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アングル:中国の豚コレラは米農家に商機、貿易懸念も吹き飛ぶ


[ウォルコット(米アイオワ州)/ロンドン 23日 ロイター] - 中国でアフリカ豚コレラの感染が拡大し、米国の養豚農家が商機をうかがっている。米中貿易摩擦で中国に豚肉を輸出する際の関税が上昇した影響よりも、追い風の方が勝っている状況だ。

専門家の推計では、中国の豚肉生産は今年、約3分の1相当の1800万トン減少する見通し。これは世界の豚肉輸出の2年分、米国の豚肉消費量の約2年分に匹敵する。

米中貿易摩擦が起こった当初、米養豚農家は世界中で中国以外の輸出先を探し回る羽目になった。しかし中国でのアフリカ豚コレラ感染拡大により、今年後半から来年に向けて中国市場への輸出機会が広がるとみて、今では手ぐすねを引いている。

問題は、米国で広く利用されている豚の成長促進剤ラクトパミンが、中国や欧州連合(EU)では禁止されていることだ。中国での需要拡大に便乗しようとすれば、豚にラクトパミンを与えることはできなくなる。

中国の通関統計によると、近年は中国が輸入する豚肉の3分の2をEU産が占めている。しかし今後拡大が見込まれる需要をEUだけで満たすことは不可能で、ラクトパミンを与えない豚を養育している米農家は、中国への輸出、あるいは中国市場に輸出している他地域で生じる不足分の穴埋めという形で、恩恵にあずかれるかもしれない。

アイオワの養豚農家によると、米食肉大手タイソン・フーズ<TSN.N>はラクトパミンを使っていない豚肉に割増代金を払うことを検討しており、これが、一部農家がラクトパミンを使うのをやめる後押しになるかもしれないという。タイソンはこの点についてコメントを控えた。

<救命ボート>

中国資本の傘下にある競合企業の米スミスフィールド・フーズは既に、同社の所有農家や契約農家ですべての豚をラクトパミンを投与せずに育てている。

業界関係者によると、スミスフィールドは対中輸出を目的に、肉の加工工程を変更しつつある。同社の広報は具体的な変更についてはコメントを控えたが、需要への対応を改善する計画の一環として、工場を刷新したことを明らかにした。

同社のケン・サリバン最高経営責任者(CEO)はアナリスト向け電話会議で「スミスフィールドに限らず、どの米豚肉加工業者も中国への出荷を増やす見通しで、間違いなく2020年まで需要は堅調と予想される」と述べた。

中国の通関データによると、米中貿易摩擦のあおりで、中国の豚肉輸入に占める米国産のシェアは昨年7%と、前年の14%から半減した。中国は昨年、米国産豚肉の輸入関税を12%から62%に引き上げている。

しかし昨年後半から中国でアフリカ豚コレラが広がると、米国産の需要見通しが回復し始め、米食肉輸出連盟のデータによると、米国産豚肉の中国および香港への輸出は5月に前年比33%増えて4万5442トンとなった。ただ1─5月の累計は、なお前年水準を7%下回っている。

米食品企業CITフーズの幹部、デービッド・ウィリアムズ氏は、アフリカ豚コレラの感染拡大で豚肉価格が全般に上がったことで、米養豚農家は既に間接的な恩恵を受けているとし、「救命ボート」が来たようなものだと説明。米中貿易協議が合意に至るとすれば、年末までに米国産豚肉の月間対中輸出は3倍に増える可能性があると話した。

業界の推計では、中国では出産年齢に達した雌豚の半分近くが死亡したとみられる。豚の数を増やすには時間を要するため、来年も中国の豚肉需要は高止まりしそうだ。

(Tom Polansek記者、Nigel Hunt記者)

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