記事
- 2019年07月22日 11:56
そして街はスマートシティになる。ソフトバンクが「SoftBank World 2019」で示した構想の実現性と未来の日本の都市について考える【コラム】
1/2
ソフトバンクのスマートシティ構想について考えてみた!
一般消費者にはあまり関係のないイベントながらも、同社の最新技術や同社が目指そうとしている未来への戦略などを垣間見ることができるため、筆者は毎年取材を行っています。
昨年は主に、5GやIoTに関する細かな技術展示と実証実験についての紹介が多く見られましたが、今年はより具体的で地に足の着いた「スマートシティ構想」に関する展示に注力している様子が見られました。
ソフトバンクが考えるスマートシティとはどういったものなのでしょうか。感性の原点からテクノロジーの特異点を俯瞰する「Arcaic Singularity」。今回はスマートシティの概念や技術的知見から、ソフトバンクが目指す都市社会のあり方について考えます。

スマートシティは私たちにどんな恩恵を与えてくれるのか
■人々の暮らしをビッグデータで支えるスマートシティ構想
そもそも、スマートシティとは一体何でしょうか。現在の私たちが暮らし働く都市は、それぞれの企業や住宅が独立して存在する「寄せ集めの巨大な街」といった状態です。そこに法規制や自治体による整備が存在するために都市としての機能は維持されていますが、基本的には都市機能や企業活動がそれぞれに連携し、人々の生活と密接に連動する、といったことはあまりありません。スマートシティでは、AIやIoT、そしてそれらを繋ぐ通信インフラを駆使することで、これらの生活圏や経済圏の密接な連携や連動を可能にします。例えば、交通渋滞等が発生した場合に手元のスマートフォン(スマホ)へ通知するだけではなく、代用の交通経路を案内したり、その交通機関の手配や予約もそのままスマホだけで可能にしてしまおう、といったものです。
これは、前回のコラムでご紹介した「MaaS」とも関連した考え方であり、今回のSoftBank World 2019でもMaaS事業を運営するMONET Technologies(モネ・テクノロジーズ)の法人向けMaaSサービス「MONET Biz」が展示・紹介されていました。

MaaSという考え方や事業形態はそれ単体でも機能するが、スマートシティ構想の部品として考えた場合に最大の効果を発揮する
前回のコラムで、現在の東京や京都といった大都市における超過密状態が慢性的な交通渋滞や人口密集による様々な問題を引き起こしている件についてお話しましたが、こういった超過密な都市で人々の動線を如何にスムーズ化するかというのは、もはや喫緊の緊急課題となっています。
それだけに自治体はMaaSなどの手法に活路を見出そうとしているのですが、スマートシティでは街中に置かれた防犯カメラや人感センサー、店舗の入店状況、企業ビルの収容状況などを、個人を特定することなくビッグデータとして集計し、AIを用いた予測分析などにより、人々が密集する前に空いている店舗を案内したり、代替サービスを提供することで、快適で効率的な都市利用を可能にするのです。
ソフトバンクが展示していた例では、同社のWi-Fiスポットを活用した人流データの活用や、企業内における移動案内などを効率化するスマートビルの活用例などがありました。

Wi-Fiスポットに接続しているユーザーの数からリアルタイムに周辺エリアの混雑状況をユーザーへ伝える

スマートシティではリアルタイム情報だけではなく、過去の累積データから男女比や年齢層などをAIが分析し、混雑する時間や場所を予測することも可能だ
人流データを分析することで、曜日や時間、天候によって、どのような人々がどこを利用するのかを把握すれば、小売店舗などは集まる人々に合わせた商品展開が可能になります。また混雑時間への集中的な人員配置などを行うことで、人件費の削減などにも貢献できる可能性があります。
これまでにも、こういった人流データや商品販売におけるPOSデータの活用は企業単位で行われてきたことです。しかしソフトバンクはこれを多数の企業で連携・連動させ、大きな「街」の単位で行おうとしているのです。

商店街やショッピングモール内の各店舗が人流やイベントに合わせて連携を取るように、街全体が人々の流れに合わせて連動するのがスマートシティだ



