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和の代償 - 書評 - 日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか

オフィスブラインドスポット石井様より献本御礼。

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日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか
竹田恒泰

本書のタイトルを見て、おそらく過半の人は「それ以前に日本って世界でいちばん人気あったっけ?」と思われたのではないだろうか。そのありようこそが、日本が世界でいちばん人気がある理由である。であるがゆえに、日本の魅力と日本の急所は表裏一体であり分ち難い。

なぜか、著者自身はそのことに気がついていないようなのだが。

本書「日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか」は、日本、そして日本人の魅力を新書一冊にまとめたもの。類書は多いが、類書の中では頭一つ抜けた要約だと思う。
ソデより
マンガ・アニメが席巻し、世界はいま空前の日本ブーム。しかし理由はそれだけではない。食文化、モノづくり、日本語、和の心、エコ―あらゆる日本文化に好意が寄せられている。それなのに自分の国を愛せなくなったのはあまりにも悲しい。なぜ『ミシュランガイド』は東京に最多の星を付けたのか?どうして「もったいない」が環境保全の合言葉に選ばれたのか?
目次
序章 世界でいちばん人気がある国「日本」
第1章 頂きます(いただきます)
『ミシュランガイド』が東京を絶賛する理由
第2章 匠(たくみ)
世界が愛する日本のモノづくり
第3章 勿体無い(もったいない)
日本語には原始日本から継承されてきた“和の心”が宿る
第4章 和み(なごみ)
実はすごい日本の一流外交
第5章 八百万(やおよろず)
大自然と調和する日本人
第6章 天皇(すめらぎ)
なぜ京都御所にはお堀がないのか
終章 ジャパン・ルネッサンス
日本文明復興
巻末対談 日本は生活そのものが「芸術」だ
天皇から派生する枝葉のなかに我が国の文化はすべてある!(北野武×竹田恒泰)

本書、というより著者の残念なところは、本書が要約で終わってしまっているところ。それは「それなのに自分の国を愛せなくなったのはあまりにも悲しい」というソデの一言にも現れている。

なぜ日本は世界でいちばん人気があるのか。いちばんであることを誇示しないからではないのか?日本的であることを一文字で表せば「和」ということになるだろう。もう少し長く言えば、「一途で多様」「絶対矛盾的自己同一」ということである。具体的にそれが何なのかは本書および「日本という方法」で確認していただくとして、著者が見落として松岡正剛がきちんと指摘しているのは、日本の良さというのは日本の弱さに由来していることである。

実のところ日本における「和」というのは、その前段階として「同」を経ている。松岡正剛流に言うと、それは「おもかげを 残したままで うつろい行く」ということである。「うつろい」という「同」を経ずして「おもかげ」という「和」に至った例を、私は思いつくことが出来ない。Animationがアニメになる過程から、拉麺がラーメンになる過程に至るまで。
P. 206
かつてアーノルド・トインビーは「十二、三歳くらいまでに民族の神話を学ばなかった民族は、例外なく滅んでいる」と書いた。民族を滅亡させるには軍隊はいらない。ただ神話を教えなければ、それだけで必ず滅ぶのだ。日本は戦後まさにその道を歩んできた。
学ぶに値する神話に共通しているのは、「弱点こそ魅力」ということではないのだろうか。その意味において、自らの物語を守りつつそれを他に押し付けない現代の日本というのは神話が体現された世界ではないか。

「だからこのままでいい」というつもりは毛頭ない。「このまま」行ったら人口減で自然消滅するのは確かなのだから。日本という方法が世界から失われてしまうのは世界にとってあまりにもったいないことだ。しかし日本という国がたとえなくなっても、日本という方法が世界に行き渡るのであれば、それはそれでめでたき事だと私は考えている。日本だけで留めておくには、それはあまりによい方法なのだから。

Dan the Part of Her

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