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「京アニは麻薬の売人以下」記事を掲載したWebメディアの問題点

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ちょっと事前のコンセプト設計に問題があったんじゃないすかね。

あと今回の炎上でこのWebサイトは記事を削除したけど、本来、メディアでの記事訂正や削除は、真剣に議論してからなされる、極めて重要な案件だ。そこの意識も薄いように思われる。

なぜ重要かといえば、メディアは圧力に屈するわけにはいかないから。だから訂正・削除するからには、相応の理由が必要だし、事後の対応もしっかり行わなくてはならない。個人ブログじゃないんだからさ。

記事訂正を入れるなら、訂正後の記事に「こういう理由で、いついつにこのように訂正を入れました」と、よくわかるように入れるのが普通だ。記事冒頭か文末に赤字で入れるとかさ。

記事を削除するなら、トップページに「これこれこういう理由で、○○という記事を削除しました(削除日時)」と、よくわかるように入れるのが普通。

このあたりは、Webメディアはいい加減だった過去がある。紙と違って簡単に修正できるから、勘違いするんだよね。編集者としての訓練を受けてきている人も少なかっただろうしさ。だが最近では、しっかりプロトコルを守るWeb媒体も増えてきている。

翻ってINSIGHT NOW!を見てみると、トップページ下部に、以下のような記述がある。

今回一部の記事に不適切な表現があったことをお詫びいたします。
運営事務局として、記事表現の管理とその後の対応の関して行き届かなかったことを重ねてお詫び申し上げ、改善を図ってまいります。


わかるとは思うが、この対応では失格だ。

まず、どの記事に、どのような不適切表現があったか、さっぱりわからない。その記事をどのように対処したのか(削除か訂正か)もわからない。さらに文責者たる著者に対するペナルティーについても触れていない。今後出入り禁止にするとか注意して記事クオリティー向上を誓わせたとかさ。

見えてくるのは、臭いものに蓋だ。「とにかく間違いを矮小化し、寝た子を起こさないように処理しよう」という意志しか読み取れない。過去の不祥事案件で、こうした対応を取ったあまり、かえって炎上した例が多いことを知らないのだろうか。

この記述では事実関係や問題拡大・収拾の経緯がさっぱりわからないので、かえって怪しげな憶測を呼ぶばかりでメディアにも悪影響が出るだろう。

ちゃんと書けばいいのにな。真実を報道するのがメディアの使命だ。「自社の問題は隠す」では、まったく信用できない。ましてここ、自称ビジネスメディアだろ。

またこの「お詫び」、テキストじゃなくて画像で掲載してるのがなあ……。適切なお詫び提示もできないのに、上っ面の対応だけは危機管理マニュアルどおりってのが。

実際、記事削除後に、純丘先生は書き直した同様の分析記事を再投稿したようだ。めげないなあ。バイタリティーだけは見習いたいわ。

その再投稿は今回もノーチェックだったようで、あっさり掲載された。どうなってんのよ、編集部の対応。

再投稿記事は、またぞろヤバい内容だったのか、その後、再度削除されたという(ヤバくなけりゃ削除されないだろ)。これらの経緯を見る限り、著者に対するペナルティーは皆無だったのだろうと想像できる。だって出入り禁止どころか「当面投稿は控えてくれ」「今後は事前に原稿チェックさせてくれ」くらいも言ってなかったってことだろ、これ。

純丘曜彰先生のTwitterを見つけたんで、プロフィールを見てみた。

大阪芸術大学教授(哲学):美術博士(東京藝術大学)、文学修士(東京大学)。テレビ朝日で『朝まで生テレビ!』を手がけ、玉川大学講師、東海大学准教授、ドイツ・グーテンベルク(マインツ)大学客員教授を経て現職に至る。専門は哲学、メディア文化論、映画学。小説家、作曲家、デザイナーとしても活躍。

ちなみにINSIGHT NOW!側の著者紹介はこう。

美術博士(東京藝術大学、美学)、文学修士(東京大学、哲学)。東京大学文学部(哲学)卒。テレビ朝日報道局報道制作部ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、玉川大学文学部講師、東海大学総合経営学部准教授、ドイツ・グーテンベルク(マインツ)大学メディア学部客員教授を経て、現職に至る。専門は、哲学、メディア文化論、映画学。みずからも小説、作曲、デザインなどの創作を数多く手がける。

すげえ!

だがちょっと疑問も感じた。小説家と自称しているが、ほとんどの小説は前回書いたように電子出版オンリーの個人出版と思われる(kindleダイレクトパブリッシングとかあの類)。

そういうの「小説家」と言うんだろうか。それなら小説家になろうに投稿しただけで小説家ってことになるし。いや昔に版元から出した奴もあるので小説家と言えなくもないが、「活躍」ってのはちょっと盛りすぎだ。INSIGHT NOW!側だと「数多く手がける」とか、さらに盛ってあるし。

あと「デザイナー」? 「デザインを数多く手がける」?

もしかして個人出版の表紙を作ったのをデザイナーと自称しているのかな。いや邪推かもしれないけどさ。全体に「経歴盛り盛り」の印象があるんで、そう思えちゃう部分がある。テレ朝ブレーンってのもどうなんだろうか。この手の番組立ち上げ前にはいろんな人に幅広くヒアリングするわけだが、それ受けたくらいとかじゃないよね、まさか。

それにあの表紙デザインは、プロの仕事とはとても思えない稚拙さだ。デザイナーである先生がわざわざ素人に自著のデザインを任せるとは思えないので、やはり自分で手がけたのだろう。

「純丘曜彰 デザイン」で検索してざっと見ても、先生のデザイン作品と思われるものは、テキストにも画像検索にも出てこない。4年前の例の佐野研二郎の盗作デザイン事件のとき、余計な口を突っ込んで炎上したという、一連の記事が引っかかったくらいだ。

それに関してとあるブログの主張では、

筆者の感じた純丘氏への疑問とは、
「明らかなデマの流布」「度の過ぎた個人的感情の表出」
そして「独りよがりなデザイン論」「デザインに関する知識不足」である。


だそうだ。

やってること、今回の京アニ記事とおんなじじゃん。

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