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なぜ、18歳は選挙に行かなかったのか検証しました。

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18歳の投票率が低かった理由

18歳の投票率が低かった理由をざっと列挙しました。

若者の感覚的なところは、もちろんありますが、
私は政策的・物理的な環境をみても、下がって仕方がなかったことだと思っています。

●日程

3年前は、6月22日公示、7月10日に投開票。
今回は、7月4日に公示、7月21日に投開票。

テスト期間と重なったり、夏休みに入ったり。

学校は7月中旬から行事がたくさんあります。
行事があると総合学習の時間は動かしにくく、選挙があるから主権者教育をやろうとはなりにくいのです。

3年前、18歳の投票率が2番目に低かった宮崎県の先生に電話で取材したところ、
「大学のオープンキャンパスと重なり上京している子がいた。期日前投票も徒歩では行けず、車を親に出してもらわないといけないから、忙しくて行けなかった。学校を投票所にできないか選挙管理委員会に相談してみたいと思う」と話してくださった。

ちなみに、東京は投票所の数が増えています。東京と地方では、選挙に対する意識や感覚がまるで違う。このことを理解した上で、投票率を理解しないといけません。

●投票所の数

 投票所の数というのは、各自治体に委ねられています。あまり大きなニュースにはなりませんでしたが、投票所の数は全国で4万7044カ所で、前回の2016年より858カ所減りました。人口が減る中、投票所の設置に必要な人手が足りないという問題が発生しており、2001年のピーク時より1割も少ないのです。

 著しいのは、青森県は69カ所をなくして931カ所になり、岐阜県は減少幅が最も大きく8.1%(66カ所)になりました。青森は3年前の18歳の投票率が全国で41位と低いので、もしかしたら、投票所の距離が原因の一つの可能性があります。(ここはまだ検証できていません)

 投票所1カ所につき有権者2~5人を立会人として配置しなくてなりません。その対策として、共通投票所というものがあります。2016年の公職選挙法改正で導入された制度で、人が多く集まる商業施設などに設けることができ、その自治体内の有権者ならば誰でも投票できるというものです。
これは今回、45カ所しかありません。二重投票を防ぐシステムにお金がかかるということから普及が遅れているそうです。

●副教材

 総務省と文科省が高校生向け副教材「私たちが拓く日本の未来」を18歳選挙権が作られた時に作りました。これが、ページ数が多すぎるし、ただでさえぎゅうぎゅう詰めのカリキュラムにどうやってこれを教え込むのか?先生がこれを読み込むのも大変ですし、なんとマニフェストを比較してみるページは、真っ白で、生徒が調べて記入しなければなりません。

 私各政党のマニフェストを比較すること、それを整理することを毎回やっていますが、それらを中立に扱い抽出しようとすると、多分30〜50時間ぐらいかかっています。
 これを生徒にやらせるの?せめて、選挙の時に総務省がオフィシャルで使えるものをHPにアップして、それをダウンロードできるようにしてほしいと、総務省にお願いしたことがあるのですが、「どの政党を一番最初にもってくるのか」など議員の先生方でもめるだろうから、きっとできないと言われたことがあります。もちろんおっしゃることは分かりますが、あなた方でできないなら、先生は無理だよ…。

 あと公職選挙法においても、マニフェストやポスターを全政党であっても、先生が生徒に印刷して配ることは違反にあたるとのことから控える選挙管理委員会や先生が多いです。となると…架空の政策で模擬投票をするとか、選挙に行こうをこえた授業をすることは困難です。
 笑下村塾の出張授業も、具体的な政党や個別の政策については踏み込んでいません。公職選挙法や学校の先生を守るため、現状のルール化でやることは仕方ないことです。

 私は情報を持つメディアがうまいこと、これから廃れてしまうであろう新聞社が自社の新聞を使いながら、出張授業で選挙に行こうということをやるということができるといいなと思っています。
 大学生の頃から新聞記者の方や報道番組のプロデューサーを捕まえて、このことをプレゼンしていますが、「その危機感は内部にない」みたいなことを言われて撃沈しています。もう大手メディアが殿様の時代は終焉を迎えていることに、どうして購買数とかを見て思えないのかなぁ。新聞なんてもう皆とらないから、新聞の切り抜きの授業とかができない学校現場とか知らないのかなぁ。

