事件はこうして裁かれた
2/2「北朝鮮が国是とする「党と大衆の混然一体」を破壊し、社会主義制度をむしばむ権柄と官僚主義、不正腐敗行為は、大小をとわず一掃するための闘争の度合いを強めなければなりません」(金正恩氏が発表した「新年の辞」全文)
また、2017年の新年の辞でも次のように次のように述べている。
「党活動と国家・社会生活のすべての分野においてチュチェの人民観、人民哲学の最高の精華である人民大衆第一主義を具現し、一心団結の花園を汚す毒草である権柄と官僚主義、不正腐敗行為を根絶するための闘争を力強く展開すべきです。ひたすら党に従う人民の純潔で熱烈な心と志向を阻み、党と人民大衆を引き離そうとする敵の卑劣で悪らつな策動を断固と粉砕しなければなりません」(金正恩氏による2017年の「新年の辞」全文)
北朝鮮に蔓延する不正腐敗を根絶し、金正恩氏の掲げる「正常国家」に向けての歩みを国民に示すという見方も可能であろうが、「不正腐敗が構造化された今の北朝鮮で、これを根本的に根絶することは難しいだろう」(情報筋)との見方もある。
そもそもなぜ不正腐敗が蔓延するのか。それは1日8時間、普通に働けば普通に暮らせる社会システムが構築されていないからだ。
北朝鮮では、食べ物から住宅に至るまで多くのものが無償または安価に配給され、現金なしでも暮らしていけた1980年代以前の給与体系が未だに残存しており、幹部と言えどももらえる月給は子どもの小遣い銭程度にしかならない。
そのため、何らかの許認可権や権力を持った人々は、それをフル活用、つまり「何々がほしいならワイロを払え」と要求し、生活費を稼ぐのが一般化している。
例えば保衛部(秘密警察)は、中国キャリアの携帯電話を使って中国や韓国と通話する人からワイロを得たり、海外に住む家族を持つ人から現金を掠め取ったりして収入を得ている。これではヤクザと変わらないが、そうでもしなければ生きていけないのだ。
つまり、そのような現実を全く無視した給与体系という根本原因が解決しない限り、いくら表面的な不正腐敗を取り締まったところで、何の効果もない。
(参考記事:脱北者からの「仕送り」に頼る北朝鮮…ネコババ警察官を処分)また、今回のような「見せしめ」についても「正常国家とは程遠い」との指摘もある。
どのような立場にある人であっても同じ法と原則に基づいて賞罰を決めるべきなのに、基準は非常に恣意的で、地位によっては見逃されたり、より酷い目にあったりとバラバラだ。
国民から「大物は皆逃れて、ひっかかったのは小物ばかり」「いくら不正腐敗剔抉(てっけつ)を叫んだところで掛け声ばかりでは何も変わらない」という冷笑的な反応が出ている。
ちなみに中国の習近平国家主席が進める不正腐敗撲滅キャンペーンでは、最高レベルの大物もターゲットになっている。権力闘争に利用されているため、厳正な法執行とは言い難いが、それでも権力者が次から次へとお縄になる様子を見て庶民は溜飲を下げ、政権への支持を強めている。
※デイリーNKジャパンからの転載


