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富裕層がエルメスのバッグを買う真の目的

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資産を形成する上で大事なことは何か。経営者や企業に資産運用をアドバイスする「HAM」の垣屋美智子代表は「資産を持つなら、高い需要を長年維持しているモノを選んだ方がいい。例えば、高級ブランド・エルメスのバッグ『バーキン』の価格は35年間上がり続けており、20年後には2800万円になる可能性もある」と指摘する――。

※本稿は、垣屋美智子『使えば増える! お金の法則―ワクワクしながら資産づくり―』(時事通信社)の一部を再編集したものです。

わに革で作られたエルメスのハンドバッグ「バーキン」(アメリカ・ニューヨーク)=2007年6月21日(写真=AFP/時事通信フォト)

「需要と供給」は時代でどんどん変化する

資産価値を考える上で、需要と供給のバランスは重要です。需要が供給を上回る(需要>供給)状況になれば、モノの価値は上がり、反対に需要が供給を下回れば(需要<供給)モノの価値は下がります。

例えば、悪天候が続くとキャベツや白菜が高くなったりしますが、それは生産数(=供給)が落ちたことで「需要>供給」の構図ができたためです。逆に暖冬などで野菜が早く成長してしまうと出荷量が増えて値段が下がってしまう場合もあります。「需要<供給」の状況です。

また、ディズニーランドの入場料が値上がりし続けている背景も「需要(入場希望者数)>供給(定員)」が成立しているからです。

需給のバランスは時代によって変わることもあります。「需要>供給」の状態からさらに需要増になって、需給が逼迫状態なのがアメリカの大学です。アメリカの大学の学費は、物価上昇率を上回るペースで高騰していて、学生が卒業後も学生ローンの返済に追われるケースは珍しいことではありません。

理由は公的資金が打ち切られていく一方で、教授などの人件費、キャンパスの維持費などにつぎ込む必要があるからです。

アメリカの大学費用は20年で3倍に

それならば、アメリカの大学進学率が落ちているかというと、むしろ上昇しています。

世界的な基準として使われる英タイムズ・ハイヤー・エデュケーション社による2018年の世界大学ランキングでは、上位30校のうち19校がアメリカの大学ですので、アメリカ国内だけでなく海外からの入学希望者も多いことでしょう。

実際、このランキングの上位にランクインしている私の出身大学カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)の学費を調べてみましたが、1999年当時の学費、年間1万3750ドル(約157万円)から2018年は年間4万6170ドル(約502万円)と3倍強に引き上がっています(日本円は1999年と2018年の平均為替レートをそれぞれ適用して換算)。

1999年当時も志願者が定員をはるかに上回っていましたが(需要>供給)、授業料が3倍強に引き上がった現在でも、さらに需要(入学希望学生数)が増えている状況です。

一方で、時代の流れとともに「需要>供給」→「需要=供給」→「需要<供給」になっているのが日本の大学です。

日本は少子化で15歳未満の子どもの数は1982年から一貫して減り続けています。現在、日本の大学数は国公立・私立合わせて800校弱あり、日本私立学校振興・共済事業団によれば、私立大学の44.5%が定員割れの状況とのことです(2016年5月1日時点)。

人口減に加えて、テクノロジーの進化もあって「需要<供給」になり、数が減ってきているのはガソリンスタンドです。低燃費化やハイブリッド車、電気自動車の登場でガソリンスタンドの数は右肩下がりです。資源エネルギー庁の発表を見ると、1989年と比べて2016年のガソリンスタンドの数は46%も減っているのです。

人口減が将来どのようにモノの価値に影響するかを考えることは、特に日本において資産形成をする上では非常に大切な要素です。常日ごろ、将来の需給バランスを意識するようにしましょう。モノの価値を見る目を鍛えられる上に、長期的な目線で物事を考える習慣も身につくことでしょう。

発売から35年、一度も値下がりしない「バーキン」

移り変わりの激しいファッション業界で、常に「需要>供給」の構図を維持し続けているアイテムがあります。ファッションにあまり興味がない人でも聞いたことがあるはずのアイテム、エルメスのバーキンです。

私の友達のフライトアテンダント曰く、「2000年代始めのユーロが導入された頃は、バーキンは30万円で買えたのよ」とのこと。エルメスのバーキンといえば、今では200万円はしますし、新品を購入するのは至難の技です。彼女の言っていることをもとに計算すると、2003年から2018年の15年ほどの間に、バーキンの価格は30万円から200万円と年平均成長率13.5%で上昇したということになります。

このデータを裏付ける調査データもありました。インターネットで高級バッグを再販するバッグハンター(Baghunter)の調査によると、バーキンの価格は、1984年の発売当初から一度も下落することなく、毎年その価値が14.2%上昇しているとのことです。

バッグハンターによると、バーキンがこれだけの価格上昇を実現できている理由を、エルメスの「特別な顧客にだけ販売する」という方針により、需要に対する供給不足を実現しただけでなく、「バーキンを持つ」という新しいステータスを提供することに成功した結果、と説明しています。

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