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えっ、「野党5党派で政権交代を目指す」!?

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(3)安全保障はメインではないが不安を解消すべき

 先述の通り、野党共闘はもともと「安保法制廃止・立憲主義の回復」から出発しているので、ついそれをメインに打ち出したくなるが、しかし、「国民が強く望んでいること」との関係ではメインとは思われない。もちろん、政権構想の中にはきちんと入れる必要はある。あくまで「食いつき」問題である。

 ただし、安全保障分野は、野党に対する国民の「不安」の中心点であり、メインに打ち出す話とは別に、その不安を払拭できるようにしっかりと原則を確認しておく必要はある。

 例えば、共産党は安保条約廃棄や自衛隊解消・違憲論は取らないことをすでに明確にしているが、そのことを再確認すべきだろう。

 しかし、それだけでは十分ではない。

 国民が本当に心配しているのは、松竹伸幸らが指摘しているが、自衛隊や安保をきちんと運用できるかどうかなのだ。例えば核兵器禁止条約一つとってみても、核抑止力論への賛否が絡んでくるので、野党内で合意ができなければ、新たにできる野党連合政権はこの条約を批准をしないことになる。そこを国民に説明できねばならない。

 「安保条約廃棄をしない」とは安保条約を「凍結」することだが、「凍結」とは動かさないことではなく、現政権(安倍政権)と同じ運用をするということだ。新政権内で合意できる改善(例えば思いやり予算の削減など)はすればいいが、それすら合意にならない場合は、安倍政権と同じ方針で運用することを正直に国民の前に言っておく必要がある。

 ただ、共産党は前々からそのことは言っている。

安保条約の問題を留保するということは、暫定政権としては、安保条約にかかわる問題は「凍結」する、ということです。つまり安保問題については、(イ)現在成立している条約と法律の範囲内で対応する、(ロ)現状からの改悪はやらない、(ハ)政権として廃棄をめざす措置をとらない、こういう態度をとるということです。

https://www.jcp.or.jp/jcp/yakuin/3yaku/FUWA/fuwa-iv-0825.html

 「現在成立している条約と法律の範囲内で対応する」とは安保条約を使うということである。 

(4)戦略が合意できないなら変えないことも

 安全保障に限らず、合意できないものは変えてはいけないのは当然である。

 しかし、仮に野党内の合意ができても、問題によっては戦略(大きな方向)が合意できない場合には、いたずらに動かすべきではないものもある。

 例えば年金問題はその一つだろう。

 共産党はマクロ経済スライドの廃止を掲げ、財源論として高額所得者優遇の保険料是正などを掲げた。これに対して立憲民主(枝野)は次のように述べている。

「年金制度は、どういう制度に変えていくにしても、幅広い与野党の協議が必要。志位さんのおっしゃっている提案は、まだわれわれは精査できていませんが、一つのアイデアだと思っている」

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-07-06/2019070605_02_1.html

 あくまで検討課題に過ぎない。国民民主も同じだろう。

 つまり、未だこれは合意ではないのである。

 「共通政策」の中にも年金はない。

 だとすれば、年金は動かさない方がよい。年金のようなものは、野党として共通して確認できるビジョンがあるなら切り替えてもいいと思うが、中途半端な部分合意で動かすのは確かにあまりよくないからである。

 動かさないということは、マクロ経済スライドすなわち共産党のいう「減る年金」を野党連合政権になっても続けるということだ。

 金融緩和も同じである。野党内でこれをどうするかについて合意ができなければ、黒田金融緩和の方向は続けるしかあるまい。

 もちろん、共闘は一致点に基づいて行うものだから、一致できないものを無理に一致させることはできない。

 しかし、上記の4点については原則をどうしておくかよく確認しなければ、国民の不安には応えられまい。超具体的に言えば、テレビ討論で安倍にツッコミを入れられるのは間違いない。

*     *     *

 総選挙は政権を選択する選挙になる側面を必ずもつ。

 それは決して遠くない。

 そうだとすれば、政権合意をつくって国民に示し、それに基づいて小選挙区の統一候補を決め、活動を浸透させていくことを考えると、残された時間はあまりない。

 共産党も入れて協議を開始すると決めたのなら、いち早く協議に入るべきだ。もちろん「れいわ新選組」も基本方向に合意できるなら、一緒にやっていった方がいい。

 1回では変わらないかもしれない。だが、まずは政権協議を始めることだ。

*     *     *

 以下は余談。

 今回の参院選挙でぼくが自分の直接関係する選挙区以外で注目していたのは、高知・徳島選挙区の松本けんじであった。

 松本はもともと共産党候補であったが、野党統一候補となって、合意によって無所属となった候補である。それが今回40%得票したのに正直驚いた。

 「共産党出身」でも、統一候補としてここまでやれるんだという意味で、なのだが、それだけではない。

 演説は(音楽の)ライブに似たところがあり、いい演説には、人が立ち止まったり振り向いたりする。中身だけでなく、声質とか口調とか見た目とか、そういう総合的なもので決まる。

 ぼくはネットで見ただけだったが、演説がぼく好みなのだ。こういう感じで訴えたいものである。

  中身についても、ま安倍政権の「働き方改革」について、それ自体は反動的な性格を持っているのに、同時にそれが世の中の進歩の表現だと把握する見方(12分14秒あたり)に深く同意する。

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