
■会員制倉庫型店のコストコで買い物をするにはメンバーシップとなる会員資格が必要だ。年会費を支払ってゴールドスター会員(Gold Star Membership)やビジネス会員(Businesss Membership)などになり、会員カードを受け取る。
会員カードでコストコに入店でき、買い物もできるのだ。デジタルトランスフォーメーションで大幅に遅れているコストコが会員カードをデジタル化した。かさ張りの原因となるプラスティック・カードから開放され、財布がより軽くなるのだ。
コストコは25日、アメリカ国内とカナダで専用のコストコ・アプリを使って会員カードを提示できるようにしたとを発表した。コストコ・アプリをダウンロード後、ログインして承認すると会員の顔写真とQRコードが表示されるようになる。
使い方はアプリを起動後、画面下のメインメニューにある「会員資格(Membership)」をタップするだけ。買い物時ではレジ係がアプリにあるQRコードをスキャンする。今のところ、ガソリン販売は会員カードが必要となる。
オムニチャネル化を急ぐコストコはネットで注文した商品を店で受け取るボピス(BOPIS:Buy Online Pickup In Store)などを拡大中だ。
アメリカ国内では主に小型で高額な商品をピックアップできるよう、店内にロッカーの導入を加速している。ボピス用ロッカーは年末商戦までに100店舗以上に配備するという。
コストコは昨年、調剤注文やフォトセンターのプッシュアップ通知などでアプリに新機能が追加された。また6年前に撤去されたセルフチェックアウトレジを一部店舗に導入しテストも行っている。
アップルペイやグーグルウォレット、サムスンペイの利用可能なコストコはデジタル化に急ぐ一方でデジタル体験では競合となサムズクラブには大きく差を開けられている。
ウォルマート傘下でコストコと同業のサムズクラブでは9日、クラブ・ピックアップでネット注文した商品を当日受け取れる「当日クラブ・ピックアップ(Same Day Club Pickup)」を全589店で展開することを発表した。
手数料が無料となる当日クラブ・ピックアップは注文した商品の受け取りオプションに「店内クラブ・ピックアップ端末(Indoor Club Pickup kiosk)」「ドライブスルー・ピックアップ(Drive-through pickup)」「カーブサイド・ピックアップ(Curbside pickup)」「モバイル・チェックイン(Mobile check-in)」の4種類ある。
またサムズクラブでは全店で「スキャン&ゴー(Scan & Go)」を展開している。スキャン&ゴーは、スマートフォンにダウンロードしたアプリでお客自身が商品バーコードをスキャンしながら買い物を行うシステム。スキャン&ゴーによりレジ待ち行列を素通りできるのだ。
売上などでサムズクラブを凌ぐコストコだが、カークランドなど強い商品やサービスなどに胡坐をかいているとミレニアル世代が離れていくリスクを背負うことになるのだ。

コストコのボピス用ロッカー。コストコは家電製品など小型で高額な商品をピックアップできるよう店内にロッカーの導入を加速している。ボピス用ロッカーは年末商戦までに100店舗以上に配備するという。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。ネットスーパー上等!と非Eコマース宣言をしているのはトレーダージョーズ。トレーダージョーズではオンデマンド買い物代行・宅配サービスのインストカートでさえ、拒否しています。理由は強い商品であるプライベートブランドを持っているから。コストコはさすがに非Eコマース宣言はしていませんが、サムズクラブに比べればオムニチャネル化は遅いを言わざる得ません。
コストコもカークランドという強いPBを持っています。が、コストコは会員費で利益を得るビジネスモデルなので、会員数の拡大・維持がカギとなります。コストコ会員は比較的年齢層が高いので今はいいのですが、これからの消費の中核となる若い層で会員離れが起きたらアウトです。アプリなどを駆使して便利な買い物をしようとするミレニアル層が「コストコでのショッピングは不便!」と感じたら、大きな問題をはらむことになります。コストコもイノベーションを積極的に導入しなければなりません。
コストコでもアプリ決済は時間の問題。サムズクラブのスキャン&ゴーのように長いレジ待ち行列を素通りできる日も近いと思います。コストコのデジタル化が日本にもおよんで、競合店は脅威でしょうね。