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政治も経営も外交は「ウィンウィン」が理想の形

 今回は、米中貿易戦争と世界経済について取り上げたい。

 経営者目線で見ると、米国と中国の2大経済国は好対照をなしている。米国経済は、移民政策に支えられ「強い経済」がある。ミクロレベルでも外食の利用が多く、飲食店の売り上げ、マーケットの伸びも圧倒的だ。

 一方、中国経済は「大きく痛んでいる」と感じる。沿岸部と内陸部、共産党員と非共産党員の間で、貧富の差が深刻だ。香港の大規模デモも話題に上るが、経済が落ち込むと政治不安に直結する。格差で庶民の不満を爆発させないよう、経済の好転が課題だ。

 昨年から、米中は互いの輸入品に関税を掛け合う「経済戦争」を続けているが、中国経済は痛んでおり、アメリカは今が攻め時と見ていると感じる。6月末に大阪市で行われた20カ国地域(G20)首脳会合で、米中は交渉再開を合意したが、両国とも、自国が少しでも有利に決着するために、引き続き、駆け引きを続けていくであろう。

 私は経営者として、アメリカや中国をはじめ、数々の海外企業とタフな交渉を経験してきた。海外と交渉に臨む時の基本姿勢は、ケーキを半分に切った時、ちょっと多いと感じる方をまずは相手に差し出す気持ちである。こちらの要求を100%通したいのは山々だが、向こうの言い分も聞いて「49対51」でも、しっかり「49」をとり、それを積みかねて、広げていくことが大事である。

 アメリカンファーストをはじめとする、「自国ファースト」「保護貿易主義」は、俯瞰して見た世界経済の持続性から考えれば、間違っている。「相手を立てたうえで、こちらも立てる」、ウィンウィン(win-win)が、本来の理想の形である。

 少子高齢化で日本の内需は縮むばかりだ。一方、アジアの中間層の発展は目覚ましく、日本企業が進出するのは定石だ。経産省などの統計で、アジア新興国の中間層人口の推移をみると、2000年に2・4億人だったが、10年には6倍以上の14・6億人になった。来年には23・1億人となり、20年で10倍以上の拡大が見込まれる。

 しかし、中小企業の経営者から海外進出を相談された場合、圧倒的な商品価値や、適切な価格戦略、そしてマーケット変化の対応速度など、ワタミの海外進出の実体験から、相当の心構えをアドバイスしている。足元、中国経済の不振もあり、ワタミの中国事業も成長が鈍化している。早速この夏には、各国に出向き、アジア経済の最前線に私も立ちたいと思う。

 私が政治家だった時、時同じくして、アメリカの大統領が経営者であった。しかし、タイプはまったく違うと思う。私は自国(自社)ファーストではなく、ウィンウィンを実践し続けたい。持続可能なモデルを考えるのが本来の経営目線である。同じ経営者として、トランプ大統領は、もちろん、世界経済が成長するのはウィンウィンの形しかないということは、十分わかっていると思う。しかし、大統領選挙という政治家の顔が、今はある。

 政治家は、次の選挙がすべてである。そう考えると私は、政治家という「職業」にはなじみきれなかった。むしろそのことは、誇りに思いたい。

【夕刊フジ】「渡邉美樹経営者目線」(毎週火曜日連載)より

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