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正しい証券会社の営業とは

金融機関が顧客ニーズを把握するとは何なのか。その結果、どのような営業をすべきなのか。これについては過去の営業を振り返ることが参考になる。

顧客ニーズの方向は明らかである。「儲けたい」である。ただし、「儲けたい」といっても、その意味が個人ごとに異なる。証券とくに株式の場合、価格が変動し、損することもあるから厄介である。このため、個人顧客の「儲けたい」の意味を正しく理解したうえで、投資の方法、正しくは顧客の金融資産ポートフォリオをアドバイスしなければならない。

この点で、過去の金融機関は簡単だった。

過去の銀行にとって、定期預金が年間4%以上の利子を生む時代があった。郵便局に定額預金をすれば、10年後に倍になって返ってくる、つまり年率7パーセント以上の利子が付くこともあった。

証券会社にとっても、過去の日本の株式市場が、つまり株価全体が上昇基調だったから、「多分すぐに上がりまっせ、買いまひょ」と適当に企業名を挙げれば、数日後にはほぼ確実に利益が出た。そこで売らせればよかった。どの企業の業績がとか、ましてやアメリカはとか、そんなことは関係なかった。

そうはいっても、営業員がバラバラに企業を推奨するのはまずいし、商売として効率が悪いから、適当に(そこまで適当ではないが)顧客にとっても理解しやすいテーマを仕立て、その関連企業の株式を推奨したのである。

これらの銀行や証券会社の営業スタイルは今も大きく変化していない。銀行預金、利子はかぎりなくゼロだが、元本割れがない。証券会社は、今でも(よく知らないし、興味もないが)AIだ、ロボットだ、医療だとテーマを選定し、その「時流に乗った企業でっせ」と営業をかける。業界がほぼ一斉にそうするものだから、結果として高値を追いかけることになる。言い換えれば、高値掴みに陥りやすい。

株式に関して言えば、これは農林中金バリューインベストメンツの奥野氏の持論だが、投機と投資の区別が重要である。

株式市場が明らかな上昇相場なら、でたらめに今日買って明日売っても、かなりの確率で儲かるかもしれない。今の相場は、残念ながら短期的な方向感に乏しい。とすれば、今日買い明日売るという投機には、儲かるチャンスがなくなっている。

そうであるのなら、株式を長期に保有して(長期に投資して)株価の上がりそうな企業を選ばなければならない。そんな企業とは、業績が着実に伸びる企業である。その上で、人気の沸騰していないことも次の条件になるだろう。

まとめておく。証券会社の営業には、片方で、企業や市場の分析が欠かせない。もう片方で、顧客の年齢や財力を把握し、適切なポートフォリオをイメージできる能力が求められる。この2つを組み合わせ、顧客と話し合いながら、具体的な投資を推奨できることが正しいスタンスだろう。もちろん、個々の企業の株式だけではなく、投資信託、債券などの組み合わせが必要になるだろうから、この点で、当然なことだが、営業員が所属する証券会社本体としての能力(金融商品の選定、提供能力)とスタンスが問われている。

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