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2019参議院通常選挙雑感

3年に一度の参議院議員通常選挙が終わった。

全体として、自民党は公示前の66議席に対して57議席と、9議席(約14%)も減少し、新勢力の合計は113議席と過半数(123)を割り込んでいる。この数字は前回並と言っても良く、要するに安倍政権になってから自民が強いように感じているのだが、少なくとも参議院議員選挙では二回とも自民党は圧倒的な強さを見せているわけではない。

それでも安倍政権が強固に見えるのは、一つには公明党が全く存在感を見せずに支えているのと、野党の見るも無残な状況にあるのであろう。

民主党政権崩壊後、しばらくは仕方がないとしても、小池百合子のポピュリズムに目がくらんだとしか言いようがない前原・自爆テロ、そしてそれを反省もできないで残った「無所属の会」とかの人たち、その影は国民民主党という形で定着しつつあるのが実に残念だ。今回の選挙でも、改憲勢力に取り込もうとする動きが選挙の前後を通じてあり、それを歓迎する声まで聞こえてきている。

それに対して、比較的明確な立憲主義の旗を掲げ、多様性と自由を尊重し、かつ、社会の中であまり恵まれて来なかった人々にも目を向けてくれそうな立憲民主党が、今回の選挙で衆参両院で名実ともに野党第一党となったことは、あの前原・自爆テロからようやくここまで回復したかと感慨を覚える。

しかし、個別の当落については、悲喜こもごもだ。

最大の朗報は、新潟選挙区で、落下傘候補でありながら、またDV被害者の味方であることを前面に押し出して、しかも女性ということも前面に押し出して、その上で結果を出した打越さく良先生の当選だ。

相手は忖度発言で批判を浴びて副大臣辞任という惨めな出来事をお詫びするところから始めるというハンデがあったが、その忖度に象徴的に現れているように、土建業界の組織票を当てにし、安倍政権に全面的にすり寄るという姿勢を隠さず、いわば現在の権力の基盤を象徴するような候補であった。いくらスキャンダル直後とはいえ、打越先生のような存在が既存の支配層を体現するような相手に勝てたというのは、凄いことではないか。

もちろん、新潟はかつての田中王国であり、森ゆう子議員は田中-小沢ラインにあり、とか、色々な要素はあるのだろうが、ともかくも打越さく良議員の誕生は日本の明るい未来を予感させる出来事だ。

これと対照的に、やはり立憲民主党的な価値観を全面に打ち出して破れたのが大阪の亀石倫子先生である。共産党との共倒れとか、彼女の理想を大阪で叫んでどうするとか、選挙戦術的には色々ごもっともなことがあるが、いずれにしても結果は大変残念だ。あの大阪で、立憲民主党として議席を守っている辻元清美議員はどんな選挙対策をしているのか、それを学ぶべきなのであろうか?

同様に残念だったのが、比例の佐藤かおりさんである。彼女の演説を新宿まで聞きに行って、まさに当事者としての声を国会でも挙げてもらいたかったが、知名度不足は現行の選挙制度では致命的であろう。

その他、山本太郎のれいわ新選組の活躍は、左派ポピュリストなどと言われているが、障害者の地位向上という点では望ましい結果である。それを実現したという一点でも、山本太郎の株は急上昇だ。

その一方で、NHKから国民を守る党(N国党)の議席獲得は、この前の統一地方選挙で多数の地方議員を出していたことの延長なのだが、そこで当選した議員たちが何をしているか、今回参議院に議席を得た人が一体何をするのか、それを見てから次の機会に有権者が審判を下すべきことなのだろう。

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