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2019年参議院通常選挙における低い投票率と選挙制度改革の必要性

(1)参議院議員を選出する参議院通常選挙(2019年7月21日)が終わった。
投票・選挙の結果には幾つかあるが、その一つに投票率がある。
それについて報道した記事を紹介しよう。

確定投票率48.80% 24年ぶりに50%割れ
参院選2019 政治
日経新聞2019/7/22 10:12

総務省は22日午前、参院選の選挙区の投票率が48.80%で確定したと発表した。50%を割り込むのは過去最低だった1995年の44.52%以来で、24年ぶり2回目だ。2016年の前回参院選の54.70%から5.90ポイント低下した。比例代表も5.90ポイント低い48.79%だった。有権者の関心を得る争点がつくれなかったことなどが理由とみられる。
鳥取・島根と徳島・高知の4県では、16年から隣接する県と選挙区を統合する合区を導入した。4県のうち高知を除く3県で投票率が過去最低になった。徳島は前回に比べ8.39ポイント低下の38.59%で、全国最低だった。
九州では悪天候が影響したとみられ、佐賀県と長崎県、鹿児島県、福岡県で10ポイント以上低下した。佐賀を除く6県で過去最低となった。
今年は12年に1度、春の統一地方選と参院選が重なる「亥(い)年選挙」だった。地方議員や有権者の選挙疲れから投票率が低くなりやすいとされる。参院選の投票率が過去最低だった95年も亥年だった。
与野党が競り合った接戦の選挙区は比較的高かった。山形県は1.48ポイント減ったものの、全国で唯一60%台を維持した。
全国の男性の投票率は49.42%、女性は48.22%で、ともに16年を下回った。期日前投票者数は1706万人と過去最高を更新し、全有権者の16%が利用した。

(2)上記紹介報道によると、総務省が22日午前に発表した、参議院通常選挙における選挙区選挙の確定投票率は48・80%で、比例代表選挙の各低投票率は48・79%だった。

50%を切る得票率の低さだったことがわかる。

普通選挙なのか、この低さは異常である。
制限選挙と全く同じだとは言わないが、それに近いものであり、普通選挙とは矛盾する異常な投票率の低さである。

(3)この低さの原因としては、上記紹介記事も書いているように、悪天候や「亥年選挙」があげられるが、それ以外にも幾つかの原因が考えられる。
そのなかで、私が従来注目し指摘し続けてきたことは選挙制度の問題である(上脇博之『なぜ4割の得票で8割の議席なのか』日本機関紙出版センター・2013年、同『安倍改憲と「政治改革」』日本機関紙出版センター・2013年、同『ここまできた小選挙区制の弊害』あけび書房・2018年)。

(4)参議院議員の選挙制度は、戦後、地方区選挙と全国区選挙で始まり、1980年代に入って以降、選挙区選挙と比例代表選挙に「改革」されたが、「地方区選挙」は「選挙区選挙」と呼び名が変わっただけなので、投票率の変動問題を考えるときには、衆議院の選挙制度に注目する方がわかりやすい。

衆議院の選挙制度は、戦後、中選挙区制だったが、1994年「政治改革」により、比例代表選挙を付加した、小選挙区制いわゆる小選挙区比例代表並立制に変更された。
なお、この表現を参考にすれば、参議院の現在の選挙制度は、選挙区比例代表並立制となる。

(5)衆議院総選挙における投票率は、中選挙区制時代と現在の小選挙区比例代表並立制とで異なる。
前者の時代に比べて、現在は投票率が10ポイント低い。

中選挙区と小選挙区の過去8回投票率比較
  中選挙区選挙 投票率          小選挙区選挙 投票率
第33回 1972年12月10日 71.76%   第41回 1996年10月20日 59.65%
第34回 1976年12月5日 73.45%   第42回 2000年6月25日 62.49%
第35回 1979年10月9日 68.01%   第43回 2003年11月9日 59.86%
第36回 1980年6月22日 74.57%   第44回 2005年9月11日 67.51%
第37回 1983年12月18日 67.94%   第45回 2009年8月30日 69.28%
第38回 1986年7月6日   71.40%   第46回 2012年12月16日 59.32%
第39回 1990年2月18日 73.31%   第47回 2014年12月14日 52.66%
第40回 1993年7月18日 67.26%   第48回 2017年10月22日 53.68%
       平均   70.96%           平均   60.55%

現在、中選挙区制時代よりも投票率が低いのには、幾つか理由があると考えられるが、私が注目してきたのは、小選挙区選挙そのものである。
日本における民意は多様であるにもかかわらず、一つの選挙区で当選者を一人しか出せない選挙制度は投票率を上げる要因にはならず、それどころか、下げる要因になってきた。
自らの投票が死票になるようであれば、投票しない有権者が増えるのは、ある意味では自然のことだからだ。

(6)このことは、参議院の選挙制度にも基本的には妥当し、事実上の1人区の多い選挙区選挙が低い投票率の原因になっている。

もっとも、2005年や2009年の総選挙のようにマスコミの報道で「政治が大きく変わりそうだ」と有権者が感じれば、衆議院小選挙区選挙でも参議院選挙区選挙でも投票率は上がる。
しかし、それでも、中選挙区制時代の時と同じ程度であり、普通選挙における投票率としては、とても高い投票率とは表現できないし、それ以外のときの投票率があまりにも低すぎる。

(7)普通選挙に相応しいように投票率を上げるためには、幾つか改善しなければならないことがあるが、その重要な一つとしては、有権者の投票のほとんどが生きるように、選挙制度を議会制民主主義に相応しい、無所属も立候補できる完全比例代表制へと改革することだ。
私見では、この点は、衆議院でも参議院でも同じである。

その場合、議員定数を事前に定める方法だけではなく、投票者数に比例して議員数も決まる方法も考えられる。

いずれによせ、現行の政権・与党のための選挙制度から主権者国民・有権者のための選挙制度へと改革すべきである。

もちろん、選挙制度以外の要因もあるので、その点の改善も必要である(後日、時間があるときに投稿する)が、まずは、選挙制度改革が不可欠だ。

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