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韓国メディアからの質問と答え

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韓国の Kyunghyang newspaper というところからメールで安倍政権の対韓制裁についていくつか質問が来た。英語でのやりとりだったのだけれど、日本語訳をここに掲げておく。

質問そのものがたいへん徴候的だった。

それは「日本の改憲運動は『アメリカから押し付けられた憲法』を廃絶する目的のものだから、それを推進している安倍は反米のはずである」という不思議な推論である。たしかに海外から見たら「アメリカ的民主主義を否定する親米政権」というのは理解に難いものだろう。だから、今回の対韓制裁も、アメリカが仲裁に入って、韓国側についた場合に、「日本国内に反米感情が高まり、それを推力に改憲を進めようとしているのではないか」・・・というような不思議な考えを示してくれた。日本では絶対にありえない発想だけれど、それはむしろ「われわれにとっての常識」が「日本の外から見たら理解不能」だということを意味している。

安倍政権のねじれた政治性について韓国の読者に説明できる好機なので、先方が予測しているよりはるかに長い返事を書いてしまった。

韓国の記者の質問と私の答えの「ずれ」を味わって欲しい。

質問1
参議院議員では、韓国への報復以前には自民党の勝利が予測されていました。安倍政権はこの争いから何を得ようとしているのでしょうか?

参議院選の結果がどうなるかはまだ不明です。大手メディアは与党勝利を予告していますが、これは無党派層の有権者の間に「与党勝利が確定しているなら、投票に行っても無駄だ」という気分を醸成するために、かなり作為的に行われているものだと思います。

というのも、低投票率が与党に有利に働くことは、これまでの経験から明らかだからです。

それでも、投票結果はまだ未確定です。与党が大きく議席を減らす可能性があります。その場合には、危機感を抱いた自民党議員たちの中から「安倍おろし」が始まるかも知れません。

質問2.選挙後も安倍の対韓報復は続くと思いますか?

長く続くとは思いません。安倍が対韓強硬姿勢をとっているのは彼のコアな支持層への「選挙用アピール」としてです。安倍のコアな支持層はその語の厳密な意味での「右翼」ではなく、新自由主義的なレイシストたちですが、安倍が今回の対韓強硬姿勢から得られるものは、最大で「選挙においてこのコアな支持層を固めること」です。この政策によって無党派層から新たな支持者を獲得する見込みはありません。韓国との摩擦が国益の増大ももたらすこともありません。ですから、選挙が終わった時点で、なんらかのそれらしい口実を設けて、対韓制裁を緩和してくると思います。

質問3. 安倍政権の韓国との争いは日本国内では報道されていないというのはほんとうですか?

いいえ。メディアは報道しています。ただ、政策の適否についての深みのあるコメントはなされていません。ですから、一般国民の多くは問題の本質を理解していないし、かなりの国民は制裁の事実そのものについても十分な情報を持っていないと思います。

質問4. 安倍の対韓報復措置は日本経済にもダメージを与えます。これは日本のエリートたちの「自己破壊願望」と解してよいのでしょうか? 安倍を含む日本のエリートたちは何を破壊しようとしているのでしょう? 対米従属システムをですか?

隣国への対立的なポーズは支持率が低下している為政者が最後に切るカードです。ご指摘の通り、日本経済は韓国との貿易が制約されることからダメージを受けますので、財界は経済制裁には内心では反対しています。しかし、安倍政権は財界に対してこの日韓貿易の不調によって失う以上の利益をこれまでもたらし続けてきましたし、これからももたらし続けるはずです。ですから、財界は対韓貿易における短期的な損害を受け入れても、安倍政権の継続を願っています。おそらく官邸からは「これは選挙用のポーズなので、長くは続けない」という黙約が提示されているのだと思います。

質問5. 安倍政権は日韓関係の対立では、アメリカが韓国側に立つことを予期してこのようなことをしているのでしょうか? アメリカによって起草された憲法を改定しようとする人々の間にある反米感情をかき立てようとしているのでしょうか?

アメリカが日韓のトラブルで韓国側に立つことを安倍政権が「予期している」ということはないと思います。

慰安婦問題への仲裁から知れる通り、アメリカはその伝統的な「分断支配」戦略に基づいて、日韓関係をコントロールしています。それは日韓が外交的緊張に至らない程度には友好的で、親密な同盟関係を形成しない程度に敵対的であることです。アメリカが日韓どちらかに継続的に味方するということはありません。

わが国における改憲運動を駆動するセンチメントはなかなか説明が難しいものです。

たしかに安倍自身はアメリカが与えた平和憲法に対する反発を口にしています。自主憲法制定というのは自民党の立党以来の党是です。彼も形式的にはそれを引き継いでいます。

改憲運動の目的はその当初においてはアメリカに占領され、従属している状態からの離脱をめざすものでした。しかし、安倍政権下で、改憲運動の目的は完全に変質しました。

安倍にとっての改憲の目的は「日本を再び偉大な国」にすること、つまり日本を再度軍国化し、「戦争ができる国」にすることです。それは現実的には「アメリカの二軍としてアメリカの戦争に参加して、アメリカに奉仕する」ことに他なりません。「アメリカからの自立」を口実にして、「アメリカへの従属を完成する」というのが安倍における改憲の目的です。

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