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不当な読売の出版差し止め訴訟に力を与えているのは誰か

ニュース・コメンタリー (2012年05月19日)
不当な読売の出版差し止め訴訟に力を与えているのは誰か


 読売新聞が社員5名の出版社に対して出版を差し止める訴訟を起こしたことに抗議をする記者会見が、17日、外国特派員協会で行われ、対象となった出版物の監修者で作家の佐高信氏と著者でプロ野球読売巨人軍元ジェネラルマネージャ-の清武英利氏が出席した。

 この事件は、読売新聞東京本社が、同社が著作権を保有する書籍の発行をめぐって、出版契約を結んでいる七つ森書館に対し、契約の無効を訴えて提訴したというもの。今月18日、裁判の第1回口頭弁論が東京地裁で開かれた。

 問題となっている書籍は『会長はなぜ自殺したか──金融腐敗=呪縛の検証』(1998年、絶版)で、当時読売新聞社社会部キャップを務めていた清武英利氏らの取材によるルポタージュ。今回本書の復刻版が七つ森書館企画の「ノンフィクション・シリーズ“人間”」に収められる予定になっていた。

 両社は昨年5月までに出版契約を結んでいたが、11月に読売巨人軍コーチの人事などを巡って当時巨人軍のジェネラルマネージャーだった清武氏と読売新聞グループ本社会長の渡辺恒雄氏との間の確執が表面化したため、読売側が清武氏の名前の入った本を出版することに難色を示し始めたという。七つ森書館によると出版契約で同書の著者名は、読売側の意向で「読売社会部清武班」とすることが決まっていたという。

 当初、読売側は七つ森書館に対して300万円で出版を取りやめるよう打診してきたが、七つ森書館側がこれを断ったために、今年4月11日、読売側は出版契約の無効を主張して東京地裁に提訴した。また、七つ森書館側は同書を今月21日以降に出版することを発表したため、読売側は18日夜までに出版差止を求める仮処分請求を東京地裁に提出した。

 出版契約無効の理由として当初読売側は、通常同社では出版契約は局長名義で行われるが、今回の契約は次長名義であったことをあげていたという。また、訴状では、出版契約の中にある「災害等の場合の処置」(出版契約書の第24条)と「契約の尊重」(同29条)の2つをあげているが、契約の条文を読む限り、いずれもこじつけの印象が強い。清武氏は17日の記者会見で、読売新聞社側はこのような訴訟が七つ森書館のような小さな出版社に多大な負担を強いることを十分承知しているに違いないと指摘する。

 しかし、何故このように明らかに法的に無理があると思われる裁判がまかり通るのか。また、このような行為に世の中の批判が集まらない理由は何処にあるのか。実際、この日の会見についても、各紙の扱いは非常に小さいものが多かった。会見で佐高氏は、巨大権力に容易に屈し迎合する日本のメディアの体質を批判したが、佐高氏の言葉を報じた主要メディアは一つも見当たらなかった。

 巨大メディアの持つ力の源泉と日本のマスメディアの問題点についてジャーナリストの神保哲生と社会学者宮台真司が議論した。

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