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なぜ電気か - 書評に代えて - 自然エネルギーの可能性と限界

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以下の記事を読んだオーム社宇津様より献本御礼。
404 Blog Not Found:なぜ太陽光発電か - 書評に代えて - 知っておきたい太陽電池の基礎知識
全然わかっていない。10年や20年で、それまでは「知る人ぞ知る」技術だったものが「みんな使っている」技術になった例を、我々はいくつも知っているではないか。ブロードバンドインターネット然り、携帯電話然り。太陽光発電でそれが成り立たない理由こそ、私には思い浮かばない。
その点が本書の著者にもわかっていないのは、本書で確認することが出来た。

だからこそ、特に自然エネルギー推進派の人は必読である。

自然エネルギー推進というのは、本書の提示した懐疑を反証していくことなのだから。

本書「自然エネルギーの可能性と限界」は、自然エネルギーに対する懐疑を、「男は黙って原子力」のごとく下衆で無知なフレーズではなく、きちんと数字をあげて示した好著。

目次 - 自然エネルギーの可能性と限界 −風力・太陽光発電の実力と現実解−|Ohmshaより
プロローグ 自然エネルギー? 再生可能エネルギー? 新エネルギー?
第1章 風を集めてエネルギーにする難しさ
第2章 「日の本」ニッポンは太陽光発電に向いているのか?
第3章 日本が有利な水力と地熱という「自然」エネルギー
第4章 市場原理を働かせて世の中を変えよう
エピローグ 戦略なき政策では全体最適は実現できない
好著ではあるのだが、最新事情に関してはやはり不勉強の感を否めない。特に太陽電池のところ。前世紀に書かれたのであればとにかく、去年上梓された本でCIGSもCdTeも出てこないのはいくらなんでも古すぎる。

asahi.com(朝日新聞社):世界最大級の太陽電池工場、宮崎に 原発事故受け注目 - ビジネス・経済
同工場は年間で、住宅用太陽光発電システムの電力の約30万世帯分に相当する900メガワットの太陽電池を生産できる。2月から生産を始め、7月にもフル稼働する。設備投資額は1千億円で、単独の工場としては世界最大級となる。

Cadmium telluride photovoltaics - Wikipedia, the free encyclopedia
CdTe module costs are about $110/m2 (normalized to a square meter).[30] Costs are expected to reduce to $75/m2.
10万円/kWを切っているではないか。

CIGSにせよCdTeにせよ、なぜそんなに安いかといえば、圧倒的に作りやすいから。シリコンは材料は安くとも、精錬するのが高コストだし、本書でも触れているアモルファス型は薄膜なので材料はわずかでも、製造に真空と高温が必要になる。それに対し、たとえばCdTeは材料を印刷して焼き付けるだけ。焼き付けるのも600Cぐらい。材料そのものは特にTeが稀少なのだが、薄膜なので大した量はいらず、製造会社も供給の心配はしていないようだ。

ただ、透明電極でも利用されているインジウムの供給は少し心配にもなってくる。ところでこのインジウム、95%が実は放射性同位体。放射性同位体なのだがその半減期は何と441兆年。

インジウム - Wikipedia
このインジウム115は天然放射性同位体といえど半減期が441兆年と極端に長く、限りなく安定同位体に近い。現在インジウムは透明導電膜、光デバイスや半導体用途向けに需要が高まっているが、そのほとんどが放射性同位体であっても、現在の用途では放射性同位体であることを無視してよいとされる。将来、原子1個レベルでの信頼性が問われるような製品が出た場合でも問題になることは稀だと考えられている。
もしかして、40Kのように元から体内にあるものを除けば最も身近な放射性同位元素かも。

話がそれてしまった。そういうわけで本書は「これからどうなる」という点については非常に物足りないのだが、「これまでどうだった」という点に関しては実に参考になる。最も参考になったのは、第三章のコラム「エネルギー問題を考える前に知っておきたい、日本のエネルギーと電力に関する基礎知識」。

実は日本のエネルギー消費量というのは今世紀に入ってからほとんど増えていない。ゆっくりとはいえ経済成長だってしているにも関わらず。

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