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"AI失業は他人事"と言い張る40代の末路

3つの能力を磨きAI時代に活躍の場を広げる

AI(人工知能)の普及が進めば、仕事の半分はAIで代替可能となり、大量の失業者が発生する――。そんな予測が世間を騒がせている。


田坂広志氏

「それは、社会学者や経済学者などが指摘している通りで、確かに彼らはAI時代の分析や未来予測に長けています。しかし、仕事の現場での経験がないため、『では、どうすればいいのか』という、ビジネスパーソンの一番の関心事に答えることができません」

田坂広志氏は東京大学大学院修了後、民間企業に勤め、営業や企画、人事や生産の現場でさまざまな苦労を味わう。「その経験を踏まえ、AI時代に求められる能力を明らかにしたいとの思いから筆を執りました」と田坂氏は話す。

気になる能力だが、AI時代に活躍する人材になるには『職業的能力(クリエーティビティー=創造力など)』『対人的能力(ホスピタリティー=接客力など)』『組織的能力(マネジメント=管理力など)』の3つが重要なのだという。

「何も難しく考える必要はありません。たとえば不動産会社なら営業担当の人が、お客さまの声に親身に耳を傾け、その接客を通してリフォームの潜在ニーズを引き出し、魅力的な提案を行って成果につなげていく。これはAIでは決して代替できない接客力であり、創造力なのです」

マネジメントの中で、人事、資材、予算などの管理業務はAIに置き換わっていくが、人間にしか担えない重要な仕事があると田坂氏はいう。

「人間にしか担えない重要な仕事」とは

「人間同士なら言葉を超えた目つきや表情、雰囲気から相手の心理を読み取ることができ、仕事で壁に突き当たって悩んでいる部下の存在に気づくことができます。そして『俺も最初は苦しかったんだ』と共感し、励ましながら、部下の成長を支えていくことができます。そうした“心のマネジメント”はAIには決して真似ができないため、ますます重要になっていきます」


田坂広志『能力を磨く』(日本実業出版社)

さまざまなメディアを通して“AI失業”の警告が発せられ、それに不安を抱く若者をよく見かける。一方で「自分は管理職になったし、もう安泰だろう」という根拠のない理由で、自己研鑽に背を向ける40代以上のビジネスパーソンも少なくない。

「実は、AI失業の危機は、自らを省みるいい機会なのです。3つの能力のうち自分には何が足りないのかを明確にし、意識的に身に付けていく。それができるかどうかで、AI時代に活躍できるか否かが決まっていくでしょう」

続けて田坂氏は「危機という字は『危険』と『機会』の2つの意味を含む言葉なのです」と指摘する。あなたは、どちらを選ぶのだろう。

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田坂広志
米国シンクタンク、日本総合研究所などを経て、2000年多摩大学大学院教授に。現在、名誉教授。ダボス会議専門委メンバーも務める。

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(フリーランスライター 篠原 克周 撮影=加々美義人)

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