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- 2010年12月27日 12:30
天職に定年はない - 書評 - 最高齢のプロフェッショナルの教え
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彼らの中に、「歳をとったらこうなりたいと思ってやってきた」などという人は一人もいない。全員が、「明日はもっとうまくやろう」の積み重ねで今に至っている。そのことは、以下の台詞に集約されている。
P. 233
「資本主義はなぜ自壊したのか」
P. 141
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20代で人生の年収は9割決まる
土井英司
そんな彼らも、はじめから天職に巡り会えたわけではない。そういう幸運な例も本書には出てくるけれど、どちらかといえば最初に登場する「還暦過ぎてから売れだした」やなせたかしのように、それまでずいぶん道草をしてきた人が多い。「好きだから続いている」のは確かだが、やりもしないで好きになったわけではないのだ。
その意味で「仕事の選り好みなんてするな。目の前の仕事をきちんと片付けろ」と主張する「20代で人生の年収は9割決まる」の主張は正しい。「いきなり天職」組ですら、「目の前の仕事をきちんと片付けて」きたのだから。本書で最も早く天職を見つけたのは88歳 現役最高齢「パイロット」高橋淳。小学生の時にはもうパイロットになると決め、16歳にはもうグライダーに乗っていた彼の最初の仕事は、一式陸攻での雷撃任務。
しかしそこまで壮絶な体験をしなくても、天職はいつか見つかる。仕事を引き受け、やりとげ続けていれば。最高齢ではないけれど、「現役」「天職」といえば、やはりこの人が思い起こされる。
Dan the Man with Callings
P. 233
「もしも20歳に戻れたら何をする?」と聞かれても、これまでの人生にとても満足しているから戻りたいとはちっとも思いません。大好きな歌をやってこられて、本当に楽しかった。先のことなんか全然考えず、やってきただけなんですけどね。103歳 現役最高齢「声楽家」嘉納愛子の台詞である。
「資本主義はなぜ自壊したのか」
もう一つ、最近、国民の不評を買ったのが「後期高齢者医療制度」の導入である。七十五歳以上の高齢者を対象に、年間六、七万円程度の保険料を年金から天引きするという。彼らがこれを聞いたら苦笑するか一喝するかのどちらかだろう。
たしかに老人医療費の増大は深刻な問題ではあるだろう。だが、厚労省によって「後期高齢者」と指定された人たちは日本が経済大国になるうえでの立役者に他ならない。いかに財政難だとはいえ、そのような功労者に対して、いきなり保険料を年金から天引きするという過酷な政策を打ち出すのは、国家として正しいあり方だろうか。
むしろ、どんな知恵を使ってでも「日本社会に対する貢献に感謝して、これから医療費はすべてタダにいたしますので、安心して余生をお過ごしください」とするのが為政者というものであろうし、「敬老の精神」というべきものであろう。
P. 141
ヨーロッパに行かずに藝大の教授になっていたら、もっと早く家を建てることができたかもしれない。年金ももらえていたでしょう。私は年金をもらっていないんです。だから貧乏しながら活動を続けているんですけどね(笑)。こちらは、89歳 現役最高齢「ピアニスト」室井摩耶子の台詞。天職は、年金に勝る。
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20代で人生の年収は9割決まる
土井英司
そんな彼らも、はじめから天職に巡り会えたわけではない。そういう幸運な例も本書には出てくるけれど、どちらかといえば最初に登場する「還暦過ぎてから売れだした」やなせたかしのように、それまでずいぶん道草をしてきた人が多い。「好きだから続いている」のは確かだが、やりもしないで好きになったわけではないのだ。
その意味で「仕事の選り好みなんてするな。目の前の仕事をきちんと片付けろ」と主張する「20代で人生の年収は9割決まる」の主張は正しい。「いきなり天職」組ですら、「目の前の仕事をきちんと片付けて」きたのだから。本書で最も早く天職を見つけたのは88歳 現役最高齢「パイロット」高橋淳。小学生の時にはもうパイロットになると決め、16歳にはもうグライダーに乗っていた彼の最初の仕事は、一式陸攻での雷撃任務。
終戦を迎える直前の1945年7月。そのころぼくのいた鹿児島の基地にはもう。ぼく以外の機体以外は残ってなかった。一度目の挑戦で一生ものの仕事を見つけるのは、これくらい壮絶なことなのかもしれない。
しかしそこまで壮絶な体験をしなくても、天職はいつか見つかる。仕事を引き受け、やりとげ続けていれば。最高齢ではないけれど、「現役」「天職」といえば、やはりこの人が思い起こされる。
And the only way to do great work is to love what you do.この人も一発で天職を見つけたが、この人ほど壮絶な代価を支払った人もそうはいない。天職を首になって再就職するなんて、よほどの天職なのだろう。
103年、生きていて思うのは「人生は公平だ」ということ。苦労したら同じだけ、恵みがあるんです。だとしたら、苦労は先の方がいい。この台詞に、納得できるようになるまでは。
Dan the Man with Callings



