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炎上はSNSアカウントを持たなくても起こるし、そもそも予防不可能。そして発生してからが本番

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皆さん、ご機嫌いかがですか? ガイアックスのSNSコンサルタントの重枝(@SGDYSK)です。

炎上が相次いでいます。皆さんの体感としてもそうだと思いますし、年々増加していることは数字の裏付けもあります。

2016年まで出ていたエルテス社の炎上件数レポートでも、年々上がり調子でした。
参考:http://chosa.itmedia.co.jp/categories/marketing/86370

NHKの『”ネット炎上” 追跡500日』で示されたデータでも2016年6月から2017年9月にかけて炎上件数はやはり増加しています。
参考:https://www3.nhk.or.jp/news/special/enjyou/

こうなってくると炎上に対する恐怖感が増し、SNSアカウント活用をひかえる向きも出てきますが、それはおすすめしません。

    ■目次
  • SNSのアカウントがないことは炎上リスクを大きくする?
  • そもそも炎上を避けることが原理的に不可能になりつつある
  • そもそも炎上を怖がらなくてよい理由
  • 最も恐いのは、炎上への恐怖そのもの
  • 価値観が共有されていた時代こそ例外だった
  • ガイアックス 重枝義樹の過去記事

1. SNSのアカウントがないことは炎上リスクを大きくする?

実は炎上は、SNSアカウントとは関係なく起こる場合があります。むしろ、関係なく起こる場合の方が多いと言っても過言ではありません。

SNSアカウントを持ったら、そこで失言や誤爆をしてアカウントが炎上するリスクはありますが、持たないでも、不祥事やSNS外での失言、関係者の不適切な情報発信があれば、炎上することは珍しくありません。

実際に今年に入ってからも、SNSアカウントを持っていない数多くの企業が炎上しています。

むしろ、SNS上での発言力を持っていなければ、素早い釈明の機会を損失するとも考えられます。また、公式アカウントがあれば非難がそこに集中してくれるということもあるため、炎上の状況を把握しやすくなるというメリットもあります。

逆に言えば、公式アカウントがなければ、SNS上に拡散したネガティブな投稿を拾い集めて状況把握しなくてはなりません。

つまりSNSアカウントを運用しないことが情報収集を遅らせて対応が後手に回るということがあり得るのです。SNS活用を避けることは炎上対策としてはほとんど意味を為さないどころか、マイナスに働く場合もあるということです。

2. そもそも炎上を避けることが原理的に不可能になりつつある

では、どのように炎上を避けたらよいのでしょうか?

まず企業の不祥事ですが、これはソーシャルメディア上の問題ではなく、全社的な問題です。不正や社員の不品行を完璧に防ぐことなどできるでしょうか?

イエスと胸を張って答えられる企業は少ないでしょう。百歩譲って不正に関しては完璧なコンプライアンス体制を敷けば防げるとして、社員の品行まではとても管理はできないでしょう。

ではSNSアカウントに限らず、メディアでの失言は防げるでしょうか?

たとえば、批判や揶揄、パロディ、ジェンダーなど、明らかに炎上しやすいテーマを避けることは可能です。「男らしさ」や「女らしさ」の強制も、炎上している企業は過去に複数ありましたが、啓発やガイドラインの作成などの対応次第で多くは防止できるでしょう。

しかし、たとえば粉ミルクについて発言すると完全母乳主義の人たちから、毛皮製品の写った画像を投稿すると動物愛護主義の人々から、批判を受けるリスクがあります。マグロやウナギが美味しいとツイートすれば、海洋資源の保護の観点から非難されることだってあり得るのです。

普段からすべてに配慮できる企業はだんだんと少なくなっていくでしょう。炎上したとしても謝ったり、改めなきゃいけないのかも不明です。

よく炎上を避けるために、政治や宗教の話題は避けましょうというアドバイスするコンサルタントがいると聞きます。私はその話を聞くたびに、そんな誰でもできるようなアドバイスにとどまるコンサルだったら辞めてしまえと思ってしまいます。

たしかに「〇〇党には反対する」とか、「〇〇教は危ない」だとか分かりやすいものであれば、それは簡単に防止できるでしょう。

しかしこの複雑な時代状況の中で、何が政治的で、何が宗教的だというとはもはや自明ではないのです。そして政治的な発言をあえて行うということがブランド価値の向上に働くということすらあります。

アパレルブランドGAPの傘下にあり、1994年にカリフォルニア州に最初の店舗を開き、現在ではほぼ全米に店舗を持つOLD NAVY。

同ブランドは、2016年4月にセールの告知をするために異人種家族をモデルとして起用し、キャンペーンツイートをしたところ白人至上主義者から多くのバッシングを受け、アカウントは一時炎上する事態になりました。

しかし、OLD NAVYはそうした主義主張に対して

“We are a brand with a proud history of championing diversity and inclusion. At Old Navy, everyone is welcome,
(訳:我々はこれまで多様性を支持してきた誇らしい歴史のあるブランドです。OLD NAVYでは、どんなひとでも迎え入れられます。)”

http://www.today.com/style/old-navy-ad-interracial-family-prompts-social-media-outrage-support-t90226

と反論し、さらに該当ツイートのモデルを担当したプロサーファーのClay Pollioni氏も、

“I’m extremely proud to have taken part in a campaign that not only celebrates our nation’s diversity, but also unites families with multicultural backgrounds and promotes love of all kinds! ,
(訳:自国の多様性をただ祝福するだけでなく、多文化的な背景を持った家族を一つにし、あらゆる愛情をプロモートするキャンペーンに参加できたことを本当に誇りに思う)“

https://www.instagram.com/p/BE6jUkbN3K2/

と、とても率直に、前向きな発言をしました。

そしてその反論や発言に込められたスタンスに共感を覚えた多くの異人種家族が「#LoveWins」というハッシュタグとともに自身の家族の写真をSNSにアップロードし始めたのです。

その結果、今回の事案と同ブランドのスタンスやストーリーが様々なメディアに取り上げられることになり、同社に対する共感とともに世界中に拡散されるに至りました。批判的な声に屈せず、一貫したメッセージを伝え続ける企業は、共感され信頼されます。

あえて政治的なスタンスを強調することがマーケティングにとって有効なことは珍しくないのです。

日本でもあえて政治的な投稿を行っている企業があります。2019年参院選当日の7月21日に日曜日にも関わらず、従業員に投票へ行ってもらうため全直営店を休業することにしたパタゴニア。地球環境問題解決のための投票を投稿でも訴えています。


炎上するから政治的な投稿は避けましょうというようなアドバイスはパタゴニアのような勇気ある企業には不要です。

仮に炎上が起こっても、彼らにとっては追い風にしかならないでしょう。実際には炎上どころか、多くの共感が集まり、パブリシティの効果も、ブランド価値の向上も達成していると言えます。

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