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テイラー・スウィフトを憤慨させた、米エンタメ界の敏腕スクーター・ブラウンの野望

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スクーター・ブラウンのイサカ・ホールディングスは、SBプロジェクツ、アトラス・ミュージック・パブリッシングを所有し、新たにビッグ・マシン・レーベル・グループを買収に乗り出した。Charles Sykes/Invision/AP/Shutterstock

先日、音楽業界を騒がせたテイラー・スウィフトとスクーター・ブラウンの騒動。テイラーは、所属していたレーベルの身売りによって、デビュー・アルバムから直近の『レピュテーション』までの原盤権を、ブラウンが獲得したことに憤慨し、SNS上で今までの嫌がらせ行為などを非難中傷した。現在、米音楽業界で様々な企業を買収しているイサカ・ホールディングスの筆頭株主である、スクーター・ブラウンとは何者なのか? そして何をしようとしているのか? 今回の騒動から、現在注目されているイサカ・ホールディングスの動きについて、ローリングストーン誌が考察する。

音楽業界で先週繰り広げられたテイラー・スウィフトとスクーター・ブラウンの騒動が、実はPRキャンペーンの一環として画策されたものだと、一瞬だけでも考えてみよう。あの騒動が画策されたものだと信じているからそう言っているのではないと、読者も理解しているはずだ。しかし、これは仮定の話だが、もしあの騒動が作り物だったとしたら、あのPRキャンペーンは良いことなしの失敗企画となるだろう。

Google Trendsによると、過去3ヵ月間で「テイラー・スウィフト」が最も検索されたのは4月26日で、パニック・アット・ザ・ディスコのブレンドン・ユーリーをフィーチャーしたカムバック・シングル「ME!」がリリースされたときだ。「ME!」はスーパースターの鮮烈なカムバック曲としてそれなりのインパクトを与えたが、Lil Nas Xのおかげで、アメリカ国内最大の音楽チャートで1位になることはできなった。それ以来、Google検索上でチーム・スウィフトは春のカムバック当時の人気度を取り戻せないでいる。「ME!」に続く第二弾としてシングル「You Need to Calm Down」を6月14日にリリースし、LGBTQを扱って話題になったミュージックビデオも公開したが、それでも人気は戻ってこない。

しかし、7月1日、スウィフトがTumblr上でスクーター・ブラウンを非難した翌日、Google検索での検索ワード「テイラー・スウィフト」が一気に上昇した。シングル「ME!」リリース時の検索ピーク時を100とすると、スクター・ブラウンの一件の翌日には53%まで戻り、スウィフトへの世間の興味が過去2ヵ月間で最も高くなった(下記参照)。

グラフ:Google Trends

議論の予知はあるかもしれないが、これはスクター・ブラウンにとっては良いニュースだったはずだ。愛するスウィフトのメッセージを見て、彼女に追随したファンたちからの誹謗中傷を、ブラウンはオンラインで一人で受け止めていた。しかし、世界中が再びスウィフトに興味を持ったきっかけが、彼がスウィフトの音楽カタログを買収する手続きを開始したことと知れば、多少の気休めにはなるだろう。

スウィフトやブラウンの個人的な秘密を明かした騒動を通して、アーティストの原盤権に関する世界的なディベート、スウィフトが2006年にビッグ・マシン・レコードとの契約で参入した音楽業界のシビアな現実などを含む、さまざまな問題が提起された。

スウィフトとブラウンの騒動の副産物ともいえるのが、普段は真面目な話題の音楽業界紙のトップ記事に、個人的なタブロイド系スキャンダルが登場したことだろう。また一連のくだらない言葉の応酬にスポットが当たって影が薄くなったことは、ブラウンが3億ドル(約325億円)出してビッグ・マシンを買収した現実的意義であり、イサカ・ホールディングス内に彼が組織的に築きつつある一大帝国の姿だ。

ビッグ・マシン・レーベル・グループ(とテイラー・スウィフトの6枚のアルバム)をイサカが買収すると、6年前に突然ワーナー・ミュージック・グループが4億8700万ポンド(約661億円)でパーロフォンを買収して以来の音楽業界最大の買収となるはずだ。その結果、イサカ・ホールディングスは自動的に地球上で最も大きなインディペンデント音楽企業になる。ウォール・ストリート・ジャーナル紙の報道によると、昨年1億ドル(約108億円)以上を売り上げ、1年間のEBITDA(金利支払い前、税金支払い前、無形と有形の固定資産の償却費控除前の利益)が4000万ドル(約43億円)を超えるビッグ・マシンは一つのレーベルとなる予定だ。

私が最も関心を寄せる点は、エンターテイメント業界の総合企業としてのイサカ・ホールディングスが持つポテンシャルだ。彼らは成功している下記の3社を基盤として、録音された音楽以外の事業も行っている。

まずは、SBプロジェクツでのマネージメント運営がある。6月30日に交付されたビッグ・マシンの買収を伝えるプレスリリース内で、SBプロジェクツがイサカ・ホールディングスの子会社になったことをひっそりと伝えている。ブラウン所有のSBプロジェクツのクライアントには、アリアナ・グランデ、ジャスティン・ビーバー、J. バルヴィン、デミ・ロヴァート、トリ・ケリー、ザック・ブラウン・バンド、ダン+シェイなどがいる(また、ブラウンはカニエ・ウェストの公式なマネージャーというよりも公式な「友人」だ)。

2つ目がニューヨーク拠点の音楽出版社アトラスだ。これは今年2月にブラウンとイサカが買収した会社で、エディ・ヴァン・ヘイレン、アレックス・ヴァン・ヘイレン、グラミー賞に6回ノミネートされたブランデー・カーライルなどのソングライターの代理人を務めている。

そして、3つ目がビッグ・マシン内のレコード・レーベルだ。このレーベルはスウィフトの音楽カタログだけでなく、フロリダ・ジョージア・ライン、トーマス・レット、ラスカル・フラッツ、レディ・アンテベラム、リーバ・マッキンタイア、シェリル・クロウなども契約している。

下記に、私が考えるこれから数ヵ月間または数年間で、ブラウンが展開するであろうイサカの戦略をいくつか列記してみる。

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