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"夏はカレー"を定番にしたロイホの37年

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夏といえば、カレーだ。食品メーカーや外食各社は「夏カレー商戦」に火花を散らす。しかし、そもそもなぜ「夏はカレー」なのか。暑い夏に辛いものを食べるという発想はどこから来たのか。調べてみると、ロイヤルホストが深く関わっていることがわかった――。

「37年目 夏のカレー&スパイスグリル」フェアメニュー(画像=ロイヤルホストHPより)

■1983年から続く「カレーフェア」

7月3日、東京都世田谷区の「ロイヤルホスト馬事公苑店」を訪れてみた。この日から、国内に217店ある各店で「37年目のカレーフェア」が始まることを知ったからだ。

1978年に開業した「馬事公苑店」は、ロイヤルホスト株式会社の親会社・ロイヤルホールディングス(ロイヤルHD)にとって重要な店だ。同社・経営企画部顧問の城島孝寿さんは「この店の成功で、福岡県発祥の当社が首都圏の方に知られるきっかけとなりました」と振り返る。福岡県で「ロイヤル」として知られていた同店は、首都圏進出後に「ロイホ」と呼ばれるようにもなった。

メニューを開くと、カレーよりも、ステーキにカレーソースを添えた商品が目立つ。同社が中期計画で「ステーキメニューのブラッシュアップ」を掲げているからか、多彩な組み合わせのメニューで訴求していた。

「2019年カシミールビーフカレー」(写真=ロイヤルホストHPより)

ただし、今回の目的は「伝統」だったので、「2019カシミールビーフカレー」(1480円+税。一部の店は1530円+税)を注文した。メニューには「1983年の第1回のカレーフェアから続く夏の伝統、定番カレー」と書かれていた。後で聞くと、毎年のように人気1位を占める商品だそうだ。味は深みがあり、おいしく感じた。馬事公苑店には、学生時代に少し奮発して何度か足を運んだこともある。満足感には、そうした郷愁も手伝ったように思う。

■インドネシア人コックのまかないから看板メニュー

ロイヤルHDの吉田弘美さん(経営企画部コーポレートコミュニケーション担当部長)は、「ロイホとカレー」について、こう説明する。

「看板メニューのひとつ『ビーフジャワカレー』は、昭和40年代にインドネシア人のコックが、まかないで作っていたカレーを伝授してもらったもの。水と小麦粉をほとんど使わず、20種類以上の香辛料をベースに、じっくり炒めた玉ねぎの甘みとスパイスが効いたカレーです」

「一方、『暑い国発祥のカレーで夏を元気に過ごしてほしい』という思いから、1983年から夏季限定でカレーフェアを実施してきました。第1回から『カシミールカレー』を提供しているようにスパイスを効かせたメニューを中心に、インドやタイなどさまざまな国のカレーを紹介してきました。過去に提供したカレーの数は160種類以上になります」

■初期は販売不振の「タイカレー」を積極投入

吉田さんはさらに「当社の社員にとって、カレーは大切な商品というだけでなく、それぞれ何らかのエピソードを持っています」として、こんな話を教えてくれた。

「私が学生時代、『ロイヤルホスト仙台バイパス店』(宮城県仙台市)でアルバイトを始めた1990年のカレーフェアは、ロイヤルとしても本格的なタイカレーを発売した年でした」

当時の日本では、1986年ごろに最初の「エスニックブーム」があったが、代表的なタイ料理のひとつである「タイカレー」は、まだ多くの人になじみがあるものではなかった。

「メニューにあったグリーンカレーも『緑色のカレーってなに?』『すごい香り……』と思ったら、ココナッツミルクの香りで、学生アルバイトには衝撃的でした」(同)

「グリーンカレー」は、あまり売れなかったそうだ。それでも2年後の同フェアでは4品構成で「タイカレー」を投入した。バブル期の時代性もあったのか、積極性がうかがえる。

■「調理人の採用凍結」で低迷した時期も

今でこそ好調なロイヤルホストだが、2000年代には「サイゼリヤ」などの低価格路線に押されて低迷した時期もある。業績は悪化し、運営方針も迷走。2002年から数年間は調理人採用も凍結してしまう。2007年にはロイヤルホストの首席料理長だった田島澄夫さん(故人)が、当時の経営陣に「料理の味を守るためにコックを育ててほしい」と詰め寄り、それが受け入れられなかったため退社するという騒動もあった。

田島さんは社内で「カレーといえば田島」と呼ばれた料理人だった。入社は1967年。同社が「ロイヤルホスト1号店」を福岡県北九州市に開店したのは1971年だから、それより前になる。1977年に東京1号店の「三鷹店」のコックに抜擢。本社に戻ると、創業者の江頭匡一(えがしら・きょういち)さん(1923~2005年)にメニュー策定の責任者に指名された。田島さんは当時32歳。以来、ロイヤルホストの味を磨き続けた人だった。

変化があったのは2011年。三鷹店の店長も務めた矢崎精二さんが社長に就くと、田島さんを「料理顧問」として呼び戻したのだ。ここからロイヤルホストは、競合よりも「高付加価値路線」に舵を切り、業績回復につなげていく。

新しい経営陣が出した答えは「調理職を採用・育成し、ロイヤルの強みを取り戻す」だった。いわば原点回帰といえよう。

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