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【映画感想】天気の子

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あらすじ
高校1年生の夏、帆高は離島から逃げ出して東京に行くが、暮らしに困ってうさんくさいオカルト雑誌のライターの仕事を見つける。雨が降り続くある日、帆高は弟と二人で生活している陽菜という不思議な能力を持つ少女と出会う。

www.tenkinoko.com

2019年、映画館での15作目。
平日の朝の回で、観客は50人くらいでした。

上映前に、『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』の予告が流れてきました。2020年6月公開予定、か……僕はそれまで生きていられるのだろうか、そもそも、これで本当に終わるのだろうか……

その2時間後、『天気の子』を観終えて、僕は思ったのです。
「ああ、『天気の子』は、『エヴァンゲリオン新劇場版』よりも先に、『エヴァンゲリオン』を終わらせてしまったな……」って。

news.yahoo.co.jp

このインタビューで新海誠監督が仰っている「『君の名は。』に怒った人をもっと怒らせたい」という言葉が、ずっと気になっていたのです。
僕は「怒ってはいなかった」けれど、東日本大震災があって、「失われたものが非科学的なプロセスを経て回復される話」というのは、なんだかとてもご都合主義のように感じてもいたのです。
その一方で、映画だから、フィクションだからこそ、「救われる物語」には、人々を救う力があったのではないか、とも。

fujipon.hatenadiary.com
fujipon.hatenablog.com

語りたいことはたくさんあるのですが、今回はネタバレで語るとして、未見の方のために、ネタバレなしの概観みたいなものを書いておきます。
なんというか、観終えて、すごく「すっきりした」のです、この映画。

「人に迷惑をかけるな」から、「公共性」「国益」まで、同調圧力というか、他者に「自己犠牲」を強いる一方で、隙あらば他人の無垢(あるいは無知)を喰い物にし、「知らないほうが悪いんだ」とうそぶく賢い大人たちばかりの息苦しい世界に、風穴をあける、そんな映画なんですよ。

「描かれなかった面」を想像したくないというか、「ウルトラマンが怪獣を倒す際に、下敷きになった死んだ人とか家を壊された人もいるんだろうな」というような話でもあるんですけど。

この映画が、「爽快」なのは、そういうものをあえて描かなかったから、というのも事実です。
ちょっとズルい気もする。

 さて、ここから先はネタバレ感想になります。
 この映画を観た人、あるいは、観る気はないし、ネタバレされてもかまわないという人向けです。

 けっこう賛否が分かれる映画だと思うのですが、だからこそ、レンタルでもテレビ放映でも、一度観てみていただきたい、そして、気が向いたらこの先を読んでほしい、というのが僕の気持ちです。

 本当にネタバレですよ!!

 この映画の東京で降る雨を、僕はずっと不思議な気分で眺めていました。
 ああ、新海誠監督が降らせる雨は、なんでこんなに「本物の雨よりも、ずっと僕の心を雨模様にするのだろう?」と。
 描いている人は、本当に大変なんだろうと思うけど。

 そして、この『天気の子』の前半で描かれる東京は、ひたすら冷酷で、隙あらば相手が子どもであっても、ひたすら搾取しよう、という街なのです。

『天気の子』で、僕がずっと違和感を持っていたのは、「東京」にこだわり、どんなに打ちのめされても、地元に帰る、という選択をしなかった帆高が「東京で生きていこうとした理由」なんですよ。
 最後まで観てみると、両親と決定的なトラブルがあったわけでもなさそうだし。

 「その背景をあえて描かなかった」と新海監督は仰っているのです。

 たしかにそれを描くと「そんな理由かよ!」って、言う人が出てきたり、特別な人間の物語だと解釈されてしまうのは予想されるのだけれど、いきなり拳銃が出てきて、それを「お守りとして持っている」帆高という若者に、しっくりこなかったのも事実です。

 物語的に、「ふたりが公権力に追われる」というシチュエーションをつくりたくて、そのために拳銃が必要だったのでしょうけど、逆に言えば、そういう極端な小道具に興ざめしてしまうところもありました。

 局所の「晴れ」を求める人たちの「正しさ」がエスカレートして、帆高と陽菜の自由が奪われていくほうが「現実的」だったのではないか、とも思うのです。
 それでも、監督は帆高に「線路を走らせたかった」のだろうし、そういう身体性がないとドラマって面白くならないのかもしれない。
 
 帆高と陽菜の「これまで」を極力描かない一方で、風俗の求人広告や新宿のネオン、企業名が詳細に描かれているシーンには、ちょっと驚いてしまいました。

 誘蛾灯のように、人を吸い寄せる東京。
 未成年でも「稼げる方法はある」し、「お金さえ払えば、細かいことは言わない」東京。

 須賀さんは行き場のない帆高を拾って住む場所と仕事を与えてくれますが、「月給3000円」には、さすがに「うへぇ」って思いました。
 さすがにそれは搾取しすぎじゃないのか。

 須賀さんは、「自由な生き方を応援する」「若者を助けてあげる」ふりをして、その若さや無知を買いたたく大人たちのひとりでしかない。某有名プロブロガーもびっくりです。
(結果的には、最後の最後で、須賀さんは「ずるい大人として生きていくこと」を捨ててしまうのですが)

 正直、「東京なんて沈んでしまえ!」みたいな気分も、僕にはあるんですよ。
 あの街には、こういう「希望のフリをした絶望と搾取」が溢れているように感じられるから。

 まあでも、そういうのは東京に限った話ではなくて、世の中というのはシステムを維持するために、人が人を搾取するようにできている。
 そして、システムを理解していなかったり、そこから外れようとする者に、ペナルティを与えようとする。

 ただ、警察からすれば「銃を所持しており、発砲までした高校生」がいれば、そりゃ市民社会の安寧のために捕まえざるをえないですよね。
 こういう「わかりやすい弾圧される理由」がない『天気の子』を観てみたかった気がするのです。

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