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2019参院選をふりかえる(下)――ポピュリズムの危うさ

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ポピュリズムの危うさ

 今の日本維新の会の生みの親である橋下徹氏が、かつておおさか維新の会でブームを巻き起こした際、そのポピュリズムの危うさをいち早く批判したのが中島岳志・東工大教授だった。
 その中島氏も毎日新聞で、

 山本さんのやり方は政治学の分析の枠組みでとらえると「ポピュリズム」になります。(『毎日新聞』7月24日

 日本のポピュリズムは維新の橋下徹さんとか自民党の一部とか、右派がずっと担ってきましたが、これにリベラル側が参入したということだと思います。(同)

と言明。そのうえで、山本太郎氏にはイデオロギーへのこだわりがないことを指摘して、

 そこが危うさになる可能性もある。戦前を研究してきた人間からすると、5・15とか2・26事件を起こすような人たちは、基本的には下からの運動なんですよ。(同)

 山本さんも2013年の秋の園遊会で、天皇陛下に直接、手紙を手渡して直訴したことがありました。彼は母子家庭で育ちましたが、雑誌のインタビューで「(天皇は)『父無き子の父』のような存在」と述べていました。こういうマインドは戦前の革新右派に近い。
 血盟団事件(1932年に発生した連続テロ事件)を起こしたような人たちも、茨城県・大洗の農家の子弟などで、エリートではない。れいわも一転して「一君万民」的なものになる可能性があると思います。イデオロギー運動ではなく、ポピュリズムだからです。さまざまな思想とつながるというのがポピュリズムの最大の特徴です。(同)

と、新たなポピュリズムの危険性を懸念した。

維新を当選させた「れいわ」

 れいわ新選組は、公明党と創価学会を批判する候補者をあえて山口那津男代表と同じ東京選挙区から立候補させ、世間に対し山口代表と勝負するというようなアピールをした。
 国政選挙において、特定の宗教団体の信仰に踏み込んで批判し、その変更を要求する主張を公然とする。まさに東氏や中島氏が懸念する「危うさ」である。
 公明党は微動だにせず、山口代表は全体の投票率が大きく下がったにもかかわらず、前回選挙を上回る81万票余で2位当選。
 むしろ、れいわの候補に流れたのは、出口調査によると立憲民主党などの票で、結果として最後の6議席目を維新の新人と争った立民の新人が落選した。
 急ごしらえの左派ポピュリズム政党が単に野党の票を削り、丸山穂高議員の醜聞などが大きな批判を浴びたにもかかわらず、日本維新の会という右派ポピュリズム政党が東京で議席を獲るという皮肉な結果となった。
 以前からポピュリズム路線まっしぐらの日本共産党は、大敗した執行部の責任を追及することもなく、早くもれいわ新選組にラブコールを送っている。
 しかし、れいわ新選組に票を奪われた立憲民主党など既存野党のなかには、憤懣抑えがたい人々も少なくない。エリート意識の高い旧民主党幹部たちが、こうしたポピュリズム政党と手を取るのは難しいだろうし、安易に手を結べば必ずまた不満が爆発するだろう。
 熱狂のなかで史上最多の308議席を獲り、政権の座にまで就いたあの民主党が、なぜあっけなく行き詰まり、国民から見放されて消滅したか。
 つくづく、国民を軽んじ甘く見ている者は、本当はいったい誰なのかと、考えざるを得ない選挙結果であった。

2019参院選をふりかえる(上)(下):
2019参院選をふりかえる(上)――バランスを求めた有権者
2019参院選をふりかえる(下)――ポピュリズムの危うさ

参院選直前チェック①~④:
2019参院選直前チェック①――議員としての資質があるか
2019参院選直前チェック②――「若者政策」各党の温度差
2019参院選直前チェック③――争点は「安定か混乱か」
2019参院選直前チェック④――政治を変える現実策とは

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