- 2019年07月24日 11:15
橋下徹「なぜ宮迫さんの会見は完璧か」
2/2■契約書問題、ギャラ配分……「昔のまま」は通用しない
吉本側も色々な思惑があったのであろう。宮迫さんや、関連する芸人を守るために、宮迫さんたちの会見をコントロールしようとしていたのかもしれない。とりあえず様子を見ることが芸人を守ることだと判断したのかもしれない。しかし、このような経営判断は時代の流れを読み間違えた。危ないと思うことほど、きちんとオープンに会見をすることが、現代の危機管理の鉄則だ。
さらに、6000名ともいわれる契約芸人をコントロール・統治するために、どうしても言うことを聞かないタレントには厳罰を加えて、組織を束ねようとしたのかもしれない。芸人個人の言い分をそれぞれ認めていては収拾がつかないと判断したのかもしれない。しかし、これも一種の恐怖統治であって、今の時代には沿わない。
芸人を守ろうとしたところから出発しながら、結局、違法行為をしていない芸人を斬り捨てるという事態に陥ったというのであれば、それは本末転倒である。
吉本側が芸人を守るために色々と考えていたにせよ、そのやり方が時代に合わなかったことが、今回の問題の根本原因だ。
(略)
芸人あっての吉本興業である。もちろん芸人も吉本興業があるから、仕事ができる。両者がウィン・ウィンの関係になるためには、今の時代、しっかりとした法的関係の整備=コンプライアンスの確立が必要である。
吉本側は、会社員や芸人が反社会的勢力に関わらないことを宣言し、それを実行するためのコンプライアンスの確立に力を入れるという。これは対外的なコンプライアンスだ。しかし、このような対外的なコンプライアンスを確立しようと思えば、組織内の内部的なコンプライアンスもしっかりと確立しなければならない。今の吉本に欠けているのは、その視点だ。
(略)
反社会的勢力との接触を、会社員や芸人に完全に断ち切らせるというコンプライアンス意識を醸成するためには、まずは組織内部でのコンプライアンス意識をきっちりと醸成しなければならない。その第一歩が、会社と芸人との権利関係の整備である。これくらいのコンプライアンスを実践できない会社が、反社会的勢力との関係を断ち切るコンプライアンスを確立できるわけがない。
岡本社長は、芸人さんたちとの信頼関係を築くことが第一だと言っていた。芸人さんたちは、ギャラの配分方法についても不満を持っているようだ。昔は、昔のやり方で収まっていたのであろうが、個人の権利意識が高まってきている現代において、昔のやり方はそのまま通用しない。それが時代の流れというものだ。
吉本の大崎洋会長は、新聞各社のインタビューに応じ、契約書がないやり方が吉本には合っていると答えていた。しかしそれは、現代社会ではもう通用しないだろう。これだけの問題が生じたのに、契約書をまだ作らないというのは大問題だ。特に、会社の方から一方的にギャラが配分できたり、契約解消ができたりする契約構造は大問題だ。場合によっては独占禁止法が適用されることもあるだろう。
この点の権利関係の整備、透明化、書面化ができなくて、会社と芸人さんたちの信頼関係を強化することなど、もはや不可能であろう。吉本側は、芸人ファーストで行くと宣言した。そうであれば、まずは会社と芸人の間の権利関係をしっかりと整備し、書面化することに努めるべきだ。ここは吉本の経営陣も、素直に時代が変わったことを認めた方がいい。
そしてくれぐれも、芸人さんたちは、やり過ぎにならないように注意して欲しい。経営陣の非に釣り合う攻め方を心掛けて欲しい。
(略)
(ここまでリード文を除き約3200字、メールマガジン全文は約1万2700字です)
※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.160(7月23日配信)を一部抜粋し、加筆修正したものです。もっと読みたい方はメールマガジンで! 今号は特別増大号《【参院選総括】自公圧勝・負けを認めない者は政権を獲れない/【激震芸能界】流れを一変させた宮迫さん・田村亮さんの謝罪会見》特集です。
(元大阪市長・元大阪府知事 橋下 徹 写真=時事通信フォト)
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