 とにかく、現場が使える、使いたくなる副教材を作らないといけないですよね。3年前、私が取材した高校生が「新品のまま持ち帰らされた」とか言っていました。いろんな事情はおありだと思いますが、もう少し現場のニーズにこたえていただきたいものです。

・副教材
http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/senkyo/senkyo_nenrei/01.html

●啓発予算

 3年前、電通さんが入り、大々的に18歳選挙権のPRが行われました。
 広瀬すずさんと、YouTubeでちょう流行った「本能寺の変」ならぬ「選挙権の変」。写真を送ったら自動的に選挙ポスターが作れる18歳選挙権のサイトを総務省が作りましたが、HPの予算は年度毎に作られており、ドメインの有効期限が1年であっさりと切れてしまい、ふざけてとった大学生が取得してしまったという悲しすぎることがありました。
 省庁のPRについては、名誉職だとおもい、女優さんの契約も通常とは異なる形で、せめて10年とかサイトを残すことはできないのですかね。URLが変わると、SEOとかも落ちちゃいますよね。

 私の知り合いの人が手がけていたのですが、すごくセンスがある方で、行政っぽくないポップさとかがあったんですけどねー。全国で藤田ニコルさんと主権者教育のNPOさん、人気ラジオとコラボしたイベントなどを総務省が実施していて、若者にリーチすることができていて、予算が多すぎたかなどは検証の余地があると思いますが、一定の効果はあったと思います。
 東京都の選挙管理委員会も、選挙!選挙!しか言っていませんでしたが、アニメーションと、りゅうちぇるさんを面白くミックスさせ話題になっていましたよね。めちゃくちゃお金かかっていそうでしたが。。。当時私は懐疑的でしたが、選挙があること以外、何も伝わらないから!!
 ですが、選挙があること自体知らない若者が多かった今回の参議院選挙では、もしかしたら、この手のやつが有効だったかもしれませんね。

●総務省

 総務省の中でも、本当に頑張っている方はたくさんいらっしゃいます。ネット投票だって実現したいと、投票率だってあげたいという方もいます。何より、お騒がせガール、たかまつななと一緒に動画を作ってくださったってだけで、私としては、挑戦的!だと驚きました。
 以前、総務省の方とお仕事させていただいた時に、「統一地方選、参院選で18歳選挙のことなにかやりますか?」と聞いたら、「国政選挙で、初めて導入されたから、前回の参院選ではやりましたが、個別の選挙においてはやりません」と言われ、衝撃と、そうだよなーと落胆したのを覚えています。
 ですが、動画を作るということを総務省もやっています。よかったら、ガチャピン・ムックとコント風に、政治とは何か、民主主義とは何か、投票率の不思議について学べますので、ご覧ください。
http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/senkyo/manabe_senkyokkyo/index.html

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 個人的にこのように学校現場で使えるものを作っているのに、サイトがみにくかったり、これ学校の先生や全国の選挙管理委員会向けに作られていますが、どこまで届いているのかなぁと心配になります。
 何より、若者よ選挙に行くな が400万回見られているのに対して、これが1500回というのは、悲しすぎます。やはりストレートに言ったって伝わらない。。毒やエッジをつけないとダメなのかな。どちらの伝え方も知っているだけに、どの時にどんな手法で、どこに出すかって本当に悩みます。。。
 正直、現公職選挙法の元だと、学校現場で、具体的な政治イシューやマニフェスト比較など主権者教育をやるのは相当難しく、現場の勇気が必要なので、教育現場、教室の中での適用方法などを見直してほしいと個人的には思います。どうか、総務省の偉い方、お願いします。

●文科省

 実は、ここが笑下村塾としても、たかまつななとしても関わりが少なかったのですが、一番心配なんです。でも、事情としては仕方ないですよね。。学校現場では、長らく政治とは距離が置かれてきました。それは偏向教育の歴史からです。
 ざっくり言うと、戦争の時、全体主義的な教育、「国の政策には絶対従え!」と、したことを反省し、政治教育を認めるようにしたのですが、実際に偏った教育が過激に行われてしまいました。それを制限するのに苦労した歴史があることは、政治と教育を語る上で理解しなければなりません。
 教育基本法第十四条には「良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない」とありますが、第二項には「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない」とあります。
 強い政治思想に侵されないために、政治的中立を保つために、長らく教育現場がとってきた対応は、政治には触れない。そのことで中立性を保っていたんです。って、そんなギャグみたいなことあるんかい…。副教材を見ても思うんですが、抽象的な禁止事項が列挙されているから、正直よく分からない。私が校長でも、担任でも、社会科の先生でも怖くてこれじゃできないです。
 ですが、文科省が教育現場に及ぼす力は、絶大なので、3年前の主権者教育をやろう、でも注意点はここだぜ、的な通知を出し、結果9割以上の学校が主権者教育を実施しました。

