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ジェーン・スーが40才を超えて気付いた「オバさんは得」

「美」「若さ」「モテ」との付き合い方について語るジェーン・スーさんと中野信子さん

「若いことは『決まったレールがない』。可能性が多分にあるってこと」と語るジェーン・スーさん

「今この瞬間があなたのこれから先の人生においては一番若い」という中野信子さん

男は美人を「モノ」として見ている? レディースデーがある女の方が優遇されている? 女vs男の単純な図ではなく、女を取り巻く社会構造のモヤモヤをジェーン・スーさんと中野信子さんが解きほぐした対談集

「読んでラクになった!」「モヤモヤが共有できて、猛烈に感動した」など話題沸騰! コラムニストのジェーン・スーさんと脳科学者の中野信子さんの対談集『女に生まれてモヤってる!』の中から対談の一部を紹介。今回のテーマは、年を重ねると目減りしていく「美」「若さ」「モテ」との付き合い方について。

【写真】「若いことは『決まったレールがない』。可能性が多分にあるってこと」と語るジェーン・スーさん

 * * *

中野:「若さ」や「美人」のように、一般的に「得」と世間にみなされているものは全部、長期的には使えない価値なんだよね。若さ貯金って絶対に増えることはない。ずっと減り続けていくものだと誰でもわかる。減り続けるしかない貯金に頼る戦略で人生どこまで行けるのかな。

スー:短期的に得を取れる場面もあるけれど、目減りしていく資産に自分の存在意義や価値を見出すこと自体が危ういし、長期的には「損」に転じるよね。目減りする武器には頼らない戦略を模索するほうが、私は得を得やすいと判断するけど。今ってそういうことに気づきにくい社会だと思う?

中野:気づきにくいとは思わないですね。だって私たちは現に気づいたわけだし。でも、気づかないでいる人を気づかせないままでいさせようという悪質な仕組みは、もしかしたらあるのかもしれない。たとえば、「若くて魅力的な女」という価値で勝負している人たちをターゲットとしたもの、彼女たちが飛びつくようなアンチエイジング商品が市場ではたくさん売られている。若さや美といった貯金が目減りするのを少しでも防ぐためのツールで儲けている人たちもいる。

カップルの関係性において常に自分がイニシアチブ(主導権)を取りたいがゆえに、あえてそういう価値に重きを置いて女を選ぶ男もいる。そういった複合的な要因があるかなとは思いますね。ただ、いずれにせよ若さや魅力を維持するためには、ある程度の経済力が必要という残酷な現実がある。若さや美とは別の価値を自分の中で育てていったほうが、長期的に見たときには得が大きいと私は思います。

スー:若いこと自体は悪じゃないんだよね。それはちゃんと言っておこう。不確定要素が多くて不安になることもあるだろうけど、それは変化の振り幅が大きいってことでもあって。雑な言い方をすれば、「決まったレールがない」ってこと。可能性が多分にあるってことなんだよね。そういう時期って限られているから、十二分に味わったらいいと思う。

 ひとつだけ気をつけてほしいのが、若さを何に向かって行使するかってこと。若さに値段をつけてお金に換えるような人たちにそれを行使すると、行使しているつもりで搾取されかねない。でも、ちょっと無理して行きたい場所へ行ってみるとか、知的好奇心を満たすためにフットワーク軽く動き続けるとか、そういう方面に活用すれば、若さって絶対的な得になりうる。年取っても楽しいことはいっぱいあるけど、気力、体力、記憶力、吸収力なんかは、やっぱり若い頃のほうが旺盛だし。

中野:目につくところによく出てくるのは、若さを搾取するビジネスのほうだもんね。

スー:そうね。40代の私たちですら、年上の女性から「まだまだ若いんだから」って励まされることってあるじゃない? 昔はその意味がわからなかったんだけど、自分がこの歳になってようやくわかったの。あれは相対的な若さなんだよね。上の世代の人たちから見たら、確かに体力的・精神的に私たちはまだまだ若いわけで、そのパワーを行使する先を選べば可能性の扉は開けるわよ、という意味での「まだまだ若い」なんだよね。でも言われた側の自認は若者ではないから、「え? 私の若さなんてもう換金できるようなものじゃないですけど、何言ってるの?」となる。そこに齟齬が生じるんだよ。

中野:あのね、この本を読んでいる人全員に実感してほしいんですけど、今この瞬間があなたのこれから先の人生においては一番若いんですよ。だから、「私なんてもう若くはないから」という考え方で何かを諦めることはしないでほしいと思う。

スー:おっしゃる通り。すべての人類は今日が一番若い。そして明日になると一日分、年を取る。その刻一刻と目減りしていく貴重な若さという資源を、自分以外の誰かに値づけさせていいの? って話だな。じゃあおばさんが損かというと、そんなことはまったくないんだよね。日々の出来事に新鮮味はなくなるけれど、あらゆる物事の工程をうまいことはしょれるようになるから。目の前のタスクに効率よく、楽に向き合えるようになる。そういう意味ではおばさんってすっごい得だなと思うわ。

中野:20代のときはステージ1をクリアするのに1週間ぐらいかかったけど、40代になったら1時間でクリアできた、みたいな感じになるよね。時間と経験がある意味トレードオフされるから。だからどんな場面でも「得していたい」と考える人は、自分の中の評価軸を柔軟に変えていくといいと思う。

撮影/藤岡雅樹

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