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絶賛炎上中の吉本・岡本社長が語った「愛」「ファミリー」の何が怖いか

 先週末から夢中になってしまっている吉本の件である。ここ数日、1日でさまざまな“補助線”が引かれ、目まぐるしく展開している。

 「松本 動きます」のツイートで一躍騒動の中心に躍り出たダウンタウン松本人志が、吉本を批判しつつ、岡本社長の会見を提案。一見、吉本批判のように見えるが、その実「大崎さんが辞めたら僕は辞める」と強い慰留の意思を示しており、現体制を維持しつつ、事態の沈静化をはかっているようにも見える。
 一方、その翌日の『スッキリ』で、極楽とんぼ加藤浩次がその松本に今度は噛みつき、会長・社長の辞任がないなら自分が辞めると啖呵を切った。

 宮迫と亮の会見で提示された「芸人vsよしもと」という構図のほかに、わずか2日足らずで「よしもとの現体制存続派vs再編派」の図式の可能性まで出てきた。これほどまでに登場人物が豪華で、展開がスリリングな騒動もなかなかないのではないか。
 
 『ワイドナショー』には始まる前から嫌な予感はした。そして、その予感は少なからず当たった。松ちゃんの発言がいちいち情緒的で、ナイーブなのである。番組で語ったように、不安がる後輩芸人を思って動いていることは嘘でないのだろう。

 しかし、会社の現2トップはそれぞれ自身の歴代マネージャーであり、大崎会長に関しては番組で自身の“兄貴”とさえ言ってのけた。この2人を心のそこから叩けないのには、一企業の会長、社長という立場以上の情を抱いているのは明らかだ。
 
 松ちゃんは年々確実に情に厚くなっている。それが家族ができたことでの変化なのか、単純な老いなのかは定かではないが。ダウンタウンフリークの僕が言うのだから間違いない。かつて40歳ですぱっと辞めると公言していたのに、相方に気遣い、60歳近くなった今では引退のいの字も出さなくなった。また、単純に後輩との絡み方もかなり丸くなった。
 
 それに対して、名指しで批判し、会長と社長に辞任を求めた加藤。トップとしてありえない言動をとったのだから潔く辞めるべきだ、という。分かりやすいし、真っ当だ。

 そして迎えたのが、昨日14時から始まった騒動の中心人物、岡本社長の会見である。

 これがまあ酷かった。「酷いことにはなるだろうな」と予期してはいたが、その予想のさらに下を通過していった。イエスかノーで答えられる質問にだらだらだらだらと蛇行しては遅延。しどろもどろで何が言いたいのかわからない。国民的な注目が集まることが分かりきっていた中で、まさかの丸腰か!? という内容だった。

 記者側の手際が良かったわけでは必ずしもないが、ほぼワンサイドゲーム。ボコボコの5時間半だった。途中で変なタイミングで「泣き」を入れて、もしかしたら聴衆が情にほだされるのを期待したのかもしれないが、ただなぜそこでというタイミングだったために不自然なだけだった。

 ところで、この会見で記者から「社長としてふさわしいか?」と聞かれた際、岡本社長は以下のように回答していた。 

一個だけ思っているのは、笑いを愛して、笑いを作られる方、表現される方を愛しているというところにおいては人一倍思っている。

 組織のトップの立場にありながらパワハラをしでかした今、それでもあなたに約6000人の芸人を束ねる大企業を取り仕切る資格はあるのか、と聞かれて、この社長はその「愛」を語ったのである。

 あまり語られていないが、ぼくはこれが地味にやばい箇所だと思っている。

 こうした追い詰められた場面で語られる「愛」には注意が必要だ。

 愛は恐ろしい。

 なぜなら愛は「絶対的」と思われがちだからだ。愛だから素晴らしい。愛なのだから許される。オール・ニード・イズ・ラブ! 愛こそすべて! 

 愛の絶対性の名の下で行われた行動は、歯止めが効かなくなって暴走していく。

 その一例がこれである。

 「愛しているのになぜ殴るのか」というのが至極当然な疑問のはずだが、愛の名のもとでは「愛しているから殴るのだ」に容易に反転し、それが違和感なく受け入れられてしまう怖さ。
 
 愛と並列して、会見中に何度か飛び出した「ファミリー」も怖い。

 企業を「家族」と評する言葉遣いも恐ろしい。愛と同様に「家族だから」がまかり通ってしまうからだ。

 「家族」では「お父さん」が根拠なく一番えらい。「お父さん」が言えばなんでもまかり通ってしまうし、「お父さん」が間違っても「お父さん」だから許されてしまう。そこに理はない。

 どんなに脅し文句、恫喝の言葉を使っても、あとから「あれは冗談だった」と言いくるめられるのも「家族」の特徴だ。だって、本当は愛してるんだもの!

 最後に、加藤が出演する今日の「スッキリ」までもう数時間だが、次なる事態の展開への個人的な期待を述べておこう。

 今の所、社長と会長が辞める気配はないのだが、加藤が潔く辞めてしまっても面白くない。

 いっそ、社長と会長が辞めて松ちゃんも辞めてみてほしい。理由は誠に軽薄で申し訳ないが、そろそろ「吉本でなくなった松ちゃん」も見てみたい。このまま、ダラダラ大御所として居座っていても仕方ないだろう。

 ちなみに、歌のうまさでも定評のある宮迫の十八番は、欧陽菲菲の「ラヴ・イズ・オーヴァー」である。3人が吉本を離れる際は是非熱唱してあげてほしい。

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