・これは、政策上とても大事な通知なので一応リンクはっておきます。
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/1363082.htm
 文科省が現場の先生を守る仕組みなどを形成しながら、現場に時間をとれよとプレッシャーをかければ、一定の効果は出ると思います。

●内閣府

 ここの方とも、お話したことがあります。主権者教育のための予算を縦割りで出せないなら、ここから捻出するのはどうかなと思いましたが、予算をつける=主権者教育を教育現場でできないと認定するのは難しいというお話でした。投票率半分なのに、そんなこと言うの?って驚きましたよ、正直。
 私の会社は、なんとか、お金をいただけるところからいただくというスタンスをとっているので、企業研修や講演会など黒字化できた部分や、クラウドファンディング、オンラインサロンの売り上げをお金がない学校へ補填し、なんとか出張授業にまわしていますが、お金が集まらず、主権者教育の出張授業から撤退する団体や寄付が集まらず困っているNPOを見てきたので、行政の補助金でまわり、自立性のないNPOなどもよくないなとは思っていましたが、本来は投票率アップは国がやるべきことだから、もう少し予算がついてもいいのにとずっと思っていました。
 というか、後輩たちも、学生が主体となって頑張っているから、予算つけてほしいです。公職選挙法に違反していないかどうか教材をチェックしつつ、官民連携するみたいなことできないですかねー。

●財務省

 実は、たかまつ個人がめちゃくちゃ期待しているのは財務省です。たまに意見交換をさせていただいたり、笑下村塾で研修などさせてもらったことがあります。
 期待している理由は、財政教育というのを官僚が手弁当でやっています。借金があってお金が足りない、増税の理解とかって財政のこと勉強しないといけないですよねというのが動機みたいです。政治家は、お金を削りました!と財務省を完全敵とみなす、or予算をつけてくれ!攻撃だから、そこに国民の高い関心を集め、できる限り、しがらみから関与をさけたいという狙いですね。
 財政教育から、何にいくら使われているか国民が知り、予算の配分を変えて欲しいと意見を持ち始めるのは、とても大事なことだと思います。単に増税して財源を増やせばいいわけではもちろんないので(削れるところ削ったりも必要だし)難しいところですが、財務省が今の流れも踏まえ、やる意義があるからこそ、期待できると思っています。
 お金に常に厳しいため、自分たちの省で広報費などにお金をかけると、無駄づかいじゃないかと批判されることが多く、あまり広報などのお金を使えないのが弱点みたいですが。。

●現場の先生の不安

 現場の先生は、そりゃ不安ですよね。教育委員会に言われたらどうしよう。実際3年前の参院選でも直後に、議員が政治的中立をおかしていなかったか調査しようとしたことがありました。このことは、相当な批判が集まりすぐに、その議員さんは撤回しました。
 現場の先生の不安の声は私のもとに何度も届きました。だから、選挙管理委員会に丸投げというところが多いのですが、選挙管理委員会は選挙のプロであって、教えるプロではないんです。だから、私たちは伝えるプロであるお笑い芸人が出張授業にいっています。政治的中立にやる、政治の授業をやるコマを確保するのに苦労されているのが私の印象です。

●主権者教育のNPO

 政治にお金を払う企業なんてない。これが市場原理です。しかも少子化。予備校が潰れる時代。教育の市場も圧縮。政治の教育なんて、儲からないし、わかりにくい課題だから寄付も集まりにくいんです。だから、出張授業をメインにしないところが多くなってしまったというのが私が感じる悲しいところです。

