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いまタワマンを買うべきでない相場的要因

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首都圏マンション市場に見られる潮目の変化

ただ、2016年には首都圏における新築マンションの契約率が60%台に落ち込み始めた。2018年の契約率は62%にまで落ち込み、本年上半期は66%台だった。

不動産市場において、首都圏のオフィス需要は堅調であり、商業用不動産の市況は好調さを維持している。三鬼商事によると、今年6月の、千代田、中央、港、新宿、渋谷区の平均的なオフィス空室率は1.72%だった。

一方、首都圏の新築マンションの需給には、明らかに潮目の変化が見える。不動産経済研究所によれば2019年上半期、首都圏新築マンションの発売戸数は、前年同期比で13%減少した。東京都区部を中心に、マンションの売れ行きは鈍化している。

新築マンション需要のゆるみの原因は、あまりに価格が高くなってしまったことにある。子育てなどのためにある程度の床面積のあるマンションや戸建て住宅を探している知人と話をすると、東京都23区内で満足のいくマンションを手に入れることはかなり難しいと考える人が多い。そうした感覚を持つ人が増え、新築マンションの契約率が低下している。

中国政府の監視強化で「チャイナ・マネー」は減少

また、チャイナ・マネーの変調も見逃せない。近年、中国政府は資金の持ち出しを厳しく取り締まっている。良い例が、海外不動産を積極的に買収してきた大連万達集団(ワンダ・グループ)だ。同社は、政府から資金の海外持ち出しをにらまれ、金融機関からの信用供与を絶たれた。

これは中国政府による資金持ち出しへの警告だ。習近平政権は、自らの支配基盤を整備するために、海外への資金流出を容認しないという断固とした姿勢を表明した。資金供給を絶たれたワンダは、一時経営が危ぶまれるほどの状況に陥った。

中国政府の監視強化により、海外不動産市場に向かうチャイナ・マネーは減少した。各国政府の規制強化も重なり、オーストラリアなどでは住宅価格の上昇に一服感が出ている。東京の湾岸エリアなどのマンションの販売動向に関しても、チャイナ・マネーの流入減少が相応の影響を与えているものとみられる。

消費税率引き上げで「駆け込み需要」が押し上げか

今後の展開を考えると、短期的に首都圏のマンション市場では新築物件を中心に価格は高止まりするのではないか。ただ、未来永劫、資産の価格が右肩上がりの展開を続けることはありえない。いつ、どの程度のマグニチュードで進むかは予想が難しいが、どこかでマンション価格はピークを迎え、調整局面を迎えるだろう。

当面は、10月に予定されている消費税率引き上げ(8%から10%)の影響が重要だ。10月の税率引き上げを控え、購入資金の負担が増える前にマンションを購入しようとする人は増えるはずだ。これが、マンションの駆け込み需要につながり、一時的にマンションの販売が押し上げられるだろう。

ただ、これは一時的な変化だ。税率が引き上げられた後は、駆け込み需要の反動減からマンションの需給は緩むだろう。これは、前回の消費税率引き上げ時にもみられた。また、人手不足や資材価格の上昇を受けた建設コストの増加も、マンション価格の高止まり要因となるだろう。

長期的には「マンション価格は頭打ち」といえる理由

やや長めの目線で考えると、首都圏のマンション価格は頭打ちの展開を迎え、徐々に価格が調整する可能性がある。まず、わが国の景気動向が重要だ。近年の日本経済は、国内独自の要因によって自律的に回復してきたとは言えない。わが国の景気回復のかなりの部分が海外の要因に依存している。

足元、米中の摩擦や中国経済の減速など、世界経済の不確実性は高まっている。ここから先、世界全体で景気の勢いが一段と強くなることは考えづらい。米国や中国などの経済成長率が鈍化傾向をたどるようだと、わが国でも所得環境の悪化懸念などが高まるだろう。それは、マンションの販売減少につながる要因だ。

加えて、わが国では少子化と高齢化、人口の減少が3つ同時に進んでいる。これは住宅需要の低下要因だ。総務省が公表した「平成30年住宅・土地統計調査結果」(総務省統計局)を見ると、1998年に9.5%だった住宅の増加率は、2018年3.0%まで低下した。長期的に考えると、これまで人口が集中してきた首都圏でも人口の増加ペースが鈍化し、マンション需要は一段と緩む可能性がある。

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真壁 昭夫(まかべ・あきお)
法政大学大学院 教授
1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員、信州大学経済学部教授などを経て、2017年4月から現職。

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(法政大学大学院 教授 真壁 昭夫 写真=時事通信フォト)

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