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「日本的経営は世界の非常識」

■「電波怪獣」竹村健一氏の死去

 今週は日本の芸能界を牽引してきたジャニーズ事務所のジャニー喜多川氏が死去されたことで大きな話題となっていたが、その陰に隠れた形で、日本の言論界を牽引してきた竹村健一氏が死去されたというニュースが出ていた。

 最近はジャニー喜多川氏同様、竹村健一氏もメディアには全くと言っていいほど姿を見せていなかったが、昔は「電波怪獣」と言われただけあって、数多くのメディアに出演されていた。建前ばかりのテレビ界にあって、1人本音を語り、異彩を放つ憎めないキャラクターだった。

 私が竹村健一氏の本を初めて読んだのは学生時代だったと記憶しているが、難しい事柄を平易な文章で説明する文体は読み易く、その後、多くの本を読ませていただいた。ちなみに、竹村氏の場合、口述筆記で有名だったので、文章自体は別人が書いていたのかもしれない。

■「日本の常識は世界の非常識」

 竹村氏が残した有名な言葉に以下のようなものがある。

 「日本の常識は世界の非常識

 戦後、他国とは物理的に隔絶された島国環境にあった我が国では、戦勝国による思想統制の影響によって、戦前の常識は悉く否定されることになり、日本独自の文化というものが多々生まれた。

 最近では「常識を疑え」と言っている識者も大勢いるが、大抵の人は、生まれた環境に既に根付いた常識を疑おうとはしない。どんな不条理な常識であっても空気のように受け入れる人が大勢を占めているので、「日本の常識は世界の非常識」のままであることが多い。

 「憲法9条があるから戦争は起こらない」という日本の常識も、そのまま鵜呑みにしている人も少なくない。
 あるいは、「謝罪は美徳」というような日本の常識も、世界(特にアジア)では通用しない。

■「日本的経営は素晴らしい」という常識

 少し毛色を変えると、「日本的経営は素晴らしい」というのも、日本でしか通用しない常識だとも言える。
 日本では昔から「和をもって尊しとなす」と言われ続けてきたので、その言葉に結び付けて「日本的経営は素晴らしい」とする向きがある。しかし、これは少し曲解されている部分があると思う。
 
 日本では、仕事のできる人間が仕事のできない人間を延々とカバーすることをもって「日本的経営は素晴らしい」と思われているフシがある。
 「仕事のできる人間は文句を言わず、仕事のできない人間の分まで仕事をして、給料もなるべく平等に分けることが尊い」という風に受け止められているような気もする。

 健常者が病人や障害者の分をカバーするのは当然のことだと思うが、単に仕事をしない人間、やる気のない人間の分までカバーしなければならないとなると、「共産主義的経営は素晴らしい」になってしまう。

 共産主義には「各人は能力に応じて働き、必要に応じて受け取る(分配される)」というような考え方があるが、「日本的経営」には、この言葉を実践していると思われる部分がある。
 「仕事をしない人間は能力に応じて働き、必要なだけの報酬を得ることができる」というような仕事をしない労働者の楽園思想が「日本的経営」に入り込んでしまっている。

 聖徳太子が言った「和をもって尊しとなす」とは、世界の常識と成り得る言葉だと思われるが、日本では少し屈折した意味合いで認識・利用されているところがある。

 公平性に重きを置く欧米社会では、仕事のできる人と仕事ができない人には公平な差が開くことは常識として受け入れられている。
 しかし、平等性に重きを置く日本社会では、仕事のできる人と仕事ができない人をなるべく平等に扱うことが尊しとされる。これぞまさに「日本の常識は世界の非常識」の見本だと言えるのかもしれない。

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