●政治を語る雰囲気

 なんか、政治オジさまに、「君、これ知っている?」とマウントをとられます。「こんなことも知らないの?僕が教えてあげる。」これが正直うざすぎます。テレビ番組でも、twitterでも、何度もされました。「はぁ??????」「うざいいーーーー」。
 あと、会社や学校、組織が政治を語ってはいけない雰囲気を出しすぎです。組織と個人は完全にわけるべきです。私、たかまつだって、今回は●●党にいれましたーとか、気軽に言えるようにしたいです。その勇気はありません。多分、すべてを失います。ごめんなさい。
 でも、皆がそういうこと言えるといいですよね。芸能人がテレビで、どこに入れたとか自由闊達にいえるといいですよね。政治的な人間は、ダークなイメージで排除するのは、やばい社会だなと思います。

●若者のイシューがなかった

 18歳がめちゃくちゃ困るわかりやすいイシューが今回はなかったですよね。徴兵制をやります!ぐらい言わないと、若者は動き出さないのかなと、あるテレビ局の政治の解説委員の人と話したことがあります。もちろん教育政策として、奨学金のことを踏み込むところはありましたが、全体の争点や関心時としては低かったですよね。

●ネット投票できない

 ネット投票できたら、ラインで投票できたら、絶対に行きますよね。でも、私はこの理屈をいう文化人は信用していないです。

あまりにも、その意見が届くので、私は先日こんな投稿をしました。

「ネットで投票できたら行くのに〜と嘆く方へ。若者が選挙に行けば、ネット投票が実現できるかも〜と私は思います。ネット投票をできる法律を作れるのは、政治家です。多くの若者が選挙に行くと、当選するために「ネット投票を実現します!」という政治家が出現するかも。選挙で若者の存在感を示しよう!」

ネット投票をやるのが難しいのは下記3つです。

①法律を大幅に変えなきゃいけない
 選挙がまるで違うゲームになってしまう。
自分の選挙区が100人の村だったら。50人しか選挙にいかない。
25人支持されたから、当選できていた。
100人が選挙にいったら、あと25人ぐらいに支持されなきゃいけない。
今までの倍?むり、しんどいよー。ってとこです。
熱心なファンがいる人や政党ほど、投票率が低い方が、得ですよね。
投票率が倍まであがるのは極端な例かもしれませんが、若者に限ったらありえるかもですよね。もともと低いし。無党派層を獲得するのって、なかなか政治家にとっては不安ですよ。
 私が政治家なら、このまま投票率が低い方がありがたいです。

②セキュリティ
 サイバー攻撃にあったら、どうしようというものです。
海外のハッカーから狙われる?この辺は、私も技術的にできるという人もいれば、難しいという方もいらっしゃりよく分かりません。
 ネット投票ができた時に、技術提供できるように準備する会社が選挙をわかりやすく伝えるサイトを運営しており、たまにネット選挙に関する記事を書いているのをみて、ステマではないのでしょうが、そんな印象を事情を知る者としては感じてしまい怖いとか思ってしまいます。めちゃくちゃ便利なサイトなのですが。。。政治で儲かる企業、ありましたね!政治で儲かる人は、あと世論調査の会社と選挙のPRをできる会社ですね。
 そこの良心的な方たちが、主権者教育や勉強会などを企画されているのは、よく見ます。選挙のことを知るからこそ、強い危機感を感じていらっしゃるのでしょうね。

③投票先の秘密をどう守るか
 今ここで、俺の前で投票しろ!みたいなこと、絶対おこりますよね。恐喝されるのはよくないですよね。組合の会合で、全員隣の人のチェックのもと、今から投票しましょうみたいなのって、めちゃくちゃ怖いですよね。投票しているところを動画で撮影しろとか、いろいろ危ない香りがぷんぷんとします。。
 ネット投票やれば…という人は、なんと絵空事をと正直思ってしまいます。高校生がいうのは、まだしも、大学教授がそういうコメントをしていたりするのをみると、驚いちゃいます。

●メディア

 選挙報道が少なくなったと朝日新聞が報じていました。選挙翌日も、吉本の内紛ばかりで、なんだこりゃと残念でした。吉本を扱うなら、反社とどう向き合うべきかじゃないの。1分早く当確を伝えることって、なんで大事なんだっけ?政治的公平に報道する=政治を報道しないとは違うよねってことの再認識。か、現場の人を守るルールなのかなぁ。教育も一緒ですよね。扱う人が守られるルールを作り、それが誰が見てもわかるルールが不可欠ですよね。

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