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ホルムズの自由航行問題

ホルムズ海峡(ペルシャ湾)の自由航行問題は米が、自由航行保障のための有志連合を提唱し、更には英が欧州諸国主導で自由航行を維持することを提唱する等、益々緊張を高めているように見えるところ、そもそものニュースが欧米発が多く、アラビア語メディアを基礎にしているこのブログにとっては、情報も不十分かつ不正確な可能性が高いと思います。

更に日本にとっても重大な関心のある問題ですから、我が国の大マスコミ等も詳しく報じていくものと思われます。

ということで、、今後ともこのブログは「落穂ひろい」程度に参考にしていただければ、と思いますが、流石に大きな問題をほおっても置けないので、取りあえず、若干のニュースと心に浮かぶ疑問点を並べておきます。

・アラビア語メディアは英政府が26日、声明で英国籍の船に対する護衛作戦を始めると発表しました。

護衛は、単独航行であれ船団であれ、事前に時間的余裕をもって連絡したすべての船舶に対して行う由

(ここで疑問は、そもそもの便宜置籍船はどうするのか?これは米が全ての国は自国籍船を守るべきだという時にも当てはまることだが、現在世界中の多くの大型船はパナマ等の便宜置籍船のはず…日本も例外ではない。

また英国がフリゲート1隻を置いていることは報じられていて、さらに追加をすると発表したことも報じられているが、そもそも英国は現在何隻の軍艦をこの水域においているのか?また米空母機動部隊以外に、何処の国の軍艦がいるのか?特に韓国、インド、中国、ロシア等はどうか?

日本の海自艦はジブチ沖でソマリア海賊退治に従事しているが、湾岸には入っていないはず)

・アラビア語メディアは、英国提唱の欧州主導の自由航行維持策について、仏は消極的、独は議論するのは時期尚早などと一部が報じていましたが、本日のメディアは、仏国防相も英独仏は、3国間で協力、情報のシェアをすると語ったとか独国防相も、独としても真剣に検討すると語ったとか報じています

(そもそもこの構想は、メイ政権の末期も末期に出されたもので、どの程度内外と協議したものかはなはだ疑問。タンカー1隻を抑えられている英国はとにかく何らかの策を打ち出さざるを得なかったものと思われる。

最大の問題は米の有志連合の構想との関係で、米国防総省は、補完的なものとして歓迎するとしていたかと思う。

更に欧州主導といっても、具体的に如何なる組織を考えているのか?

この種構想であればNATOが最も相応しいが、NATOは米国が大株主である。もう一つはEUの共通防衛政策であろうが、何が何でも10月でEUから分離するとしているジョンソン政権の下では非現実的

更にそもそもの構想として、合同艦隊のような軍事的措置前考えているのか?それとも単なる情報交換、共有程度のものか?

海軍力という話になると、上記3国以外ではイタリア、ポーランド、アイルランド、ノルウェイ等がありそうだが、イタリア以外は、いずれも規模ははなはだ小さいと思う。確か3国以外ではデンマークが好意的だったかと思う)

・いずれにしても問題の主役はイランとトランプであるが、両者とも何処に本心があるのか、甚だ分かりずらい

イランに関しては、本日のアラビア語メディアも、強硬であったり柔軟であったり別の言い方であったり、種々の表現で自己の立場を主張しているとしている。

その中で強硬とされるのは、革命防衛隊等の「イランの石油が輸出され亡くなれば、湾岸からは他の石油も輸出させない」との発言で、確かイライラ戦争の際のタンカー戦争でも同じような表現が使われたかと思う。

昔からの大国で山千海千でもあるイランとしては、あらゆる可能性に備えていて、体制の崩壊さえ招きかねない全面戦争は是非としても避けたいというのが本音ではないかと思われるが、何しろ革命防衛隊等には血の気の多いものも多く、今後の事態の発展でイランがさらに追い込まれることとなれば、自爆覚悟の衝突路線をとることも覚悟しておく必要はありそうです。

またイランの政策には、穏健派対強硬派という何時ものイラン内戦問題、更には一時喧伝された最高指導者ハメネイの健康問題も絡んでくると思われる。

・他方米国の政策だが、ここでもトランプの発言が強硬と柔軟の間を揺れ続け、米の本音がどこにあるのか不明。何しろ彼の後ろの国際的勢力としてはイスラエル、サウディ、、UAEなどと言うイラン潰しが本音の連中がついていて、陰に陽に働きかけていることは想像に難くありません。

しかし、どうやら透けて見える彼の真意は、制裁や軍事的包囲網を締め上げていけば、イラン政権は妥協せざるを得ないと見ていて、本心軍事衝突まで覚悟しているのではなさそうです。

何しろ彼にとっては来年の再選が唯一無二の関心事であるだけに、武力衝突などと言う不確定結果をもたらすことは避けたいのが本音だろうとは思うが、何しろボールトン補佐官などと言う音に聞こえた強硬派もおり、安心はできないという所か?

・ということで、最後はわが国の対応ということになり、これも突き詰めれば、海自の派遣をどう考えるという問題に行きつくと思います。

何しろ中東・湾岸というのは、安全保障問題で、わが国が何度となく踏み絵を迫られてきたところで、中曽根内閣のころの冷戦の最中には、、中東から我が国への石油等の輸送の安全確保のために我が国も1000海里の海上交通線警備にあたるかという問題が提起されたかと思います。確かその時総理が日本は不沈空母であると豪語したかと思う。

それが現実化したのが2000年の湾岸戦争のさいで、日本は休戦後湾岸に、機雷除去のための掃海部隊を派遣し、危険な任務に取り組みました。

その後アフガニスタン戦争との関連でのインド洋での同盟国に対する給油作戦、イラク戦争後のイラクへの陸自派遣へと続き、更には現在も続行中のソマリア沖での海賊退治への海自艦へとつながります。

これらの例を見ても、国連安保理のお墨付きのある派遣で、しかも非武力行使という条件付きでさえ、国内的に多くの問題が提起されたのに対し、今回は国連安保理のお墨付きなしで、また作戦の性質上通常の護衛任務が、何時武力行使の必要性に迫られるかわからない海上作戦とあっては、なおさら慎重な検討を要する問題となるでしょう。

しかし、つい最近あった参議院選挙でも差し迫った問題としては取り上げられず、また印象ですが、マスコミ等でもあまり派手な議論はないように思われます。

まさか、平和国家の建前上、日本の船と船員(もっとも最近は船長等一部の高級幹部以外はアジア人等の船員が大部分となっているが)だけは見捨てられても仕方がないなどと言う議論は出てこないと思いますがね・・・・

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