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「007に黒人女優」をめぐるいくつかの“誤解”

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 来年公開予定の『007』シリーズ最新作『Bond 25(仮題)』で、コードネーム・007のエージェントをイギリス出身の黒人女優ラシャーナ・リンチが演じる、と報じられて物議を醸している。まだ正式なリリースではなく噂レベルでしかないが、日本ではそれでも衝撃が走っている。

 ここでも、例のごとく「女が007をするな!」「またポリコレか」と喚き散らす人々が後をたたないのだが、その点でいくつかの誤解があるように思える。

 ここでは3つに絞ってその誤解を解いておきたい。ただ、1と2についてはこちらも正直、書いているだけで恥ずかしくなってくるぐらい初歩的なレベルが低い誤解であり、ほとんどの人は読み飛ばしてもらっていただきたい。

【誤解その1】ジェームズ・ボンドを女性が演じるわけではない

 まず、基本的な情報だが、ジェームズ・ボンドを女優が演じるわけではない。「007」はあくまでもコードネームである。
 本作では、すでに007を引退して隠遁生活を送っていたボンド(クレイグ)を、新しい007を演じるランチが呼び戻しに行く、というストーリーとのことだ。

 「初の黒人女優」というのは、キャラクターではなく役職のこと。ちなみに、ぼくが思うに、「007は白人男性」なのが決まっているのは、スパイとして致命的だと思うのだが。すぐ敵にバレちゃう。

【誤解その2】あくまで主人公はボンド=ダニエル・クレイグ

わしは女性の地位向上に賛成するし、「スターウォーズ」の主人公が女性になっても違和感を持たなかったし、王子さまを必要としない「アナと雪の女王」も大好きなのだが、それをポリコレとは感じなかった。
作品世界を壊すものではない。

だが「007」の主人公を黒人女性にする必要があるとは全然思えない。それこそ作品世界の破壊である。

https://blogos.com/article/391751/

 今回の件では、一人称が「わし」なことで有名な漫画家・小林よしのり氏がいち早く吠えているのだが、これは根本的な勘違い。

 先述したように、「ジェームズ・ボンドが007を引退した」だけであって、「ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンドを降板した」わけではない。そして、主役がクレイグ=ボンドであることもすでに発表されている。(あくまでまだ噂レベルではあるが)今回の007を初めて女性が担当するとの情報は、いわばクレイグ版ボンドの物語上の設定にすぎないのだ。

 それを取り上げて喚き立てるのは、少々気が短すぎるのではないか。

  むしろ、「007を降りるボンド」はなんとも胸アツ設定ではないか。ディズニー/ピクサーでここ数年『カーズ/クロスロード』や、公開中の『トイ・ストーリー4』で描いている「ピークを過ぎた斜陽ヒーローの身の振り方」を描くトレンドに接近しているのではないか、とさえ思えてくる。

 「自分の限界を認め、007という肩の荷を下ろした哀愁ただようボンド」がスクリーンで見れた日には、わしは感動でもう涙ちょちょぎれそうじゃよ。

【誤解その3】クレイグ版ボンドはそもそも“異端”

 そして、ほとんどここからが本題なのだが、クレイグ版ボンドは、これまでのシリーズと比べると“異端”だということだ。

 たとえば、セックスシンボルとしてのジェームズ・ボンド。ボンドといえば、プレイボーイのイメージで、今回の「007=女優」の噂にも、男らしく、女にモテモテのヤリチンというイメージから著しくかけ離れているからこそ、「またポリコレか」と嘆く声が出ているのだろう。どうでもいいが、ツイッターで今回の騒動に「伝統芸能を守れ」みたいな言葉を目にして、胸焼けがした。

 閑話休題。これまでのプレイボーイなボンドを守れ、という批判。ぼくはここに違和感があった。
 はて? クレイグ版ボンドでは、そもそもそんなに女を抱くシーンが描かれていたっけ?

 ということで、調べてみると以下のような面白い記事が出てきた。孫引きで申し訳ないが、「歴代ボンドの抱いた女の数を数える」というクソほどしょうもなく、かつクソほど面白いことが期待できる記事だ。数えた結果、以下のことがわかったそうだ。 

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