野菜や家畜など、生物の遺伝情報をピンポイントで変えられる、ゲノム編集技術を使った食品が市場に出回ります。近く国への届け出が始まりますが、国へ届け出なくても罰則はなく、食品表示の義務化も見送られる見通しで、消費者としては不安が募ります。
この技術によって、血圧の抑制をねらったトマトが来年にも販売され、肉厚の真鯛も出てくる、と報じられています。遺伝情報はゲノムと呼ばれ、DNAという分子でできた生き物の設計図です。DNAは自然に切れてつなぎ戻される際に、まれに突然変異を起こす、とのこと。
突然変異は、放射線を当てることで人工的に起こすこともでき、従来の品種改良は、突然変異で現れた有用な品種をかけ合わせて、欲しい性質のものを選びだしてきました。安全性審査が義務付けられている遺伝子組会食品は、別の生物の遺伝子を取り込ませているので、ゲノム編集食品とは違う、ということです。
ただ、外部から入れた遺伝子がないか、毒性物質が増えていないか確認が必要として、届け出を求めることになっています。届け出の義務化は、突然変異との区別がつなかいなどの理由で見送られました。表示についても、ゲノム技術による変異かを現在の技術で見極めることは難しく、表示制度を設けても違反者を特定できない、として、消費者庁は義務化を見送りました。
業者の事務負担が重くなりすぎないように考慮する必要もある、ということですが、消費者としては納得できません。ゲノム編集技術は、まだ発展途上で、どのような食品が現れるか、輸入品を含めて予想がつかない状態です。食品の安全については厳しいEUの司法裁判所は、昨年夏、ゲノム編集食品も遺伝子組み換え食品にあたる、としています。
東大チームの調査でも、ゲノム編集について、国民の間に漠とした不安があるという結果が出ています。消費者が選べるように、届け出や表示を義務化するなど、消費者の視点で、受け入れられやすいようにしていく必要があると考えます。
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- 2019年07月13日 18:54