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男性の育休 会社の担当外し・出向などもっての外

超少子高齢社会の日本で、持ちたい人が安心して子どもを産み育てられるようにするには、男性の育児休業など男性がともに子育てすることが必須だと思います。ところが、法律上は、諸外国より長くとれる育児休業を取得する父親が少ないのが現状です。

国連児童基金(ユニセフ)の報告書が、見えない壁がある日本の男性の育休について、報告書で指摘しています。経済協力開発機構(OECD)や欧州連合(EU)に加盟する41カ国を調べたところ、休業中の給付金を加味して、賃金全額が支給される日数に換算すると、男性では、日本が30.4週で最も長くなっている、ということです。

一方、厚生労働省の調査で、2018年度の男性の育休取得率は、6.16%にとどまっていて、政府が掲げる2020年度に13%の目標達成は見込めない現状です。妨げになっているものを調査したところ、「職場が育休をとりづらい雰囲気」を挙げた人が最も多く、迷惑をかけられないから、などと考えて諦めてしまう人が多い、という結果が出ています。

パタニティー・ハラスメント(バタハラ)も問題になっています。育休や短時間勤務を選んだ男性が、嫌がらせや不利益な扱いを受けることをいいます。「出世に響くぞ」「復帰しても仕事はないかも」などといった発言が典型的な例です。育休をとったら昇給の対象から外された、降格されたといった事例もあります。

インターネット上では、「夫が復帰直後に転勤を命じられて退職した」という書き込みが、波紋を広げています。これは、6月初めの化学大手カネカをめぐるもので、元社員の妻が「夫が育休明け2日で関西への転勤を命じられた」などとツイッターに投稿すると、5日間で4万を超すリツイートがありました。

カネカは自社サイトで「対応は適切だった」という見解を載せる事態になりました。それだけ、ネットをよく使っている若い世代にとって、他人事ではない、ということだと思います。

カネカの事態から約3週間後の6月末、スポーツ用品大手アシックスの男性社員が、育休から復帰後に出向させられるなどの嫌がらせを受けたとして同社を東京地裁に提訴しました。今月1日には、NECの子会社に勤めていた男性も、転勤を拒んで懲戒解雇されたのは不当だとして提訴し、持病のある子どもの育児に支障が出る転勤を命じられたのは「人権侵害のレベルだ」と訴えています。

そして、今月5日、東京地裁で予定されていたパタハラをめぐる裁判の証人尋問が、多数の傍聴人が見込まれ、混乱が起きるおそれがあるとして、10月に延期された、と報じられています。この裁判は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の元社員でカナダ国籍の男性が、育児休業をとったら仕事を減らされるなどの嫌がらせを会社から受けたとして慰謝料などを求めているものです。

会社側が、こうした嫌がらせと思える対応をしている根拠はは、1988年に最高裁が示した、人事権をめぐる裁判だそうです。働く妻、幼い子ども、高齢の母と暮らす男性が転勤を拒んで懲戒解雇されたことに対して、解雇を無効として地裁・高裁判決を破棄し、「家庭生活上の支障は通常甘受すべき程度のもの」などとして、会社側の幅広い裁量を認めました。

しかし、この判決は、30年も前のもので、社会のあり方も人々の意識も変わってきているのですから、改める必要があります。2001年に成立した「改正育児・介護休業法」では、育休を理由に働き手に不利益を与えることを禁じ、転勤で子育てが困難になるときの配慮も義務付けています。裁判の判例でも、会社側の人事権乱用を戒めるものが出てきています。

厚生労働省が出している指針が、あいまいな例を示しているからだと指摘されています。パタハラを訴えると投資家が反応するようになったりして、被害を泣き寝入りせずに、声をあげるようになった、という見方もされています。本気で、子育て支援に取り組むなら、指針でしっかりと、何が不利益で、どのような配慮が必要が示すなど、パタハラが起きないようにするべきだと考えます。

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